マータイム導入できぬ
根拠を正確に伝えたい」

東京オリンピック・パラリンピックの暑さ対策の一環として、夏に生活時間を早める「サマータイム」の導入を求める声が出ている中、IT機器にどのような影響が出るかを専門家が話し合うシンポジウムが開かれ、準備期間が短すぎるなどとして反対する意見が相次ぎました。

このシンポジウムは、情報セキュリティーやIT技術の専門家などで作る「情報法制研究所」が開き、はじめに講演した立命館大学の上原哲太郎教授は「ITインフラをサマータイムに対応させるには、4年から5年の準備期間が必要と考えられ、2年後のオリンピックには間に合わない」と述べました。

そのうえで、インターネットに接続された家電製品などでは対応が難しいことや、各地の地震計を取り替える必要があるなど、防災体制にも影響があることを挙げました。

また、ITの業界団体からは「EUがサマータイムの廃止を検討する中、日本で科学的、経済的な分析が十分に行われないまま導入が議論されることに危惧を覚える」といった意見も出されました。

サマータイムをめぐっては、エネルギー消費が抑えられ地球温暖化対策にもつながるなどとする意見がある一方、国民生活や経済活動に大きな影響を与えることを懸念する声も上がっています。

上原教授は「オリンピックまでにサマータイムを導入できない根拠を正確に伝えていきたい」と話していました。