ロシア「ウクライナ侵攻ない」
日ロが電話首脳会談も

ロシアは安全保障問題をめぐってアメリカに回答した文書の内容を公開し、この中でウクライナに軍事侵攻する意図を改めて否定しました。その一方で、ウクライナのNATO=北大西洋条約機構への加盟は、アメリカなどとの武力衝突を引き起こすことになると警告し、NATOの拡大をめぐる問題で譲歩するよう欧米側に迫りました。

ロシア外務省は17日、安全保障問題をめぐるロシア側の見解についてアメリカ側に回答したとする文書を公開しました。

この中では、軍事的な緊張が続くウクライナ情勢について「アメリカとその同盟国が去年の秋から主張している『ロシアの侵攻』は存在せずその計画もない」として、ロシアがウクライナに軍事侵攻する意図を改めて否定しました。

その一方で、「ウクライナがNATOに加盟すれば、アメリカやその同盟国と、ロシアとの武力衝突を引き起こすことになる」と警告したうえで「NATOのさらなる東方拡大を放棄することを法的に明記することについて具体的な提案を期待する」としてNATOの拡大を巡る問題で譲歩するよう欧米側に迫りました。

そして、「法的拘束力のある形で確実にロシアの安全を守る用意がない場合、われわれは軍事技術的な措置を含めた対応を余儀なくされる」と主張し、「新しい『安全保障の均衡』を共に考えていくことを提案する」と呼びかけています。

ロシアは、NATOによる中・短距離ミサイルの配備や軍備管理などで、欧米側が対話の用意があることを評価しながらも、ウクライナ国境周辺での軍の部隊の展開については、「ロシア軍が自国の領土に駐留することはアメリカの基本的な利益に影響を与えるものではない」としてアメリカの懸念にはあたらないと突き放しました。

ロシア外務省は、17日、ロシアに駐在するアメリカのサリバン大使を呼んで11ページにわたる文書を手渡し、今後アメリカ側がどういう反応を示し、具体的な交渉が始まるかが焦点となります。

日ロ首脳会談 岸田首相「力による一方的な現状変更は認められない」

緊張が続くウクライナ情勢をめぐり、岸田総理大臣はロシアのプーチン大統領と電話会談を行い、力による一方的な現状変更は認められないとして、外交交渉を通じて関係国が受け入れられる解決方法を追求するよう求めました。

岸田総理大臣は17日夜9時半すぎから20分あまり、ロシアのプーチン大統領と電話会談を行いました。

この中で岸田総理大臣は、重大な懸念を持って情勢を注視していると伝えた上で、力による一方的な現状変更は認められないとして外交交渉を通じて関係国が受け入れられる解決方法を追求するよう求めました。

これに対しプーチン大統領は、ウクライナ情勢をめぐるこれまでの経緯やみずからの考え方について説明しました。

そして両首脳は北方領土問題を含む平和条約交渉をはじめとする日ロ関係や、ウクライナをはじめとする国際情勢などについて対話を続けていくことで一致しました。

会談のあと岸田総理大臣は記者団に対し「緊張の緩和に向けた粘り強い外交努力を続けていきたい。G7=主要7か国をはじめとする国際社会と連携し、実際の状況に応じて適切に対応していきたい」と述べました。

また、記者団から、ロシアが軍事侵攻した場合の制裁について意見を交わしたか問われたのに対し「それぞれの考え方について意見交換を行ったが、具体的な内容は控えたい。外交交渉や外交努力によって問題を解決していくべきであるということを基本としながら意見交換を行った」と述べました。

ロシア国防省 “部隊撤収” 説明動画を掲載

ロシア国防省は17日、ロシア軍の部隊が撤収しているとする状況をコナシェンコフ報道官が説明した動画を公式サイトに掲載しました。

このなかで報道官は「軍の部隊は、演習が終われば、通常通り、所属する基地に戻る」と述べ、地図を示しながら部隊が計画通りに撤収していると強調しました。

また、国防省は17日も、ウクライナ南部のクリミア半島で演習をしていた南部軍管区の部隊が基地に戻るとする映像を公開するなど撤収をアピールしています。

一方、ウクライナと国境を接するベラルーシでは、ロシア軍とベラルーシ軍の合同軍事演習が続いていて、17日にはルカシェンコ大統領が視察に訪れました。

このなかでルカシェンコ大統領は記者団に対し、演習で説明を受けたとするロシアの短距離弾道ミサイル「イスカンデル」について、「いい兵器だ。ロシアから購入したい」と述べました。

また、ルカシェンコ大統領は「必要な弾薬や装備品はそのまま置いておくことになっている」と述べ、ロシア軍が持ち込んだ一部の武器は、演習の終了後もベラルーシ国内に残る可能性があると明らかにしたうえで「敵国が愚かなことをしてくるのであれば、核兵器の配備もありうる」と述べました。

ルカシェンコ大統領は、18日にはモスクワを訪れてロシアのプーチン大統領と首脳会談を行い今後の軍事協力について協議するとしていて、両国の軍事的な結束を示し、欧米側に揺さぶりをかける思惑があるとみられます。

NATO国防相会議 “ロシア軍撤収の兆しなく部隊増強” 警戒強化

NATO=北大西洋条約機構の国防相会議が開かれ、ロシアが、ウクライナとの国境周辺に展開する軍の一部を撤収させていると発表していることについて、撤収の兆しは依然なく、むしろ部隊が増強されているとして警戒を強めていくことを確認しました。

NATOは17日までの2日間、ベルギー・ブリュッセルの本部で国防相会議を開きました。

会議のあとの記者会見でNATOのストルテンベルグ事務総長は「ロシアは撤収を主張しているが、そうした兆しはないどころか、むしろ部隊の増強を続けているとみられる。事態の推移を注視している」と述べました。

また、アメリカのオースティン国防長官も「ロシア側は、すでに配置している15万人以上の部隊に加えてさらにその数を増やし、いくつかの部隊は、国境に近づいている。より多くの戦闘機や支援機が飛来し、輸血のための物資を蓄える様子も見られる」と述べ、軍の一部を撤収させているとするロシア側の発表に否定的な見方を示し、NATO加盟国の間で警戒を強めていくことを確認したということです。

また、ウクライナ東部の一部を事実上、支配している親ロシア派の武装勢力が、ウクライナ軍から砲撃を受けたと主張していることについて、「われわれは、ロシアが軍事衝突を正当化するため、このようなことをするのではないかと以前から言ってきたので注視していく」と述べ、警戒感を示しました。

米国務長官「ウクライナ侵攻が差し迫った脅威」国連安保理で

国連の安全保障理事会でウクライナ情勢をめぐる会合が開かれ、アメリカはロシアによるウクライナ侵攻が差し迫った脅威だと指摘したのに対し、ロシアはアメリカが誤った情報を広げていると反発し、双方の非難の応酬となりました。

17日、国連安保理で開かれたウクライナ情勢をめぐる会合には急きょアメリカからブリンケン国務長官が出席しました。

この中でブリンケン長官は「ロシアによるウクライナ侵攻が平和と安全に対する最も差し迫った脅威だ」と述べ、ロシアが数日中にウクライナへの攻撃を開始する準備を進めている情報があると明らかにしました。

そして「ロシア政府はこの場でウクライナに侵攻しないと世界に向けてはっきりと表明すべきだ」と述べ、ロシアに迫りました。

そのうえでブリンケン長官は、ロシア側から安全保障問題をめぐる書面を受け取ったとして、ラブロフ外相に対し来週中にも対面での会談を行うよう提案したと明らかにし、重ねて外交による解決を求めました。

これに対してロシアのベルシーニン外務次官は「アメリカが発表したいわゆる『侵攻の日』は過ぎ去った。ロシアがウクライナに侵攻するという根拠のない非難は控えるべきだ」と述べ、強く反発しました。

また、親ロシア派の武装勢力が事実上支配しているウクライナ東部の一部では、ウクライナ軍の攻撃によって多数の市民が死傷していると主張し、安保理としての対応を求めました。