米朝首脳会談後も
「脅威に変化なし」防衛白書

ことしの防衛白書がまとまり、北朝鮮の核・ミサイル開発の脅威は、6月に行われた米朝首脳会談のあとも変わっていないとしたうえで、新型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の導入の必要性を強調しています。

閣議に報告された防衛白書では、6月に行われた米朝首脳会談について、キム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長が朝鮮半島の完全な非核化に向けた意思を文書の形で明確に約束した意義は大きいと指摘しています。

一方で、北朝鮮は、日本を射程に収める弾道ミサイルを実戦配備し、核・ミサイル開発を進展させ、運用能力を向上させているとして、米朝首脳会談後も「これまでにない重大かつ差し迫った脅威であることに、基本的に変化はない」としています。

そのうえで、白書では、弾道ミサイル攻撃への対処能力を強化していくとして、「新型迎撃ミサイルシステム『イージス・アショア』を導入すれば、わが国を切れ目なく守る能力を抜本的に向上できる」と、導入の必要性を強調しています。

また、海洋進出を強める中国の動向について「日本周辺での活動を一方的にエスカレートさせている」として、地域・国際社会の安全保障上の強い懸念と位置づけています。

防衛相「わが国の安全保障環境は厳しい」

小野寺防衛大臣は閣議のあとの記者会見で、防衛白書について「北朝鮮問題については、対話で解決に向かうことは重要なことだが、現時点では核・ミサイルの廃棄の動きは見られないこと、また、中国の最近の軍の拡大、能力の向上など、わが国の安全保障環境が厳しい状況にあることを知ってほしい」と述べました。

そのうえで、小野寺大臣は「それに対応して防衛省・自衛隊の能力をどのように高めていく必要性があるか、その方向性について白書を通じて国民に知っていただく必要がある」と述べました。