憲法記念日特集
施行75年で各政党の主張は

5月1日に放送された、NHKの『憲法記念日特集』では、今後の憲法論議にどう臨むかなどをめぐって、与野党で意見が交わされました。
各党はどのような主張をしているのか、発言は次の通りです。

自民党総裁・岸田総理大臣

まず、憲法の基本理念、国民主権、基本的人権の尊重、そして平和主義、これはゆらぐことはないと信じています。その上で、施行から75年たった憲法の中においては、時代にそぐわないとか、不足している部分もあるのではないか、こういった議論にしっかり応えていかなければならないと思います。そして、国会での議論が続いていくことは歓迎すべきことですが、憲法のあり方を決めるのは、あくまでも国民ですので、こうした国会の議論が、国民の皆さんの議論に、そして、理解につながっていくという流れを作っていかなければならないと思っています。自民党においても、研修会、対話集会、全国で展開していますが、ぜひ、国民の皆さんの中で、憲法に対する意識がより高まって、理解が進んで、そして改正の議論が進むことを期待したいと思っています。

立憲民主党・泉代表

立憲民主党、まさに立憲主義の政党でありますから、権力者が強くなる国ではなくて、やはり国民の自由を守る、そういうことをやはり強く訴えていきたいと思います。その意味では、今の憲法というのは、非常に人権規定をしっかり整備をしていて、もう数十年、70年80年と経っていきますけれども、非常に先進的な憲法規定だと思っております。そして、憲法審査会でもですね、例えば、憲法を実際に改正しようと思うならば、改正していこうと思うならば、手続きとして、国民投票法の整備というのはまだ不十分。特に、やはり、外国からのお金が流れてきて、それが投票行動に影響を与えるようなことがあってはいけない。CM規制やネット広告規制、こういったものは必ずやっていかなければいけないと思います。

公明党・山口代表

日本の憲法は過去の悲惨な戦争によって多くの命が失われたということから出発して、平和主義や、それだけではなくて、基本的人権の尊重、また国民主権主義、こうした大きな3つの原理が大事であり、それを国民が受け入れてきたと思います。そうした日本の憲法のあり方について深く議論する必要があると思います。こんにち的な課題も出てきておりますけれども、この憲法の意義というものを改めて共有をすべきだと思います。この前、若い人たちに「国会で議論していることが私たちは全然理解できません」、「いきなり選挙で選択肢ですと示されても、全くついて行けません」、「もっと国民の理解が得られるような幅広い議論を望みます」ということを言われたばかりであります。そうした国民の理解が伴った憲法審査会の議論を期待したいと思います。

日本維新の会・馬場共同代表

日本維新の会はすでに、教育の無償化、そして統治機構改革、憲法裁判所の設置、この3項目を憲法改正項目として準備ができています。憲法審査会も、毎週開かれるようにはなりましたが、お城でいうと、まだ外堀で泳いでいるような議論しか行われていない。やはり本丸に入って、こういう討論番組に皆さんお見えになると、もうどの党も、憲法のどこがどうだとか、熱心におっしゃるんですけれども、こういった議論を憲法審査会の中で行って、どんどんどんどんいろんな項目について議論を深めていく。議論が整えば採決をして、そして発議をするかどうか決めていく。こういう、セカンドステージに憲法議論は進んでいると思いますので、ぜひ全ての政党がそういう方向を向いて、議論がスタートできるように期待したいと思います。

国民民主党・玉木代表

コロナで明らかになった憲法上の課題を速やかに解決すべきだというのが、我が党の立場です。1つ、憲法56条の「出席」の概念、オンラインが含まれるのかどうかということを今回、憲法審査会で議論して、「含まれる」ということで、一定の結論が出たことは私、大きな成果だったと思うんです。それを受けて、今ですね、憲法審査会、衆議院で議論しているのは、いわゆる緊急事態、感染症の拡大などを含む緊急事態において、いついかなるときでも立法府の機能、行政監視機能や立法機能を維持するためにですね、任期の特例延長、憲法で衆議院は4年、参議院は6年と明記してあるので、その満了時に何か起こったときに選挙はできない、そういうときでも立法府の機能を維持するための任期の特例延長ですね、議論して、速やかに結論を得ていくべきだと考えます。

共産党・志位委員長

私達は憲法9条を変える議論ではなくて、憲法9条を生かした、平和外交の議論を大いにやっていきたい。外務事務次官を務めた、藪中三十二さんがですね、最近の著書で、日本の強みは信頼力にあるということを強調して、こう述べておられる。ASEAN諸国は、日本、中国、アメリカ、どの国を一番信頼するかという問いかけに対して、日本を一番信頼してくれてる。日本はASEAN諸国と協力して、これまで築き上げてきた信頼力の上に立って、世界の平和に貢献するという強いメッセージを打ち出すべきだと。私、その通りだと思うんです。憲法9条のおかげで、戦後、自衛隊は1人の外国人も殺していない。1人の戦死者も出していません。非核三原則を国是とし、核兵器を持っていない、つまり憲法9条が作り出してきたこの信頼力があるわけですね。この信頼力を生かした外交で、アジアと世界の平和に貢献すると、いうことが日本に求められると、強く言いたいと思います。

れいわ新選組・山本代表

憲法は一言一句変えてはならないという立場ではありません。必要あれば議論すべきだろうと。ただし、現行憲法が守られているということが絶対条件です。例えばですけど、憲法25条、これはこの国に生きる者には健康で文化的、そして最低限度の生活を保障しているものですけれども、これがほごにされ続けています。例えば、25年間に及ぶ経済政策の失敗によって、コロナの前の厚生労働省の調べでは、生活が苦しいと言われている世帯が54%。母子世帯では86%。そこにコロナ災害が加わったのに、コロナ予算30兆円も余らせたと批判されていました。そこに戦争まで起きている。今回発表された経済対策6兆円程度ですよ。どこまでドケチなんですか。今こそ、消費税廃止、ガソリン税はゼロ、社会保険料の国負担を増やすなどが必要です。憲法改正は優先順位低いですよ。やってることが違う。

社民党・福島党首

戦争をしないこと、まさにそのことを憲法9条は言っています。軍備力増強、緊張をあおり、まさに軍事に頼る、そういう国ではなく、まさに憲法9条を持ち、戦争をしない、平和を構築していくことこそ重要です。憲法9条改悪反対です。そして憲法は、生存権、平和的生存権、表現の自由、労働基本権などたくさんのものを規定しています。今、生存権が守られているでしょうか。まさに憲法の価値を実現していく。そのことを社民党は元気で頑張ってやってまいります。

NHK党・立花党首

憲法はおおむねすばらしいことをうたっている国の最高法規であることは当然認めた上で、それをさらに現代に沿った形でブラッシュアップする。ウクライナ情勢を見るかぎり、憲法9条については早急に見直すべきだと。われわれとしては憲法9条を守るよりも、国民の生命財産を守ることを優先しなければならない。