データで見る参院選2022①
比例で得票率減の自民 若者離れも

投票箱の画像

先の参議院選挙で自民党は改選議席の過半数を確保しましたが、比例代表では前回より得票率を下げました。NHKが投票日に行った出口調査によりますと、10代と20代の若い世代では、比例代表で自民党に投票した人の割合がほかの年代より低く、前回と比べて7ポイント下がったことが分かりました。

先の参議院選挙で自民党は、単独で63議席を獲得し、改選議席125の過半数を確保して、大勝しました。このうち、比例代表の結果を見ますと、自民党は、全国でおよそ1826万票を獲得し、得票率は34.4%でした。前回と比べると、投票率が上がったこともあり、得票数はおよそ54万票増えましたが、得票率は0.9ポイント下がりました。その結果、獲得議席数は前回より1つ少ない18でした。

前回と比べて得票率が下がったのは30都府県で、下げ幅が最も大きかったのは和歌山で5.6ポイント、次いで石川が5.5ポイント、京都が5.4ポイントなどとなっています。

自民党に投票した人の割合を年代別で見ると、どのような特徴があったのでしょうか。
NHKが投票日に行った出口調査によりますと、比例代表で自民党に投票した人は、30代から60代では40%ほど、70歳以上では43%でしたが、10代と20代では37%で、ほかの年代より低くなりました。

前回からの増減を見ますと、10代と20代は7ポイント下がり、下げ幅が最も大きくなりました。また、30代も3ポイント下がっています。
一方、50代は1ポイント、60代は3ポイント、70歳以上は1ポイント上がりました。40代は増減がありませんでした。

若い世代で自民党に投票した人の割合が前回より低くなったのは、なぜでしょうか。

手がかりになるのが、若い世代の政権への評価に前回から変化が見られることです。

前回の選挙で、これまでの安倍政権の評価を聞いたところ、「大いに」と「ある程度」をあわせて「評価する」は64%、「あまり」と「全く」をあわせて「評価しない」は36%でした。

「評価する」と答えた人の割合を年代別に見ますと、10代と20代は69%、30代は70%と7割ほどでしたが、40代は66%、50代は64%、60代は61%、70歳以上は62%で60%台前半から半ばでした。若い世代ほど「評価する」と答えた人の割合が高くなる傾向が見られました。

一方、今回の選挙で、これまでの岸田総理大臣の政権運営の評価を聞いたところ、「大いに」と「ある程度」をあわせて「評価する」は74%、「あまり」と「全く」をあわせて「評価しない」は26%でした。

「評価する」と答えた人の割合を年代別に見ますと、70歳以上は80%、60代は76%、50代は73%で7割から8割を占めました。一方で、40代は69%、30代は66%、10代と20代は68%といずれも60%台半ばから後半で、70歳以上と比べると10ポイント以上低くなりました。

質問内容が異なるため、単純な比較はできませんが、前回の選挙とは対照的に、若い世代ほど政権を「評価する」と答えた人の割合が低くなる傾向が見られました。

では、若い世代はどの政党に投票したのでしょうか。
国民民主党や参政党に投票した人の割合がほかの年代より高い傾向が見られました。
国民民主党に投票した人の割合は、70歳以上は3%でしたが、年代が下がるほど高くなり、10代と20代は10%と最も高くなりました。
参政党に投票した人の割合は、70歳以上は1%でしたが、10代と20代は5%で、30代や40代とともに最も高くなりました。

最近の選挙では、若い世代ほど自民党に投票する傾向が見られていましたが、今回、投票行動に変化が現れ、選挙結果にも影響を与えた可能性があります。

NHK出口調査
7月10日に全国の1704か所で実施
調査対象は19万9715人
13万161人(65.2%)が回答