首相 インド・カンボジア訪問
“力による現状変更許さず”

岸田総理大臣は、19日から3日間の日程で、インドとカンボジアを訪問して首脳会談を行い、ウクライナ情勢をめぐって意見を交わしました。
一連の会談では、いかなる地域でも力による一方的な現状変更は許してはならないという認識で一致し、国際秩序を守るため連携していくことを確認しました。

岸田総理大臣は、19日から3日間の日程でインドとカンボジアを訪れ、モディ首相、フン・セン首相との首脳会談を行いました。

一連の会談では、ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナ情勢をめぐって意見が交わされ、いかなる地域でも力による一方的な現状変更は許してはならないという認識で一致し、国際秩序を守るため連携していくことを確認しました。

そして会談後に共同声明を発表し、モディ首相との声明では、ウクライナでの紛争と人道的危機に深刻な懸念を表明し、戦闘行為の即時停止を要求することなどを盛り込みました。

また、フン・セン首相との声明でも、武力行使の即時停止と軍隊の撤退を要求することなどを明記しましたが、いずれの声明もロシアを直接的には非難しませんでした。

一連の日程を終え、岸田総理大臣は記者団に対し「国によってそれぞれの立場がある中で、力による一方的な現状変更を認めないという基本的な方向性や考え方を確認できたことは大変大きなことだ」と述べ、成果を強調しました。

岸田総理大臣は帰国後、ベルギーの首都ブリュッセルで今週24日に開かれるG7=主要7か国の首脳会議に出席する予定で、今回の両首脳との会談でウクライナ情勢をめぐり連携を確認したことを説明するとともに、G7の首脳との結束を確認し、ロシアに対する国際社会の厳しい姿勢を示したい考えです。

バイデン大統領 ウクライナ隣国 ポーランド訪問へ


アメリカのホワイトハウスは、バイデン大統領が今週、ウクライナの隣国、ポーランドを訪問し、ウクライナでの人道危機などをめぐり首脳会談を行うと発表しました。

アメリカのホワイトハウスは20日、声明を発表し、バイデン大統領が今月25日にウクライナの隣国ポーランドの首都ワルシャワを訪問し、翌26日にドゥダ大統領と首脳会談を行うと発表しました。

会談について声明は「ウクライナでのロシアによる正当化できない理不尽な戦争をめぐる人道や人権の危機への対応を議論する」としています。

ポーランドにはウクライナから最も多い200万人を超える人が避難してきていて、会談では、各国に避難を余儀なくされている人々への支援などについても意見が交わされるものとみられます。

バイデン大統領は今週24日に開かれるNATO=北大西洋条約機構やG7=主要7か国の首脳会議に出席するためベルギーの首都ブリュッセルを訪問することになっていて、これにあわせてポーランドも訪れることになります。

ヨーロッパ訪問を前にバイデン大統領は21日、ドイツやフランス、イギリスなどの首脳と電話会談を行い、ウクライナへの軍事侵攻について意見を交わすことにしていて、ロシアに対する対応で同盟国などとの連携を一層深めてロシアへの圧力を強めたい考えです。

ポーランド訪問の背景は

バイデン大統領がポーランドを訪問する背景には、ウクライナへのロシアの軍事侵攻をめぐって、ポーランドが人道と軍事の両面で重要な役割を果たしていることがあります。

人道面では、隣国ウクライナから各国に避難している人々のうち、最も多い200万人を超える人を受け入れています。

軍事面では、西側諸国がウクライナに行っている大規模な軍事支援の輸送拠点の1つになっていると見られています。

また、バイデン政権は先月、ロシアによる軍事侵攻が始まる直前に、ヨーロッパ東部の防衛態勢を強化するためとして、アメリカ軍の部隊の追加派遣を相次いで行っていて、ポーランドには現在およそ9000人のアメリカ兵が駐留しています。

今月10日には現地を訪問したアメリカのハリス副大統領が、迎撃ミサイル「パトリオット」2基の配備が完了したと発表するなど、NATO=北大西洋条約機構の加盟国のうち東側に位置するポーランドは防衛のための重要な位置を占めています。

一方、先週にはポーランドをはじめ、チェコ、スロベニアの3か国の首相が、ロシア軍の攻撃が続く首都キエフに異例の訪問を行ってウクライナとの連帯を示していて、バイデン大統領としては、ウクライナ情勢に強い危機感を持つポーランドを訪問することで、NATOの強固な同盟関係を改めて伝えたいねらいもあるとみられます。