9党幹部 憲法や外交・安保を議論 NHK日曜討論 参議院選挙

7月10日に投票が行われる参議院選挙に向けて、NHKの「日曜討論」では、与野党9党の幹部が、争点の1つとなっている憲法改正について意見を交わしました。

自民党の茂木幹事長は「自民党は4項目の条文イメージを示して、国民への説明も全国各地で行っている。時代の転換点にあって、緊急事態条項をはじめ、新しい時代にふさわしい憲法のあり方を、国民に選択肢として示すのは国の役割だ。この選挙後、できるだけ早いタイミングで憲法改正原案の国会での可決、発議を目指したい。主要政党間でスケジュール感を共有し、早期に憲法改正を実現したい」と述べました。

立憲民主党の西村幹事長は「国家権力をより縛り、国民主権の効力をもっと強化していくという方向であれば、憲法改正を議論するのはやぶさかではないが、自民党から提案されている改憲4項目はとても賛成はできない。憲法改正よりも、先にやらなければならないことがある。あまりにも大きな格差の是正をやらずに、改憲を参議院選挙で問うのは順番が違う」と述べました。
公明党の石井幹事長は「与野党の対決というより、なるべく多くの政党に賛成してもらうことが重要だ。自衛隊の明記については、大多数の国民がすでに合憲の存在と認めており、憲法に書かなければ活動ができないことはない。党内には文民統制を明記すべきという議論もあり、しっかり議論していきたい」と述べました。
日本維新の会の藤田幹事長は「安全保障の現実的な議論を行う時に、自衛隊をどう扱うかは、根本的なスタート地点の話だ。戦後、自衛隊の扱いはものすごくあいまいで、憲法を改正して自衛隊を明記したら、無制限に戦争できる国になるというのは極端な議論で、あり得ない。現実的な議論をすべきだ」と述べました。
国民民主党の榛葉幹事長は「憲法議論は、『与党対野党』や『保守対リベラル』という発想ではなく、国民と一緒にこの国の形を考えていくということが大事だ。緊急事態の対応など、与野党が一致できる問題からしっかりと議論していきたい」と述べました。
共産党の小池書記局長は「憲法9条を変えるかどうかは、この国の政治の根本にかかわる問題で、翼賛的な、一方向に国会が進んでいくのは非常に危険だ。9条を守ろうというのが国民の多数の意思であり、その実行に力を尽くしていきたい」と述べました。
れいわ新選組の高井幹事長は「憲法を守らない人たちが、憲法を変える議論をすること自体が問題だ。自民党の改憲4項目はいずれも法整備で十分可能であり、なかでも緊急事態条項は極めて危険だ」と述べました。
社民党の服部幹事長は「日本国憲法は、日本が侵略戦争をしないという国際公約だと思っているので、平和憲法を変えることには反対だ」と述べました。
NHK党の黒川幹事長は「憲法をよい方向に変えていくためにも、大事なことはサイレント・インベージョンに注目し、防御することだ」と述べました。

外交・安全保障政策は

今回の参議院選挙で、争点の1つとなっている外交・安全保障政策をめぐって、各党の幹部の発言です。

▼自民党の茂木幹事長は「防衛体制の抜本的強化が必要だ。まず来年度予算で6兆円台半ばの防衛費を確保し5年以内に対GDP比2%も念頭に、防衛力をしっかり整備できる予算水準を確保する必要がある。北朝鮮がミサイルを開発し、中国が大幅に防衛力を増強する中、迎撃能力の向上だけで国民の生命、財産が守れるのかを考えると、『反撃能力』の保有も必要だ」と述べました。

▼立憲民主党の西村幹事長は「日本を守るために真に必要な防衛力を、憲法の範囲で整備していきたいが、数値目標ありきの防衛費の引き上げは間違っている。日本の安全を守るためには、まずは、対話外交、平和外交をしっかりとやって、有事が起きないようにすることが大事だ」と述べました。

▼公明党の石井幹事長は「国民の命と平和な暮らしを守っていくためには、防衛力を着実に整備・強化しなければならない。防衛費の増額は十分検討すべき課題だが、額ありきではなく、具体的な中身を議論した上で、必要な予算を確保すべきだ」と述べました。

▼日本維新の会の藤田幹事長は「戦後の安全保障のあり方が根本的に変わってきている現実を直視して議論できない政党に、政権担当能力はない。外国から攻められないための積極防衛能力を整備するための議論をタブーなくすべきだ」と述べました。

▼国民民主党の榛葉幹事長は「国防なくして国家の安寧はない。専守防衛をしっかりと守りながらも、防衛予算を不断に見直し、必要な防衛経費は増額していくのは当然のことだ」と述べました。

▼共産党の小池書記局長は「大軍拡の財源について、岸田総理大臣は『増税すると言うと国民は反対するから、選挙では黙ってやり過ごそう』ということか。白紙委任は許されない」と述べました。

▼れいわ新選組の高井幹事長は「一方の国が軍事増強すれば、相手国もそれにあわせて増強し、両国が望まぬ戦争が偶発的に起こる。平和外交を徹底するしかない」と述べました。

▼社民党の服部幹事長は「防衛力の増強には反対だ。平和は武力で作れないというのが歴史の教訓で、外交でしか作れない」と述べました。

▼NHK党の黒川幹事長は「国防を考えたときに、外国勢力に影響を受けて国民のための政治を行わないことはやめてほしい」と述べました。