旧統一教会との関係で応酬 議長に異例の質問 騒然と 代表質問

国会は10月5日から衆議院本会議で、岸田総理大臣の所信表明演説に対する各党の代表質問が始まりました。
立憲民主党の泉代表が、山際経済再生担当大臣は旧統一教会との関係について事実を隠し、弁明を繰り返しているとして更迭するよう求めたのに対し、岸田総理大臣は「できるかぎりの調査を行い説明している」などとして要求を拒否しました。
立憲民主党の泉代表は「旧統一教会のハン・ハクチャ(韓鶴子)総裁と面会しながら、その事実をひた隠し、判明したら弁明を繰り返す山際経済再生担当大臣の辞任を求める声が高まっている。更迭しないのか」と迫りました。

これに対し岸田総理大臣は「山際大臣はできるかぎりの調査を行い、その結果を説明するとともに『これまでの反省に立って今後は一切関係を持たない』と述べていると承知している。理解を得られていないというのであれば、引き続き、政治家としてみずからの責任で、丁寧に説明を尽くす必要がある」と述べ、要求を拒否しました。
また泉氏は「2000年ごろから、一部の政治家や宗教団体関係者から性教育やジェンダー教育への強烈な『バッシング』が始まり、2005年には安倍元総理大臣を座長とする自民党のプロジェクトチームが批判を強めた。統一教会の影響を受けていたとの認識はあるか」とただしました。
これに対し岸田総理大臣は「自民党では政策決定にあたっては幅広い地域や立場の国民の声を聞き、多くの専門家の意見を聞きながら多くの議員が参加する形で議論を積み重ねている。性教育の議論でも幅広い丁寧な議論の積み重ねを行ったと承知している。ご指摘のようなことはない」と否定しました。

自民党の上川幹事長代理は「岸田総理大臣は、自民党所属国会議員が旧統一教会との関係を断つことを党の基本方針として徹底するとしているが、今後はさらに霊感商法などの被害者の救済や、悪質商法への対策について多角的な取り組みを進めていくことが重要だ」と指摘しました。
これに対し岸田総理大臣は「消費者庁の有識者検討会の議論や、関係省庁による合同電話相談窓口に寄せられた相談内容を踏まえつつ、霊感商法などに関して不当な勧誘があった場合の取消事由の拡大や、取消権の行使期間の延長など消費者契約に関する法令などの見直しの検討を加速し、早急に結論を出すよう河野大臣に指示をしたところだ」と明らかにしました。
また上川氏は、安倍元総理大臣の「国葬」について「多くの国民に実施してよかったという思いを共有いただけた一方で、さまざまな意見や批判があったことも事実であり『日本という国家の分断があらわになった』との海外の報道も見られた。今後、同様の事態を避けるためには『国葬儀』の実施について何らかのルールを設けるべきではないか」と質問しました。
これに対して岸田総理大臣は「さまざまな意見や批判をいただいたことは真摯(しんし)に受け止めなければならない。今後、国民のより幅広い理解を得て『国葬儀』を実施できるよう、政府として検証を行うことにしている。できるかぎり早期に整理を示したうえで、総理大臣経験者の『国葬儀』の実施については、国会との関係など、どのような手順を経るべきなのか、一定のルールを設けることを目指す」と述べました。
さらに上川氏は「岸田総理大臣は『安倍元総理大臣が培った外交的遺産をわが国としてしっかり受け継ぎ、発展させるという意思を内外に示す』などと述べていたが、いわゆる『弔問外交』でどのような成果があったか」と質問しました。
これに対し岸田総理大臣は「『国葬儀』には、217の国・地域、国際機関などから700人を超える来賓を迎え、私自身38回、計42人の要人と個別会談を行った。多くの国から安倍元総理大臣が残した『自由で開かれたインド太平洋』、自由、民主主義、基本的人権といった普遍的な価値などへの取り組みへの評価とともに、これらを受け継いでいきたいとの意思が示された。最近の国際情勢など、多角的な意見交換も行われたことは、外交上の成果だ」と強調しました。

立憲民主党の西村代表代行は「岸田総理大臣は自身の長男を政務担当の秘書官に起用したが、一般論として肉親の登用は周辺の士気の低下につながりかねない。公私混同との批判も招きかねず、余計なお世話だが支持率低下のさなかの人事として理解できない」とただしました。
これに対し岸田総理大臣は「個別の人事について詳細は答えを差し控えるが、政権発足から1年という節目をとらえ、適材適所の観点から総合的に判断をしたものだ」と述べました。
このほか山際経済再生担当大臣は旧統一教会との関係について「悪質商法や悪質な寄付といった社会的な問題が指摘されていることや、被害を受けている人が多数いるという認識が不足していた。また、団体のイベントに出席することで、いわばお墨付きを与えてしまうようになったことを真摯に反省している。今後は当該団体とは一切、関係を持たないよう慎重に行動していく」と改めて述べました。
泉代表が細田議長に異例の質問 一時騒然と
一方、5日の代表質問では、立憲民主党の泉代表が細田衆議院議長に対し、旧統一教会との関係についての説明が不十分で真相を語るべきだとして、議院運営委員会などで質疑に応じるよう求める異例の質問を行い、一時騒然となりました。
立民 泉代表「ゼロ回答で質疑の意味ない」
立憲民主党の泉代表は記者団に対し「いろいろと水を向けたが、ゼロ回答だった。岸田総理大臣は、みずからの身を守ったという答弁で、新たな答弁がなければ国会で質疑をしている意味がなく、メッキがはがれてきた」と述べました。
また、岸田総理大臣が山際経済再生担当大臣の更迭要求を拒否したことについて「山際大臣は、旧統一教会との関係が判明したら説明するの繰り返しで、国民から信頼を得ているのかが問われているのに、ゼロ回答だった。厳しい声を聞く姿勢があるだけで何も変えない」と述べました。
一方、旧統一教会との関係をめぐり、細田衆議院議長に対し、議院運営委員会などで質疑に応じるよう求めたことについて「態度が不明瞭だったので、記者会見や議院運営委員会でしっかり説明してもらうことが必要だ」と述べました。