岸田首相 ウクライナ情勢「国民生活に痛みが増すことも」

ウクライナ情勢をめぐり、岸田総理大臣は11日、自民党の役員会で、紛争が長期化し、原油や食料の価格高騰で国民生活への痛みが増すこともありえると指摘し、国民に対し丁寧に説明して協力を求める考えを示しました。

この中で岸田総理大臣は、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻について「紛争がエスカレーションしたり、長期化したりする可能性も十分ある。原油や食料の価格高騰で国民生活に痛みが増すこともありうる」と指摘しました。

そのうえで「世界が秩序か混乱かという一大岐路にたっていることを国民に丁寧に説明し、協力をお願いしていく」と述べました。

一方、岸田総理大臣は、新型コロナの感染状況について「全国の新規感染者の数は下げ止まっていて、今後しばらくは、平時への移行期間と位置づけ、感染拡大防止と経済社会活動のバランスに腐心していく。ワクチンの接種は、自治体の空いている枠を活用して、大学生をはじめ若者への接種を促進していく」と述べました。

このあと、茂木幹事長は記者会見で、ウクライナ情勢について「深刻な事態が続いており、おそらく、3か月、半年、1年以上という単位で物事を見ていく必要がある。ウクライナ侵略は戦争犯罪で、党としても政府の対応を後押ししていきたい」と述べました。

公明 山口代表“現金給付の必要性” 党内意見踏まえ検討の考え

物価の上昇を踏まえた緊急対策をめぐり、公明党の山口代表は、近く党としてまとめる提言には、賃上げの恩恵を受けられない人への支援策を盛り込むとしたうえで、現金給付の必要性については党内の意見を踏まえて検討する考えを示しました。

ウクライナ情勢に伴う物価の上昇を踏まえた緊急対策をめぐり、公明党の山口代表は、視察先の埼玉県行田市で記者団に対し「賃上げの恩恵を受けられない生活者が困窮状態に陥り、物価高の打撃を直接被ることについては何らかの対応が必要だ。党の提言でもそういう趣旨を盛り込みたい」と述べました。

そのうえで、自民党内などで出ている現金給付の必要性については「給付でやるかどうか党内で意見を集約していきたい。支援を必要とする人たちがいることはしっかり認識することが大事だ」と指摘しました。

一方、山口氏は、自民・公明両党と国民民主党の実務者で協議が続いている原油価格の高騰対策について「今政府が行っている石油元売り会社に対する補助金の引き上げは、それなりに効果が出ている。ここをベースにどう措置するか煮詰めていきたい」と述べました。

松野官房長官「与党の意見や議論踏まえ検討進めたい」

物価の上昇を踏まえた緊急対策をめぐり、松野官房長官は11日、午後の記者会見で、公明党の山口代表が賃上げの恩恵を受けられない生活者に対する何らかの対応が必要だという認識を示したことについて「政府としては、与党の意見や議論も踏まえながら、具体的な内容について検討を進めていきたい」と述べました。

そのうえで「政府としては、岸田総理大臣からの指示に基づき、まずは一般予備費、コロナ予備費を活用した迅速な対応を優先し、原油価格や物価高騰などの影響を受ける方々に必要な支援が行き届くよう具体的な施策の検討を進めていく方針だ」と述べました。

一方、自民・公明両党と国民民主党の実務者で協議が続いている原油価格の高騰対策に関連して、山口代表が、石油元売り会社に対する補助金の引き上げをベースにすべきだという考えを示したことについて「原油価格の高騰がどの程度長期化するかや3党協議の状況も注視しながら、何が実効的で効果的な対策かという観点から、政府全体で検討していきたい」と述べました。