岸田首相 旧統一教会に「質問権」文化庁が25日に専門家会議

国会では、10月17日から衆議院予算委員会で岸田総理大臣とすべての閣僚が出席して質疑が始まりました。岸田総理大臣は、旧統一教会について、法人自体の組織的な不法行為責任を認めた民事裁判の例があることなどから、宗教法人法に規定されている「質問権」の行使による調査を実施するよう、永岡文部科学大臣に指示したことを明らかにしました。

自民 宮崎政久氏「“解散命令”判断にも質問権行使でいいか」

自民党の宮崎政久氏は、岸田総理大臣が、旧統一教会に対して宗教法人法に規定されている「質問権」の行使による調査を実施するよう、文部科学大臣に指示したことに関連し、「政府に求められるのは旧統一教会の全貌を明らかにして、人々を苦しめている原因をはっきりさせることだ。解散命令の請求について判断するか否か、その材料を集めるためにも『質問権』を行使することでいいか」とただしました。

これに対し、岸田総理大臣は「旧統一教会については、平成28年と平成29年に法人自体の組織的な不法行為責任を認めた民事裁判の例がみられ、今般、政府が設けた合同電話相談窓口には、先月30日時点で1700件以上の相談が寄せられている。こうした状況を踏まえ、宗教法人法に基づき『報告徴収』と『質問権』の行使に向けた手続きを進める必要があると考え、文部科学大臣に速やかに着手させる」と述べました。

永岡文部科学相 「質問権行使に向け基準速やかに」

永岡文部科学大臣は、旧統一教会に対する「質問権」の行使に向けて、「宗教や法律の専門家などによる専門家会議を設置し、意見を聞きながら『報告徴収』と『質問』の権限を行使する場合の基本的な考え方や基準を速やかに示したい。来週25日にも検討を開始することを予定しており、その基準にのっとって、宗教法人審議会に意見を聞き、旧統一教会への『質問権』などを行使するべく手続きを進めていく」と述べました。

自民 萩生田政調会長「旧統一教会 被害者救済に向け政府と連携」

自民党の萩生田政務調査会長は、質問の冒頭、旧統一教会との関係について、「私も含め、自民党議員の関与が教団の信用を高めることに寄与してしまったのではないかという指摘を真摯(しんし)に受け止め、猛省をしなくてはならない。国民からこれまでになく強い不信の目が政治に向けられている今、現状を深刻に受け止め、被害者の救済に向けて、党としても政府と連携をしながら問題解決に頑張っていく」と述べました。

自民 萩生田政調会長「予算増額し必要な防衛力整備を」

自民党の萩生田政務調査会長は、防衛費の増額について、「GDP比2%に向けて、財政支出が必要な、いわゆる『真水』で予算を増額し、必要な防衛力を整備していくべきだ」とただしました。

これに対し、岸田総理大臣は「国民の生命や暮らしを守るために何が必要なのか。その内容に見合うだけの予算はどれだけ必要なのか。予算の裏付けとしての財源をどこに求めるべきなのか。この3つの議論を予算編成過程に向けて、一体かつ強力に進めていきたい」と述べました。

自民 伊藤元金融相「日銀総裁人事について」

自民党の伊藤元金融担当大臣は、来年4月に任期満了を迎える日銀の黒田総裁の後任人事について、「世界の金融市場が非常に不安定で不透明な状況にある。こうした中で政府・日銀が緊密に連携し、安定した金融政策を堅持していくことをしっかり伝えていくことが極めて重要だ。日銀総裁人事についてどう考えているのか」とただしました。

これに対し、岸田総理大臣は「今後、経済情勢や金融情勢など、さまざまな動きがあると思うが、来年4月の時点で最もふさわしい人物を選ばなければならないと思っている。その際に、市場の予測可能性や、政府と日銀の連携をしっかりと念頭におき、重視しながら考えていかなければならない」と述べました。

岸田首相 保育所など送迎バスへの安全装置の設置を支援

岸田総理大臣は、静岡県で3歳の女の子が通園バスの車内に取り残されて死亡した事件を受けた保育所などの送迎バスへの安全装置の設置義務づけについて「来年6月末までに装備してもらうよう、地方自治体を通じて現場に働きかける。事業者の負担が実質的にゼロになるよう財政措置を講じていく」と述べ、事業者が安全装置の設置費用を負担しなくて済むよう、国として支援していく考えを明らかにしました。

文化庁「質問権」行使基準 明確に 専門家会議設置し25日開催へ

旧統一教会の問題をめぐって、岸田総理大臣が永岡文部科学大臣に、宗教法人法に規定されている「質問権」の行使による調査を指示したことを受けて、文化庁は「質問権」を行使する基準を明確にする必要があるとして、専門家による会議を設置すると発表しました。

旧統一教会をめぐる高額な献金や、いわゆる「霊感商法」の問題を受けて、岸田総理大臣は17日朝、永岡文部科学大臣に、旧統一教会に対し、宗教法人法に規定されている「質問権」の行使による調査を実施するよう指示しました。

宗教法人法では、「質問権」を行使するにあたって、解散命令に該当する疑いがある場合、などの項目が定められていますが、実際に行使された前例がありません。

このため、文化庁は行使するうえでの基本的な考え方や具体的な基準などを明確にする必要があるとして、専門家による会議を設置することを決め、初回を10月25日に開くと発表しました。

宗教法人法では、「質問権」を行使する際、有識者などでつくる宗教法人審議会の意見を聞くこととなっていて、文化庁は、審議会の委員を専門家会議の委員として委嘱することにしています。

解散命令の請求にもつながりうる「質問権」の行使について、文化庁は、信教の自由の保障などを踏まえ、慎重に検討を進める方針です。