【全閣僚紹介】
岸田首相 内閣改造 河野太郎氏、高市早苗氏ら起用

岸田総理大臣は8月10日、内閣改造と自民党の役員人事を行いました。初入閣は9人で、重要課題への対応が必要となる厚生労働大臣や防衛大臣に経験者を起用するなど、5人が再入閣となります。

第2次岸田改造内閣は、皇居での新閣僚の認証式を経て、正式に発足しました。

総務大臣 岸田派の寺田稔・総理大臣補佐官

寺田氏は、衆議院広島5区選出の当選6回で、64歳。寺田氏は初めての入閣です。
岸田総理大臣が率いる自民党岸田派に所属しています。
寺田氏の妻は、岸田派につながる派閥を結成した池田勇人・元総理大臣の孫で、財務省の主計官などを経て、平成16年の衆議院選挙で初当選しました。
これまでに防衛政務官や総務副大臣などを歴任し、去年から、岸田総理大臣のもとで、核軍縮・不拡散や国家安全保障などを担当する総理大臣補佐官を務め、NPT=核拡散防止条約の再検討会議に向けた各国との調整にあたってきました。
岸田総理大臣としては、みずからに近く、行政経験が豊富で幅広い分野の政策に精通した寺田氏を起用することで、政権基盤を安定させる狙いがあるものとみられます。

法務大臣 岸田派の葉梨康弘氏

葉梨氏は、衆議院茨城3区選出の当選6回で、62歳。葉梨氏は初めての入閣です。
岸田総理大臣が率いる自民党岸田派に所属しています。
元警察官僚で、義理の父親にあたる葉梨信行・元自治大臣の秘書などを経て、平成15年の衆議院選挙で初当選しました。
これまでに財務政務官や法務副大臣、それに農林水産副大臣などを歴任し、現在は党の政務調査会長代理などを務めています。
岸田総理大臣としては、みずからに近く、官僚出身で法務行政にも精通した葉梨氏を起用することで、円滑な政策の実現を図る狙いがあるものと見られます。

外務大臣 岸田派の林芳正氏が留任

林氏は、61歳。
大蔵大臣などを務めた父、義郎氏の秘書官などを経て、参議院議員を5期務めたあと、去年10月の衆議院選挙で山口3区に立候補して初当選し、衆議院議員に転じました。
岸田総理大臣が率いる自民党岸田派で派閥のナンバー2の座長を務めていて、これまでに防衛大臣や農林水産大臣、文部科学大臣などを歴任しました。
岸田内閣発足後の去年11月に外務大臣に就任し、ロシアのウクライナ侵攻などを受けて国際情勢が厳しさを増す中で、対応にあたっていて、党内では将来の総裁候補としても名前があがっています。
岸田総理大臣としては、みずからに近く、幅広い政策に精通して安定感に定評のある林氏を留任させることで、岸田外交の維持・強化を図る狙いがあるものとみられます。

財務大臣 麻生派の鈴木俊一氏が留任

鈴木氏は、衆議院岩手2区選出の当選10回で69歳。
自民党麻生派に所属しています。
鈴木善幸・元総理大臣の長男で、麻生副総裁の義理の弟です。
父親の秘書を経て、平成2年の衆議院選挙で初当選し、これまでに環境大臣やオリンピック・パラリンピック担当大臣、それに党の総務会長などを歴任しました。
そして、去年10月に発足した岸田内閣では財務大臣に就任しました。
岸田総理大臣としては、党三役や閣僚を歴任してきたベテランで、麻生氏にも近い鈴木氏を、引き続き重要なポストに留任させることで、政権基盤を安定させる狙いがあるものとみられます。

文部科学大臣 麻生派の永岡桂子氏

永岡氏は、衆議院茨城7区選出の当選6回で68歳。永岡氏は初めての入閣です。
自民党麻生派に所属しています。
衆議院議員だった夫の洋治氏が死去したのを受け、平成17年の衆議院選挙に立候補し、初当選しました。
これまでに厚生労働副大臣や文部科学副大臣、衆議院の文部科学委員長などを務めています。
岸田総理大臣としては、女性政策などに取り組んできた永岡氏に期待し、所属する麻生派の意向なども踏まえ起用したものとみられます。

厚生労働大臣 茂木派の加藤勝信・前官房長官

加藤氏は3回目の厚生労働大臣となります。
加藤氏は、衆議院岡山5区選出の当選7回で、66歳。自民党茂木派に所属しています。
旧大蔵省出身で、義理の父親の加藤六月・元農林水産大臣の秘書などを経て、平成15年の衆議院選挙で初当選しました。
これまでに官房副長官や一億総活躍担当大臣を歴任し、厚生労働大臣を2度務めたほか、党の総務会長や菅内閣で官房長官も務めました。
義理の父親の六月氏は、亡くなった安倍元総理大臣の父親、晋太郎・元外務大臣の盟友で、安倍元総理大臣と加藤氏も旧知の仲で知られています。
岸田総理大臣としては、加藤氏が、厚生労働行政をはじめ幅広い分野の政策に明るいことや、官房長官として省庁間や与党などとの調整にあたってきた実績を評価して起用を固めたものとみられます。

農林水産大臣 茂木派で参議院議員の野村哲郎氏

野村氏は、参議院鹿児島選挙区選出の当選4回で、78歳。野村氏は初めての入閣です。
自民党茂木派に所属しています。
鹿児島県農協中央会の常務理事を経て、平成16年の参議院選挙で初当選しました。
これまでに、農林水産政務官のほか、参議院の農林水産委員長や決算委員長などを歴任しました。
現在は、党の参議院議員副会長を務めています。
岸田総理大臣としては、農林水産行政に精通し、党内第2派閥の茂木派に所属する野村氏を閣僚に起用することで、政権運営の円滑化を図る狙いがあるものとみられます。

経済産業大臣 安倍派の西村康稔・前経済再生担当大臣

西村氏は、衆議院兵庫9区選出の当選7回で、59歳。
旧通産省を経て、平成15年の衆議院選挙で初当選しました。
政策通としても知られ、第2次安倍内閣以降、官房副長官などを務めたあと、経済再生担当大臣として初入閣し新型コロナの感染対策などに取り組みました。
岸田政権発足後は、自民党の選挙対策委員長代行や、新型コロナ対策本部の本部長を務めています。
岸田総理大臣としては、党内最大派閥の安倍派で事務総長を務める西村氏を起用することで、挙党態勢の構築を図る狙いがあるものとみられます。

国土交通大臣 公明党の斉藤鉄夫氏が留任

斉藤氏は、衆議院広島3区選出の当選10回で、70歳。
公明党の副代表を務めています。
建設会社勤務を経て、平成5年の衆議院選挙で初当選し、これまでに環境大臣や党の幹事長、政務調査会長などを歴任しました。
そして、去年の岸田内閣の発足にあわせて国土交通大臣に就任し、国土交通省が統計データを不適切に取り扱っていた問題への対応や、新型コロナで需要が低迷する観光分野の対策に取り組んできました。
岸田総理大臣としては、党の要職を歴任した斉藤大臣の豊富な政治経験や政策の継続性を重視し、留任させることにしたものとみられます。

環境大臣 安倍派の西村明宏氏

西村氏は、衆議院宮城3区選出の当選6回で、62歳。西村氏は初めての入閣です。
自民党安倍派に所属しています。
三塚博・元大蔵大臣の秘書を経て平成15年の衆議院選挙で初当選しました。
国土交通副大臣や官房副長官などを歴任し、現在は、党の筆頭副幹事長を務めています。
岸田総理大臣としては、党内最大派閥の安倍派に所属し、政府や党内でさまざまな調整役を務めてきた西村氏を起用することで、政権運営の円滑化を図る狙いがあるものとみられます。

防衛大臣 無派閥の浜田靖一氏

浜田氏は、2回目の防衛大臣となります。
浜田氏は衆議院千葉12区選出の当選10回で66歳。無派閥です。
父親の浜田幸一・元衆議院議員の秘書などを経て、岸田総理大臣と同じ平成5年の衆議院選挙で初当選しました。
これまでに、自民党の国会対策委員長のほか、防衛庁の副長官や衆議院安全保障委員長、麻生内閣で防衛大臣を務め、安全保障分野を中心に取り組んできました。
岸田総理大臣としては、ウクライナ情勢や米中対立など厳しい安全保障環境の中、浜田氏の安全保障の知見を生かし年末に控える「国家安全保障戦略」など安全保障関連の3つの文書の改定に向けた与党側との調整を円滑に進める狙いがあるものとみられます。

官房長官 安倍派の松野博一氏が留任

松野氏は、衆議院千葉3区選出の当選8回で、59歳。
自民党安倍派に所属しています。
会社員や松下政経塾を経て、平成12年の衆議院選挙で初当選し、6年前の第3次安倍第2次改造内閣で文部科学大臣として初入閣し、その後、自民党の総務会長代行などを歴任しました。
去年10月の岸田内閣の発足に伴い官房長官に就任し、新型コロナや北朝鮮のミサイル発射などへの対応にあたってきました。
岸田総理大臣としては、党内最大派閥の安倍派に所属する松野氏を引き続き、内閣の要である官房長官として起用し、政権基盤を安定させる狙いがあるものとみられます。

デジタル大臣 麻生派の河野太郎・党広報本部長

河野氏は衆議院神奈川15区選出の当選9回で、59歳。
父は自民党総裁を務めた河野洋平・元衆議院議長です。自民党麻生派に所属しています。
平成8年の衆議院選挙で初当選しこれまでに外務大臣や防衛大臣を歴任し、菅内閣では、規制改革担当大臣を務め、新型コロナのワクチン担当の大臣として、接種の促進に取り組みました。
去年の総裁選挙では、岸田総理大臣と決選投票まで争って敗れました。
広報本部長として、去年秋の衆議院選挙と、この夏の参議院選挙で党の広報戦略を担いました。
岸田総理大臣としては、知名度のある河野氏の発信力に期待し、総裁選挙で争った河野氏を閣僚に起用することで、党内融和と政権運営の安定につなげる狙いがあるものとみられます。

復興大臣 茂木派の秋葉賢也氏

秋葉氏は、衆議院比例代表・東北ブロック選出の当選7回で60歳。秋葉氏は初めての入閣です。
自民党茂木派に所属しています。
宮城県議会議員を経て、平成17年に行われた衆議院の補欠選挙で初当選しました。
これまでに、復興副大臣や厚生労働副大臣などを歴任しています。
岸田総理大臣としては、被災地が地元の秋葉氏を起用することで、復興を加速させる狙いがあるものとみられます。

国家公安委員長 防災担当大臣 二階派の谷公一氏

谷氏は、衆議院兵庫5区選出の当選7回で、70歳。谷氏は初めての入閣です。
自民党二階派に所属しています。
兵庫県の職員や、農林水産大臣などを歴任した父親の秘書などを経て、平成15年の衆議院選挙で初当選し、これまでに、国土交通政務官や復興副大臣などを歴任しました。
岸田総理大臣としては、幅広い分野の政策に精通する谷氏を起用することで、安倍元総理大臣が銃撃されて死亡した事件を受けた要人警備の見直しや来月の「国葬」の準備などに万全を期すとともに、みずからと距離を置く派閥からも人材を起用することで、挙党態勢を構築したいという狙いがあるものとみられます。

地方創生担当大臣 安倍派で参議院議員の岡田直樹・参議院国会対策委員長

岡田氏は、参議院石川選挙区選出の当選4回で、60歳。岡田氏は初めての入閣です。
自民党安倍派に所属しています。
森元総理大臣と親戚関係にあり、新聞記者や石川県議会議員を経て、平成16年の参議院選挙で初当選しました。
その後、財務副大臣や参議院国土交通委員長、それに官房副長官などを歴任し、現在は、党の参議院国会対策委員長を務めています。
岸田総理大臣としては、党内最大派閥の安倍派に所属し、党の要職も務めてきた岡田氏を閣僚に起用することで、政権基盤を安定させる狙いがあるものとみられます。

少子化担当大臣 二階派の小倉將信氏

小倉氏は、東京23区選出の当選4回で41歳。小倉氏は初めての入閣です。
自民党二階派に所属しています。
日本銀行の職員を経て、平成24年の衆議院選挙で初当選しました。
その後、総務政務官などを歴任し、現在は、自民党の青年局長を務めています。
岸田総理大臣は、去年の自民党総裁選挙で、中堅・若手の登用を掲げた経緯があり、当選4回の小倉氏を起用することで、みずからの公約を着実に実現させる姿勢を示す狙いもあるとみられます。

経済再生担当大臣 新型コロナ対策担当大臣 麻生派の山際大志郎氏が留任

山際氏は、衆議院神奈川18区選出の当選6回で53歳。
自民党麻生派に所属しています。
獣医師などを経て平成15年の衆議院選挙で初当選しました。
去年10月の岸田内閣の発足に伴い、経済再生担当大臣として初入閣し「新しい資本主義」の実現に向けた取り組みを進めてきました。
また、新型コロナ対策担当大臣としても社会経済活動と感染拡大防止の両立を図る政策の推進に努めてきました。
さらに、今月からはスタートアップ担当大臣も兼務し、経済成長と社会的な課題の解決に向けて、革新的なビジネスを生み出すスタートアップ企業の支援を強化する司令塔の役割を担っています。
岸田総理大臣としては、新型コロナの感染者が全国で拡大する中で、対策の継続性を重視するとともに新しい資本主義の実現に向けた取り組みを加速させる狙いがあるものとみられます。

経済安全保障担当大臣 無派閥の高市早苗・党政務調査会長

高市氏は、衆議院奈良2区選出の当選9回で61歳。
自民党では無派閥で活動しています。
平成5年の衆議院選挙で無所属で初当選し、旧新進党などを経て、その後自民党に入党しました。
安倍元総理大臣と政治信条が近かったことで知られ、安倍政権当時、総務大臣や自民党の政務調査会長などを務めました。
去年の自民党総裁選挙では安倍氏の支援も受けて立候補し、岸田総理大臣らと争いました。
そして、岸田政権発足に伴って再び党の政務調査会長に起用されました。
岸田総理大臣としては、政務調査会長を務めてきた高市氏を重視する経済安全保障政策の担当大臣に起用してさらに推進するとともに、安倍氏に近かった高市氏を起用することで、挙党態勢をアピールする狙いもあるものとみられます。

経済安全保障担当大臣は、当初、二階派の小林鷹之氏が留任で調整されましたが、最終的に見送られました。

留任は5人 初入閣は9人

林外務大臣や鈴木財務大臣、松野官房長官ら5人が留任します。
また、3度目の厚生労働大臣就任となる加藤氏や、2度目の防衛大臣就任となる浜田氏など、5人が再入閣となります。
一方、初入閣は、少子化担当大臣に起用される当選4回の小倉氏など9人です。

安倍派と麻生派が最多の4人

第2次岸田改造内閣の閣僚を自民党の派閥ごとにみますと、安倍派と麻生派が最も多い4人で、続いて、茂木派と岸田派が3人、二階派が2人となりました。
森山派や▽谷垣グループからの起用はありませんでした。
一方、無派閥は2人で、公明党はこれまでと同様1人となりました。

平均年齢は62.65歳

岸田総理大臣と19人の閣僚の平均年齢は62.65歳で、去年10月に第1次岸田内閣が発足した際の61.81歳より0.84歳、高くなりました。
最高齢は野村哲郎氏で78歳、最年少は小倉將信氏で41歳です。
岸田総理大臣と19人の閣僚を年代別にみますと
▽70代が3人、
▽60代が12人、
▽50代が4人、
▽40代が1人となっています。

女性閣僚は2人

女性の入閣は、永岡桂子氏と高市早苗氏の2人で改造前と同じでした。

最も当選回数が多いのは10回 当選4回も

第2次岸田改造内閣の衆議院議員の閣僚で、最も当選回数が多いのは、10回の鈴木俊一氏、斉藤鉄夫氏、浜田靖一氏です。
当選回数が少ないのは参議院議員として5回当選し、去年、衆議院議員に転じた林芳正氏を除けば小倉將信氏の4回です。
このほか、
▽当選9回が2人、
▽8回が1人、
▽7回が4人、
▽6回が5人となっています。
一方、参議院議員の2人は、いずれも当選4回です。

国家安全保障担当の総理大臣補佐官に岸防衛相

岸田総理大臣は、10日行う内閣改造で、国家安全保障担当の総理大臣補佐官を務める寺田稔氏を総務大臣に充てるのに伴い、後任に岸信夫防衛大臣を起用する意向を固めました。

岸氏は、衆議院山口2区選出の当選4回で、63歳。亡くなった安倍元総理大臣の実の弟で、外務副大臣などを務めたあと、おととし、菅内閣で防衛大臣として初入閣しました。岸田総理大臣としては、日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中、NSC=国家安全保障会議にも関わる国家安全保障担当の総理大臣補佐官に防衛大臣の岸氏を起用することで、ことしの年末に取りまとめる安全保障関連の3つの文書の改定の議論などを安定的に進めていく狙いがあるものと見られます。

自民党役員人事

自民党の役員人事です。

▼麻生派会長の麻生太郎副総裁と
▼茂木派会長の茂木敏充幹事長が留任し、
▼総務会長に谷垣グループの遠藤利明選挙対策委員長、
▼政務調査会長に安倍派の萩生田光一経済産業大臣、
▼選挙対策委員長に森山派会長の森山裕・前国会対策委員長が起用されます。