連総会演説から会談まで
河野外交まとめ

河野外務大臣は、ニューヨークで開かれている国連総会に出席するとともに、北朝鮮問題や中東和平などについて各国の外相らと意見を交わすため21日夕方、成田空港を出発しました。

女性外相の会議に参加 男性外相として1人

世界各国の女性外相が集う国際会議がカナダのモントリオールで開かれ、男性の外相としてはただ1人、河野外務大臣が参加し、女性の活躍に向けた日本の政策を紹介しました。

女性の地位向上などを議論しようと、カナダのフリーランド外相らが主催して開かれた会議には、スウェーデンや南アフリカ、インドネシアなど、15人の女性外相が参加しました。

河野外務大臣はG7=主要7か国の外相として招待を受け、一部の会合に参加したところ、男性は河野大臣ただ1人でした。

会合に先立って行われた記念撮影で、河野大臣は、フリーランド外相らに促されて真ん中に立ち、てれ笑いを浮かべていました。

会合で、河野大臣は、女性の活躍に向けた日本の政策を紹介し、来年3月に開かれる国内外の女性リーダーが集まる国際女性会議への参加を呼びかけました。

国連総会で演説 安保理含む国連改革の実現を訴え

河野外務大臣はニューヨークで開かれている国連総会で演説し、国連の創設から70年以上が経過し、国際社会が紛争の予防などにより迅速で効果的に行動できるようにする必要があるとして、安全保障理事会を含む国連改革を実現させるべきだと訴えました。

国連総会では、南アフリカで人種差別と闘い5年前に亡くなったマンデラ元大統領の生誕100年を記念するハイレベル会合が開かれ、日本からは河野外務大臣が参加して、日本時間の25日未明、演説を行いました。

この中で河野大臣はマンデラ氏の功績をたたえるとともに、来年、日本で開かれるTICAD=アフリカ開発会議について、マンデラ氏の遺志を受けて、アフリカの平和構築を進める重要な機会にしたいという考えを示しました。

そのうえで河野大臣は、国連の平和活動に触れ「国連の創設から70年以上の時を経て、われわれは万人の利益のために、より迅速に、より効果的に行動する必要がある。そのためにも安全保障理事会を含む国連は改革されなければならない」と述べ、国連改革の実現を訴えました。

ロヒンギャ帰還に向け国際社会の協力呼びかけ

ミャンマーの少数派イスラム教徒、ロヒンギャの人たちが隣国に避難している問題を話し合う閣僚会合がニューヨークで開かれ、河野外務大臣は、避難民の帰還に向けた国際社会の協力を呼びかけました。

閣僚会合は、国連総会に合わせて日本時間の25日未明に開かれ、ミャンマーから隣国のバングラデシュに避難しているロヒンギャの人たちの帰還に向けた環境整備をめぐって意見が交わされました。

河野外務大臣は避難民を受け入れているバングラデシュ政府の財政的な負担の軽減とともに、ミャンマー政府には帰還や定住への取り組みを促すことが重要だとして、双方への支援に国際社会の協力を呼びかけました。

会合のあと河野大臣は「ロヒンギャの人たちが帰還・再定住できるような支援をすることが大切だ。日本としてもしっかり支えていきたい」と述べました。

旧ソビエト4か国外相らと会談 北朝鮮制裁履行で一致

河野外務大臣は日本時間の25日未明、旧ソビエトのウクライナ、ジョージア、アゼルバイジャン、モルドバの外相らと会談しました。

この中では北朝鮮問題について意見が交わされ、非核化の実現に向けて引き続き国連安保理決議に基づく制裁措置を国際社会が完全に履行することが重要だという認識で一致しました。

また河野大臣が拉致問題の早期解決に協力を求めたのに対し、4か国の外相らは理解を示しました。

さらに会談では、民主主義や法の支配などの基本的な価値を尊重すべきだとして、国際社会での法の支配の確立に向けて、日本と4か国が協力していくことを確認しました。

このあと河野大臣は、ジャマイカやバハマ、トリニダード・トバゴなど、カリブ海の14か国からなる「カリブ共同体」の外相らと会談し、ハリケーンなどの自然災害対策や水産分野での協力関係を強化することで一致しました。

イタリア・モロッコ・バングラディッシュ外相と

河野外務大臣は、日本時間の25日夜から26日未明にかけて各国の外相と相次いで個別に会談しました。

このうちイタリアのミラネージ外相との会談では、北朝鮮の非核化に向けて、国連安保理決議に基づく制裁措置を維持することが重要だという認識で一致しました。

また北アフリカ・モロッコのブリタ外相との会談で、河野大臣は7回目となるTICAD=アフリカ開発会議が来年、横浜で開かれるのを踏まえ、経済分野を中心に両国の協力関係を強化していくことや、国連の安保理改革の実現に向けて連携して取り組むことを確認しました。

このほか河野大臣は、バングラデシュのアリ外相とも会談し、隣国ミャンマーの少数派イスラム教徒、ロヒンギャの避難民を、バングラディシュが受け入れていることを改めて評価しました。

その上で、避難民の帰還を後押しするため、国際社会にも支援を呼びかけていく考えを伝えました。

PKO部隊の能力向上への貢献を表明

PKO改革をテーマにした閣僚級会合は、国連総会にあわせて日本時間の26日朝、ニューヨークの国連本部で開かれ、日本からは河野外務大臣が出席しました。

この中で、河野大臣は「日本は積極的平和主義の旗のもと、国連PKOが抱える課題に国連や加盟国とともに取り組み、日本の強みを生かして能力構築支援の強化や部隊の派遣など、具体的な貢献を続けていく」と強調しました。

そのうえで、PKO部隊の要員育成や能力向上に向けて、これまでアフリカで行ってきたインフラ整備などに使われる重機の操作訓練を、ことし11月に、ベトナムでも実施することを明らかにしました。

また、活動の現場で女性や子どもを保護するためには女性の要員を増やすことが重要だとして、女性専門家の育成や女性士官の訓練を支援する方針を示しました。