民党総裁選 討論会・第1部
互いに何を聞いた?
どう答えた?

自民党総裁選挙で14日、日本記者クラブが主催する討論会が行われ、第1部では、安倍総理大臣と石破元幹事長がそれぞれ最も重視する政策について述べたあと、候補者がお互いに質問する形で討論が行われた。全文を掲載する。

~最も重視する政策について~

安倍)安倍晋三です。この5年9か月、3本の矢の政策によって、誰にも働く場所がある、真っ当な経済を取り戻し、そして、地球儀を俯瞰する外交によって、日本は国際社会において、その大きな存在感を取り戻すことができました。この基盤の上に、次の3年間、新しい国づくり、日本の新しい国づくりに挑戦していきたい、そう決意しています。

国難とも呼ぶべき少子高齢化に真正面から立ち向かい、教育の無償化を実現します。そして未来を担う子どもたちの世代に、そして、子育て世代に思い切って投資をしてまいります。

そして同時に、経験や知恵が豊富な高齢者の皆さんがいくつになっても生きがいを持って活躍できる「生涯現役社会」を実現してまいります。人生100年時代を見据えて、全ての世代の皆さんが安心できる全世代型の社会保障制度へと大きく改革を行ってまいります。

地方においては、農業、観光、中小企業、新たな活力が生まれています。さらに、弾みをつけてまいります。

そしてまた、近年の気象の変化に対応し、防災、減災、国土強靱化のための緊急対策を3年集中で講じ、そして、強靭なふるさとを構築していく。美しく伝統あるふるさとを次の世代に引き渡してまいります。

外交においては、TPP11、日EU・EPA、新しい時代の世界のルールを日本が主導して作り上げてまいります。そして北朝鮮問題など、戦後日本外交の総決算を行い、アジア太平洋からインド洋へと広がる広大な地域に日本がリードして、世界と協力して、平和と繁栄の礎を築いてまいります。

戦後70年、一度も行えなかった憲法改正に挑戦をし、国民の皆さんとともに日本の新しい時代を切り開いていく決意であります。

石破)はい、おはようございます。石破茂です。よろしくお願いいたします。冒頭、多くの災害によって被災をされました方々に心からお見舞いを申し上げ、現場で懸命の努力をされておられる方々に感謝を申し上げたいと思っております。

私はやらなければいけないのは、この国が30年先も50年先も100年先もきちんと存続していくために今やらねばならないことは何なのか。それを明確にすることであります。1億2700万人おりますが、西暦2040年には、これが2000万人減る。80年後には7000万人が減る。日本をどうして維持をしていくのか。どうやって社会の形を継続していくのか、そのことに答えを出さなければいけません。

経済成長というのは、社会保障を維持するためにやるものです。高齢者の方々が増える。女性の方々の活躍の場を増やしていかねばならない。そのための財源をどのように見出していくかということであります。どんなに大企業が儲かろうが、どんなに株をお持ちの方々がお金持ちになろうが。それがそのままで、地方や中小企業、農林水産業に波及するわけではない。経済の構造がまったく違います。

地方、中小企業農林水産、その持っている潜在力、これは大きなものがあります。これを最大限に引き出していくことが必要であって、政府として、それぞれの地域の考えを最大限に支援する。政府が作ったものを地方がやる、中小企業がやるということではない。地域、地域が望んでいるものに対して、政府が的確に答える。そうであらねばならないと私は思っております。

地方に人が足りません。有効求人倍率は上がったといいます。それは人手不足というものを意味するものであります。地方の中小企業の経営者の方、跡継ぎがいない、どうしたらいいんだと。そうお思いの方がたくさんおられます。第二の人生を地方で過ごしたい。そう思ってる人はいっぱいいるのです。どうやってそれをつなげていく仕組みをつくるか、喫緊の課題だと思っております。

多くの伸びしろがある、つまり、収益というものとはこれは別の概念なのであります。一人一人の所得を増やしていかなければなりません。一人一人人の所得が増えていかなければ消費は増えない。どんどん安売りをするということは人口減少下においてデフレしか生みません。金融政策でそうなったか、そうなっていない。いかにして地方に雇用と所得を。そのために私は全力を尽くし、次の時代も日本が残るようにして参ります。

~地方の活性化について~

安倍)ただいま石破さんからですね、人口減少下の中における地方の活性化、課題、問題点について御指摘があったと思います。安倍政権は4年前から地方創生に取り組んできました。そして初代大臣を石破さんに2年間務めていただき、素晴らしい先鞭を付けていただいたと思ってます。その後、山本大臣も梶山大臣も本当に全力で取り組んでいただいています。

その中で例えば地方の大きな産業は一次産業、農業においては、農業生産いわば生産農業所得はですね、これは、この18年間の中で、最も高い数字になり、そして40代以下の新たな若い就農者は4年連続で2万人を超えた。統計を取って初めてのことであります。そして地方の倒産件数、地方には中小企業は多いんですが、中小企業の倒産件数を3割減ってきた中において、地方税収はいま過去最高40兆円を超えておりますし、地方の法人関係税収は多くの県で、4割5割増えているという状況にあって、その中で有効求人倍率上がってきました。

確かに、人手不足という側面もありますが、やっぱり経済がですね、良くなってきたということは間違いないんだろうとこう思っております。マッチングも進んでおりますし、3800人の方々がいわば中堅企業、中小企業に、大企業から東京から移っています。そうしたことを進めてきたんですが、そのどこに大きな問題があったのか、ということについて、お伺いをしたいと思います。

石破)地方の中小企業、この後継者がいない。会社は黒字ではあるんだけど後継者がいないことによって、会社を畳まざるを得ない。みんな会社は続けたい。従業員にもっと給料を払いたい。そう思ってはいるのですが、人が帰ってこないということが最大の問題だと思っています。中小企業に伴走する。一緒になって走っていく、そういう仕組みを作っていきたいと思っています。

東京にお住まいの50代の方。5割の方は第二の人生は地方で送りたい、そういうふうにおっしゃってます。なぜそれがマッチングできないのか。一番大事なのは生まれ育ったところでもう一度一緒にやろう、そういう仕組みを作っていくことだと思っております。

生産性を上げるというのはどういうことなんだろうか。付加価値を上げるということです。どうやって付加価値を上げるかということに対して支援をしていかなければいけないと思っています。農業、漁業、林業、それぞれどういう形で付加価値を上げていくのか、それを具体的に示していかなければなりません。実感と違うということ。別にこういう場だから言っているものではありません。そういう方々の思いに応えたい。私はそう思っています。

安倍)大切なことはですね、問題点を指摘することも大切なんですが、具体的な政策を進めていくことがとっても大切なんだろうと、こう思っております。大企業のOBの皆さんに御協力をいただいて、地方に人材拠点をすで設置をしました。そして、そこでマッチングをしていく。たくさん確かにおられるんです、地方で定年を迎えた後、頑張りたい、いい気候の中で頑張りたいという方がたくさんおられます。そこで、先ほど申し上げましたが、拠点を生かして、マッチングを行い、まだもちろんすごい数ではありませんが、3800人の方々が、地方の中堅企業、中小企業で、第2の人生をスタートしてるということになります。

そして、地域おこし協力隊の皆さんも、我々が政権を取る前から、制度は始まっていたんですが、これが10倍になって、多くの方々がその地域でそのまま生活をしていくという、そういうスタートが、始まっています。確かにですね、今でも、中央から地方に、地方から中央に人が行って、12万人集まっているんですが、景気が良くなっていくとどうしても、中央に人が集まっていく。第1次政権のときは、約15万人集まってきた、東京にです。地方から。しかし今年、安倍政権のこの5年間ずっと景気は回復してますが、12万人でとどまっているというのは、いわば仕事があるからなんです。富山県においても福井県においても、正規の有効求人倍率が1.6、1.7になっていることによって富山市においては、社会増になってます。大切なことはしっかりと仕事を作っていくということ。そして大学、地方の大学を充実をさせていくということも大切だろうと思っておりますが、石破候補の御意見も承りたいと思います。

石破)東京や大企業の成長の果実が、やがて地方や中小企業に波及するという考え方は、私は取っておりません。それは経済のメカニズムが違うものですので、そういうトリクルダウンみたいな話は、地方創生のスタートした時は否定されていたはずですが、骨太の方針を見るとそういう記述があるので、やや違和感を感じています。

実際にこれが2020年代に入ると、経営者の方々の高齢化は別の局面に入ります。70代に多くは達してきますのでね。そこのマッチングのシステムをきちんと決めなければいけない。どうして地方に帰れないか。何の仕事があるかきちんと把握ができない。そして家族と離れて暮らすということは、どうしても悲しいです。そうならない仕組みをどう作るか。

そして東京に建てたお家。誰が住んでくれる、誰が借りてくれる、それはどうなるんだと。そういう一つ一つの悩みがあるんです。それを解決をするということが、具体的な手法ということなのであって、金融であろうが、メーカーであろうが、いろんなノウハウというものを生かしていきたい。そういうような思いを早急に叶える仕組みを作っていく、それが1番必要なことだと私は思っております。

~民主主義のありかたについて~

石破)民主主義のありかたについて、総裁のお考えを伺いたいと思います。民主主義というものが有効に機能するためには、どんな条件が必要なのだろうかということであります。形式に堕することなく、きちんと民主主義が機能するためには多くの方が参加する、当然のことです。棄権するとかそういうことがあっては、一部の人たちの意見で多数決で決まってしまう。これが1つ。

2つ目は、不都合な情報であっても、きちんと参加する人たちに伝えることです。どういう状況なのかということがわからないで、主権者たちは民主に参加する人たちは判断をすることができません。きちんとした数字を包み隠すことなく説明をし、国民に誠実に説明するということです。

もう一つ、民主主義の持つ意義はいかにして少数意見を尊重するか、決まったらそれで終わりではない。議会の場を通じて、どれだけ多くの方の賛同を得るようにするか。賛同が得られなくてもそういうことなんだね政府が言うのは、ということで御理解をいただかなければなりません。私、有事法制のときに、民主党も賛成をして成立をした。そういうものだと思います。これから大きな問題を抱えていく上において。民主主義をさらに有効に機能するための総裁のお考えを承ります。

安倍)まさに石破さんの仰るとおりだと思います。そういう仕組みを常にしっかりと築いていく、そういう社会にしていく必要があるんだろうと思います。言論の自由がしっかりと保障され、報道の自由が保障され、多くの国民が、全ての国民がしっかりと正確な情報に接する、権利を行使できる、そういう社会を作っていくことが必要なんだろうと思います。

ずっと世界を見回してきますと、日本はその中でかなり民主主義の土台が出来ていると私は思っております。公正な選挙が行われている。しかしたゆまぬ努力が必要なんだろうとこう思っております。と同時に、我々は政権与党でありますし、政府を担っている以上ですね。さまざまなご意見や御批判に真摯にお答えをしていく、そういう義務を負っているというのは当然なんだろうと、こう思います。ただし、正確な情報伝えていくことが求められているんだろうと思います。

石破)そうあるべきです。しかし政府から出てくる数字が実際と違っていたり、撤回をされたり、そういうことで本当にきちんとした情報を提供したということになるのだろうか。そこにはもっと改善の余地があるだろうと思っています。議会というのはまさしく議論の場である訳であって、野党も憲法によって全国民の代表者です。野党の後には、国民がいる。主権者たる国民がいる。どうやってわかってもらおうか。納得と共感というのは私は極めて大事なことだと思っています。

多くの法案が成立をしましたし、私も賛成をしました。しかしその後の世論調査によって、じゃあ、その法案に対する御支持というものは高まっているだろうか。安保条約がそうであって後世高い評価を受けるというものはあります。しかし今日本の国が急速に変わっていく中で、いろんな法案の御理解というものを高めていく、それも私は議会の責任だと思っております。いろんな意見に丁寧に総理は答えておられると思いますが、国民の納得というものをさらに高めるためのお考えがあれば承りたいと存じます。

安倍)確かにこうした討論は大切だと思います。そこでですね。大切なことは正確な情報、伝えていくということでもあろうと思います。先ほど石破委員から、今の安倍政権がとっているのはトリクルダウンの政策だという趣旨の話をいただきましたが、私はそんなことを一度も言ったことはありません。地方対東京の対立構造ではなくて、東京の経済が良くなっていけば、地方で作る農作物の価格も上がっていきます。そういう相関関係にも、あるわけでありますから、地方が良くなって、そこから流れてくるものが、ただ滴れ落ちてくるという考え方をとったことがありませんし、まさにそのために、地方の企業に人々が、いろんな人材が行くための制度を作っているということも申し上げておきたいとこう思います。

それと同時にですね、今、石破委員が指摘をされた、安倍政権において、さまざまな文書の改ざん等、行政をめぐる問題で、国民の皆様の不信を招いてしまった。これは私の責任でありますから改めて、お詫びを申し上げたいと思います。こういう反省の上に置いてですね、公文書の管理をしっかりと行っていく。今後はですね、独立公文書管理監がしっかりと管理を行っていく、厳しく、公務員の皆さんにもですね、公文書に対する考えを持って頂かなければならないと思っています。

~自衛隊の位置付けについて~

安倍)安全保障の議論について、石破さんがずっとこの問題に取り組んでこられたことについてですね、まさに私も敬意を表したいとこう考えています。その中で、石破さんが今の政府の憲法解釈と、国際法との関係等々についてですね。誰にも分からない。あるいは世界に通用しないというふうに、強く批判をしておられるわけであります。

ま、そこでですね。例えば、自衛隊は憲法における軍隊ではないという考え方を私たちはとっている、実力組織という考え方をとっておりますが、国際法的にはですね、軍隊であるという立場をとっている。これに対してもご批判をされておられますが、ではもし石破さんが総理大臣になった時にはですね、自分のご主張に合わせて、直ちに変えられるお考えがあるかということでございます。

石破)私も学校で憲法を学びました。陸海空軍その他の戦力はこれを有しない。国の交戦権はこれを認めない。第2項です。じゃぁ陸上自衛隊はなんだ、海上自衛隊はなんだ、航空自衛隊はなんだ、必要最小限度だから戦力ではない。何をもってして必要最小限度というのか。その判断基準がわからないということです。

そして今、総裁がいみじくもおっしゃったように、国際的には軍隊、国内的には違うでは一体何なんだ、ということがわからないままにずっとこれが続いていいと、私は思わない。名称は、国民が愛着を持ち、親しみを持っていただいている、自衛隊のままでちっともかまいません。ですけれど、必要最小限度だから戦力ではない、そういう考え方は、私はかえって国民の理解を妨げるものだと思っています。国内においては違うが、国外においては軍隊、そのような議論は、国際的にまったく通用するものではありません。そういうような立場に自衛隊を置いていいと思わないです。それをきちんきちんと御説明をして、日本国の独立を守る。そして国際法に則って活動する。そのことを明確にする。その御説明をすることが、私は自由民主党の責務だとこのように思っております。

安倍)今、重要なことを言われたと思うんですが、国際法的に軍隊ではないということを総理大臣がですね、明言されますと、いわば自衛隊がこれは今、ハーグ陸戦条約あるいはウィーン条約、ジュネーブ条約、等々でですね、権利、義務、制約がかかっているんですが、そこから外れてしまうということになるわけであります。

つまり日本においては憲法上、必要最小限という制約が各国にはない制約がかかっておりますから、日本ではいわゆる軍隊ではない。実力組織だという考え方であります。まさしく国際社会的にはですね、十分軍隊として認められている、我々は条約をすでにこれは加盟しているわけでありますから、そこでの我々権利はあるわけでありますし。たとえばイージス艦を数隻所有している、5兆円も防衛費にお金を使っている。それが軍隊ではないということはですね、むしろ国際社会的には、そんなことの方が私は非常識なのではないかと考えますが、どうなんでしょうか。

石破)名称は自衛隊のままで構いません。それは国の独立を守る組織、つまり領土であり、国民の生命、統治機構であり、これが国家主権ですから、これが外国から侵されたときに必ずこれを排除する、そういう組織を軍隊と言うんです。世の中には、そういうものです。ただし戦争のあの悲惨な記憶、軍隊という言葉に対する危機感ってのがあること、私もそうです。そうであるならば、それは自衛隊という名称でいい、それは国の独立を守るものだ。

総裁がおっしゃったように、ジュネーブ条約、ジュネーブ条約だけではありません。ハーグ陸戦法規、ハーグ開戦法規、それは自衛権を行使する場合のルールなんです。ルールをきちんと守っていかなければ、それは自衛隊に恐ろしい負荷をかけることになるんです。相手国に向かう商船、臨検、拿捕、没収してよい内容です。でも日本はそれができない。じゃぁそれでこの国の補給というのはどうなる。そういうことをきちんきちんと議論をしながら、日本国の独立と平和を守るために、どうすべきなのかっていうお話こそ、私は必要なのだと思っております。

~社会保障について~

石破)社会保障のあり方について、承りたいと思っております。医療にしても介護にしても保育にしても、設計された時と全く違う、そういう状況になっています。医療保険制度ができたときは、結核に代表される旧世紀の病気だった。だけれども今は、がんであり、糖尿病であり、いわゆる認知症であり、全く性質が変わってきているわけですね。そのときに、今の医療保険、もちろん病気になったら必ずお医者様にかかれるよ、体が不自由だったら介護を受けられるよ、大切なことです。絶対しなければなりません。しかし同時にそうならない社会をつくっていかなければならない。保険ってのは、事故があったら対応する。これが保険です。ですけれど、事故にならないように、どうやって保険の制度を変えていくか、というのは極めて大事なことで、ここに答えを出していかなければなりません。

そして、人生80年85年時代になったときに、私は高齢者対策という、高齢者は対策の対象なのかということではありません。高齢者の方々が誇りを持って生きがいを持って、暮らせる社会というものを構築する。これは極めて大事なことだと思います。保育は質も大切で、保育は福祉だという原点にもう一度立ち返らなければならない。社会保障のあり方について、総裁のお考えを承りたいと存じます。

安倍)人生100年時代を迎えている中において、社会保障制度、社会保障制度というのは医療だけではありません、介護もあります。そして生活保護法等も含めて、全般的な仕組みであろうと思います。

医療につきましては、ちょうど約20年近く前になんですが、当時私は自民党の社会部会長、今で言う、厚労部会長というのを割と長らく務めておりました。そのとき私が打ち出したのは、いわば社会、そのときに私は介護保険制度をスタートさせたんですが、このままでは介護支援制度も医療も、団塊の世代の皆さんがそれを使う立場になったときには持たないのではないかと。今までは病気になってから疾病に対して、対応する仕組みからですね、予防に重点を置くべきだということで、メディカルフロンティア政策というのは、実は打ち出しまして、それが今日まで、実は続いている、自慢話をするわけではありませんが、続いているわけであります。人生100年時代を迎えたときこそですね、重要になっていくんだろうと思います。3年間ですね、3年間で社会保障制度の在り方、人生100年時代にしっかりと備えて改革を行っていきたいと思います。

まずはですね、働き方を変えていく。長時間労働を変え、同一労働同一賃金はその第一歩でありますが、評価や報酬体系を整備して、65歳以上の雇用が継続されることを可能にしていくという仕組みを作り、そしてまた中途採用を大幅に拡大をしていく必要があります。その上に置いてですね、医療保険について、石破さんがおっしゃったように、かかった後ではなくて、かかる前にしっかりと予防していくインセンティブを、保険の中に組み込んでいくということも大切でしょうし、年金においてもですね、生涯現役であれば70歳を超えても受給開始年齢を選択可能にしていく、そういう仕組みを作りたい、3年で断行していきたいと考えています。

石破)保険の仕組みを変えるっていうのはかなり抜本的に変えていくことだと思います。公費を入れていけば、それは保険のメカニズムがその通りには効きません。そして、いかにしてそういう疾病にならないかという努力をすることに、どういうインセンティブを与えていくということを、考えていかなければなりません。そのときに必要なのは、一人一人の幸せというものをどう実現するかということだと私は思っています。

同時にわれわれが考えていかなければいけないのは、いま一人暮らしの高齢者の方が600万人おられます。その内で生活保護以下の水準の所得しかお持ちでない方、300万おられるんです。実際に受け取ておられる方は70万人です。こういう方々に光を当てていかなければなりません。就職氷河期に正規社員にならなくて年収186万円以下の方々が929万人いらっしゃいます。こういう方々をどうしていくのか。男性の66%は独身です。働き方改革において働く人たち、さらに能力を高めて頂く、そういう支援をしていかなければなりません。そういう方々の能力を高めていくこと、これから先日本の社会にとって必ず必要なことだと思います。光の当たらない人たちをどうするか、総裁の考えをお教え下さい。

安倍)人生100年時代がまさに、いま仰ったことを必要としていると思います。「人はいくつになっても、どんな状況でも再出発できる」これは10年、15年間、育児に専念してきた、そして、将来に向けてリカレント教育をうけて再就職を果たした女性の言葉です。ですから、だからこそ私たちは、年をとってもあるいは女性の方もいろんなライフステージですね、自分のやりたいことにチャレンジができるようにリカレント教育の支援拡充を行っていきます。そして働き方改革は、まさにそのためにやってるといってもいいと思います。長時間労働を是正していく。様々なライフステージでさまざまな働き方もできる。そういう社会にしていく必要があるんだろうと、こう思っています。

~格差社会について~

安倍)格差の問題であります。安倍政権になって国、地方合わせて、税収が24兆円増えました。この果実を未来を担う子供たち、そして子育て世代に振り向けてきました。その結果、8割台であった生活保護世帯の子供たちの高校進学率、はじめて9割を超えて、直近で93%になりました。そしてひとり親家庭の子供たちの大学進学率は、24%から42%へと上昇していきました。そして子供の相対的貧困率については、景気が低迷する中、景気、この統計をとりはじめて1999年なんですが、5年ごとにとっていく。9.2、9.7、9.9とずっと上がってきたんですが、安倍政権になって、さまざまな果実を投入してきた結果ですね。初めて減少し、大幅に改善し、7.9。2ポイント下がることができました。

そして、すべての子供たち、家庭の経済事情によって、将来への夢に走っていくことができないような日本にしてはならない。そのために教育の無償化を更に行っていく。常にそういう格差に光を当てていくことがとても大切なんだろうと、こう思っておりますが、石破さんは今格差が広がっているのか。あるいはそうではないかということについて、どうお考えなんでしょうか。

石破)数字は、総裁がおっしゃったとおりだと思います。一方において企業が最高収益は出た。年収1億円以上の役員の方々の数が最高になったと思っております。他方、先般発表された財務省から、企業の稼ぎの中から、労働者の方々に回るお金の割合、労働分配率って言っています。43年ぶりの低水準だった。これは一体どういうことなんだ、ということだと思います。

過労死という言葉は、外国にはありません。過労死するまで働いて、どうしてこんなことが起こるのだということだと私は思います。所得を上げていかなければならないのであって、所得が上がらない。物価が上がっていけば、やがて消費が増えていく。そして経済が好循環に入る。残念ながらその通りにはなっていません。どうやって所得を上げていくかということが、いかにして労働分配率を上げていくかということに、経営者が配慮していかなければならないことなのです。どうやってそのような形で、個人の所得を、働いた分に見合った、そういうような所得を得させていくか。そのことについてのお考えをお教えください。

安倍)労働分配率の低下はなぜか。我々もずっと分析をしてきましたし、委員会でも何回も議論をしてきました。それはまさにこれは付加価値が大幅に増加している。14%、つまり分母が大きくなっています。つまり景気が回復していく。それは石破さんがおっしゃったように、企業の収益が上がってきます。この付加価値の上昇によってですね、景気が回復していく局面においては、労働分配率は下がっていきます。しかし人件費、給料も増えている、これは5%増えているんですが、それ以上に、付加価値が14%増えていくことによって、労働分配率が下がってます。

であるからこそ、我々は通常では行えないことでありますが、このデフレから脱却する困難な事業をみんなで一緒に行うために企業に賃上げを要請し、ことしも3%要請し、多くの企業が3%引き上げてくれました。中小企業においては、これは賃上げです。5年連続で今世紀に入って、大企業においては5年連続で今世紀に入って過去最高で賃上げが続いておりますし、中小企業をにおいても、過去20年で最高となっております。そして総雇用者所得は5年連続でプラスとなり、過去16年で最高となっております。

そして重要な最低賃金でありますが、15円、16円、18円と上げ、25円、26円と、上げて参りました。26円上げたのは28年ぶりのことでありまして、6年で時給125円上がってきたわけでありますし、パートの皆さんの時給は過去最高になっている。しかしもっともっとですね、企業は最高の収益を上げてますから、我々もデフレから脱却をして消費を伸ばしていくために、多くの企業にもっと投資、人に投資をしてもらいたいと思っています。

石破)日本は社会主義国ではないので政府がお願いして賃金が上がるというのは、私はかなり異例の形なんだと思っております。それは収益と付加価値は全く別の概念なのであって、それは金利が下がり、そして労働者に対する分配率を下げれば、収益は上がるでしょう。しかし大切なことは、いかにして付加価値を高めていくか、付加価値を高めて、安いからこれを買おうということがずっと続いていくと、人口減少下において絶対にデフレは止まらない。このお金を出してもこれを買いたい。このお金を出してもこのサービスを受けたい。それが付加価値の上昇というものなのですね。

ですから賃金を抑制し、金利の支払いが減れば、収益は上がるでしょう。しかしながら付加価値は上がらない。GDPは付加価値の総和ですね。どうすれば付加価値が上がっていくか、それは働く人たちの能力をさらに高めていくことだと。そういうものに対する支援を最大限に行うことだと。その余地は中小企業、サービス業を含みます。そして地方にもいっぱいあるのであって、東京にもそのようなローカル経済は存在するのであって、大企業の収益がそのまま地方に回るということではない。当然のことでございます。

~災害対策について~

石破)この災害列島ということに対する対処についてお考えを教えください。今までとは全く違うことが起こっている。大阪の震災、そして西日本豪雨。さらには台風21号、北海道の胆振東部地震。全く今までと違う状況が起こっている。災害が起こったらば、全力で対応する。政府として当たり前のことであります。しかし日本国中1718市町村、対応が違っていいと私は思わない。そして災害があって対応するのは当然で、全員が防災大臣、そういう考えも必要でしょう。しかしどうすれば災害が起こらないか。なんで関西空港で電源がああなったか。地下に置いたからですよね。なんで北海道でああいう停電が続いたか。発電所を集中したからですよね。何でブロック塀が倒れて、女の子の命が失われたか。あんなものを残しておいてはいけなかったんですよね。災害対応ってのは24時間365日、専任の大臣、専任のスタッフ、それにおいて平時からやっていくことが最も必要であって、私はその平時からの体制として、防災専門のそういう行政の部署が必要だと思っております。お考えを承ります。

安倍)まず直ちにやらなければいけないこと、すでにやっていることもあります。1つはですね、今、気象の変化によって、集中豪雨、予想もできないような集中豪雨が起こります。それに対応していくこと。川における浚渫これは国が管理する川だけではなくて、県が管理するもの、地方自治体が管理するもの等も全て早急に浚渫に取り掛かり、多くは浚渫を完了している所もあります。そうした、いわばこの気象の変更に対する防災減災、国土強靱化のための緊急対策を3年で集中して講じていきます。

同時にいま石破さんが触れられた、関空の問題もありますね。そして電力の問題もあります。電力や関空など、そうしたさまざまな重要な交通インフラ、あるいは基盤的なインフラが、さまざまな災害に際して、ライフラインを維持できるように、全国で緊急に点検をしてまいります。もちろん子供たちこの命を守るために、ブロック塀等危険箇所を総点検をしていきます。同時にですね、防災というのはまさに大きな災害が起こったときには、全省庁が取り組まなければなりません。そしてそれを糾合できるのは、タイムリーに糾合して指示をすることができるのは総理大臣だけでありまして、防災大臣が例えば、経産大臣に指示をしてプッシュ型をすぐやれと言ってすぐできるものではなくて、例えばクーラーが届くというのは、経産省において、日ごろその業界と通じている人たちがお願いをして、状況を見ながらこれできるでしょうっていうことやって、直ちにできるということでもありますし。それを運んでいく上においてもトラックの運送、国交省との連絡もしていかなければいけません。

そういうものを防災省に全部持っていくということになればですね、これは、では通常の勤務との関係はどうなっていくかという課題もあります。もちろんですね。石破さんがおっしゃったように、さまざまなノウハウを蓄積していくと、今でも内閣府防災には蓄積をしていると思いますが、さまざまな課題、防災省をつくっていくという考え方も排除せずにですね、常によりよい防災を考えていかなければいけないとこう考えております。

石破)野党の政調会長でした。私はね。3.11、大震災、大津波原発事故のときに、ご無理をお願いして、女川の避難所に一晩泊めていただきました。泊まらないとわからないので、いろんなお話を聞きました。「石破さんね、我々は陳情するのが仕事じゃない。経産省に行ったら農水省に行け、農水省に行ったら、厚労省に行け、そうじゃないだろ。一つのところがきちんと全部対応するのが、政府のあり方じゃないのか」ということはものすごく胸に刺さったし、民主党政権は復興庁なんかいらないと言ったけれど、私たちは一生懸命、法案を書いて、今の状況にあるわけです。

被災者の側、国民の側、行政の理屈じゃなくて、被災者の側、国民の側に立った仕組みというのは、一体何なんだということです。そして蓄積がなされているか。各省から2年きては帰り、若いまた新しい人が来て帰り、そういう脆弱な体制の時何かが起こったらどうするか、1718市町村、今度の総社がそうであったように、本当に完璧な対応をするところと、そうでもなかったところ、それが分かれていいと私は思わないんです。北海道から九州沖縄まで、同じ体制そして被災者の側に立つ、国民の側に立つ行政機構が私はそれが必要なものだと確信をしています。

安倍)民主党政権時代と今の我々の政権とは違うということを、はっきりと申し上げておきたいと思います。例えば熊本地震の時にも。各省庁から局長級以上の人たちのチームを送りました。でそこに話があればそこで相談して、直ちに内閣府防災にあがってくる、我々の会議において私自身が指示を出す。ですからこの省だからあの省だからということは起こりません。それはどうかご安心をいただきたいとこう思います。

例えばコンビニ、商品がなくなる、その商品をどうするか、これは直ちに経産省が対応しますが、運ぶことは経産省ができない。だから自分達ができないとはもちろん言わない。それを異例ではありますが、防衛省、自衛隊に運んでもらう。それは一企業であったとしても、コンビニというのは、ある意味ライフラインになっていく。そこに商品が並ぶことによって地域の人たちが安心してもらえるような、そういう対応をしっかりとっています。ですから防災省がないからといって、あの省だからこの省だからということは、起こってはいないということは申し上げておきたいと、こう思うわけであります。

例えば電力についてはですね、今電力の供給、残念ながら北海道電力、ああいうことになってしまった。北海道と本州との融通が十分じゃなかった。60万キロワットしかできない、これ問題だと思ってます。ただちに30万キロワット増やしていきますし、石狩のLNGが来年の3月に動いていけば、さらに50数万キロワット増えてきます。それで充分だとは思いません。そういう対応というのはやっぱり、経済産業省がですね、しっかりと電力会社と向き合いながら進めていくことなんだろうと、こう思っています。

(討論会第2部の記事はこちら