選挙はスポーツだ! ポリレンジャー!

「どんな願いで投票しましたか?」
2021年10月の衆議院選挙。
投票所の出口で聞き取り調査を行う学生たち。
彼らの使命、それは「政治の入り口に立つ」ことだった!
(映像センター 武藤崇之)

選挙はスポーツだ!

島根大学法経学科の2年生 秋本大空さん
「みんなで一緒に応援ができる選挙。スポーツみたいで楽しい!」

こう話す秋本大空さんは島根大学法経学科の2年生。
幼いころ家族と見た開票速報。
目に焼き付いて離れない大人たちの一喜一憂する姿。
18歳となり選挙権を得た。

高まる関心が頂点に達し、ついに「ポリレンジャー」に変身した!
「ポリレンジャー」とは「ポリティクス(政治)」+「戦隊(レンジャー)」
島根大学で啓発活動を行う団体だ。
隊員は5名。
その使命は調査を通じて「政治の入り口に立つ」ことだ。

2021年10月の衆議院選挙。
「ポリレンジャー」は動いた。

投票日当日、投票所の出口で待ち構える。
票を投じたばかりの有権者、のべ117名に聞き取り調査を行ったのだ。

調査で政治の入り口へ立つ

その名も通称「入口調査」。
有権者たちが、何を思い、どんな理由で票を投じたのか。

入口調査
秋本隊員らポリレンジャーは、聞き取りを通じて政治参加への「入口」に立つ。
それこそが世にはびこる無関心を改める入り口になると行動した。
「入口」調査では、1票に込められた有権者の思いに触れることができた。

(男性)
「コロナ禍で自分の給料は変わらないのに、まわりで職を失う人たちを目の当たりにした。
アフターコロナに策を有する候補の名を記入した」

(母親)
「子育て政策や、教育の充実を謳いながら、自分の住む街を駆けた候補に望みを託した」

「どうせ変わらない」と諦めてはいけない。
隊員たちは選挙権を持つ新成人として、政治の入り口に立てた気がした。

入り口を探しあぐねる学生

ポリレンジャーの生みの親、島根大学法文学部の毎熊浩一教授。
平成21年から、隊員たちに積極的な啓発活動を呼びかけている。

毎熊教授は、ことし7月の参院選を前にアンケートを実施。
学生90名を対象に、投票への関心を調べるためだ。

「ネット投票なら投票する」「行きたいが勇気がいる」「充分な知識がなく、ためらいあるが関心もある」
アンケートを分析した毎熊教授は、若者の投票率の低さは一概に関心の低さによるものだけではないと指摘した。

島根大学法文学部の毎熊浩一教授
「学生たちには政治参加に意思を示しつつも、その入り口を探しあぐねているケースが多い。主体性を持って動く若者を、同世代の若者が見て何かを感じ取ってほしい」

入り口に立つも出口は見えず

ポリレンジャーの仲間たちと入口調査を終え、秋本隊員に課された次なるミッション。
それは…

オンラインでの模擬投票の実施だった。
対象は島根大学の学生5000人。
実際に行われた選挙戦を元に、小選挙区と比例代表で投票してもらった。
通常の投票に加え、記入欄で有権者を評価する独自の投票だ。
狙いは投票する学生たちに、事前に候補者たちや政党の情報調べてもらうこと。
隊員たちの期待は頂点に達した。

…しかし投票や回答は87件。
期待した数値には届かず、ミッションは達成できなかった。

しかし光明もあった。投票した学生から前向きなメッセージだ。

「ネットだと気軽に投票できた」「自分で調べてみるきっかけになった」
若者の潜在的な興味や関心に触れ収穫になったと考えた秋本隊員。
「政治は難しく考えなくてもいいと思う。政治と生活は密接に繋がっていて、暮らしの至る所に入り口がある。そのことに気づいてほしい」
ポリレンジャーの隊員

ことし春、ポリレンジャーのもとに朗報が舞い込んだ。
6名の新入生が隊員となる。
ポリレンジャーの活動に加わる意を示したのだ。
秋本隊員は隊長となった。

7月の参議院選挙。
秋本隊長らポリレンジャーは有権者の「入口」に立った仲間たちと一緒に初めて投票を行う予定だ。
隊員らはこれからも政治への無関心と戦い続けるのである…