施設 永久に廃棄する
用意がある」共同宣言に署名

韓国のムン・ジェイン(文在寅)大統領と北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長は、19日、2日間にわたる会談結果についての共同宣言に署名しました。宣言では、アメリカが「相応の措置をとる」という条件で、北朝鮮がニョンビョン(寧辺)の核施設を「永久に廃棄するといった措置をとる用意がある」と表明され、アメリカの出方によっては核施設を閉鎖する可能性を示しました。

韓国のムン・ジェイン大統領と北朝鮮のキム・ジョンウン朝鮮労働党委員長は、19日午前、2日目の首脳会談を行い、2人きりでおよそ1時間10分にわたって話し合いました。

そして、会談のあと、両首脳は、「ピョンヤン共同宣言」に署名し、その中で、「アメリカの相応の措置にしたがって、ニョンビョンにある核施設を永久に廃棄するといった追加的な措置をとる用意がある」と表明されました。

これは、アメリカの出方によっては核開発の拠点であるニョンビョンの核施設を閉鎖する可能性を示したものです。

また、北朝鮮北西部にあるトンチャンリのミサイル発射場に関して、「専門家の立ち会いのもと永久に廃棄することにした」とされています。

さらに、宣言では、キム委員長が「近い時期にソウルを訪問する」とも盛り込まれ、実現すれば、北朝鮮の最高指導者が南北分断後、初めて韓国の首都を訪問することになります。

これについて、ムン大統領は「近い時期というのは、特別な事情がなければ年内ということだ」と述べ、ことし中にもキム委員長がソウルを訪問するという見通しを明らかにしました。

離散家族の面会施設開設で合意

「ピョンヤン共同宣言」では、朝鮮戦争などで南北に離れ離れになった離散家族の再開事業をより頻繁に行うため、北朝鮮の景勝地、クムガン(金剛)山にある家族の面会施設を早期に復旧し、近日中に、常時、面会できる施設を開設することで合意しました。

また、南北の赤十字会談を行い、離散家族のテレビ電話での通話やビデオレターの交換などを進めていくことも盛り込まれました。

軍事緊張の緩和で合意

共同宣言の発表にあわせて、韓国のソン・ヨンム(宋永武)国防相と北朝鮮のノ・グァンチョル人民武力相は、南北の軍事的な緊張の緩和に向けた措置などを盛り込んだ文書に署名しました。

この中で、双方は「南北軍事共同委員会」を設けて、大規模な軍事訓練や武力の増強の問題、それに航行の妨害や偵察行為の中止について協議していくことで一致しました。

また、ことし11月1日から、南北の軍事境界線から5キロ以内での砲撃訓練を全面的に停止し、海上や上空にも偶発的な衝突を避けるため緩衝地帯を設置します。

さらに、双方が非武装地帯に設置しているすべての歩哨所の撤収を目指すほか、非武装地帯に残された、朝鮮戦争で亡くなったそれぞれの兵士の遺骨を、来年4月から南北が共同で発掘するため、地雷の撤去や道路の敷設を進めるということです。

官房長官「完全な非核化を期待」

菅官房長官は午後の記者会見で、「今回、南北首脳が合意に至った諸点が朝鮮半島の完全な非核化につながることを期待している。合意に至るまでの南北両首脳の努力に敬意を表したい」述べました。

そのうえで、「重要なことは、朝鮮半島の完全な非核化に向けた北朝鮮のコミットメントを含め、先の米朝首脳間の合意が完全に、迅速に履行されることだ。わが国としては引き続き、日米、日米韓3か国で、北朝鮮問題について緊密に政策をすり合わせていきたい」と述べました。

また、記者団が「日朝対話が議題となったかを含め、韓国側に内容を確認したのか」と質問したのに対し、菅官房長官は「いろいろな情報提供は受けている」と述べるにとどめました。