濃厚接触者 検査なしでも
感染と診断可能に 厚労相

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、後藤厚生労働大臣は、自治体が判断すれば、感染者の濃厚接触者に発熱などの症状が出た場合、検査を受けなくても、医師が感染したと診断できるようにする方針を明らかにしました。

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、後藤厚生労働大臣は24日夜、記者団に対し、医療提供体制を確保するため、自治体の判断で、現在の外来診療の在り方を見直すことができるようにする方針を明らかにしました。

具体的には、診療や検査を受けるのに時間がかかる場合は、
▽発熱などの症状があっても、若くて基礎疾患がないなど、重症化リスクが低い人は、抗原検査キットなどを使って、みずから検査したうえで医療機関を受診することや、
▽電話やオンライン診療などの遠隔医療の積極的な活用を、呼びかけるとしています。

また、感染者の濃厚接触者に発熱などの症状が出た場合、検査を受けなくても、医師が感染したと診断できるようにするとしています。

さらに、外来医療のひっ迫が想定される場合は、症状が軽く、重症化リスクが低い人は、医療機関を受診せずに、みずから検査した結果をもとに、医師が配置されている自治体の「フォローアップセンター」に連絡し、速やかに健康観察を受けることができるとしています。

そのうえで、後藤大臣は「今後、感染者がさらに継続して急拡大した場合に備え、地域の判断で、迅速に、患者を適切な検査や療養につなげるための対応が実施できるよう、方針を示した。自治体や医療関係者と密接に連携し、患者の状態などに応じた適切な療養を確保できるよう、全力で取り組んでいきたい」と述べました。

厚生労働省は、全国の自治体などにこうした内容を通知することにしています。

「抗原検査キット」 需要増で不足の現場も メーカーは増産体制


新型コロナウイルスの感染の急拡大で需要が高まる抗原検査。薬局や診療所の中には、短時間で結果が分かる「抗原検査キット」が不足するところも出てきています。

こうした中、検査キットのメーカーは、国からの増産の要請を受けて、夜間も操業するなど生産体制を強化しています。

検査キットの不足に直面している現場はどのような状況に置かれているのか。そして政府やメーカーの対応は。

東京 中央区にある薬局では、去年の秋以降、医療用の抗原検査キットを販売しています。

抗原検査キットはその場で15分から30分ほどで結果が分かるのが特徴で、この薬局では、感染が拡大した今月中旬ごろから買い求める人が増え始め、ことしに入ってからおよそ30回分を販売したということです。

しかし、先週半ば以降、業者に追加の注文をしても確保できない状態になっていて、24日の時点でも今後の入荷の見通しは立っていないということです。

薬局では24日も朝から抗原検査キットの購入を求める電話が相次いでいて、対応したスタッフが現状を説明していました。

越前堀薬局の薬剤師の犬伏洋夫さんは「自分も感染しているのではないかという不安がかなり強いのではないかと思います。不安を払拭(ふっしょく)するための検査もしてもらいたいという思いもありますが、この状況では本当に必要な人のところに検査キットが回らないのではないかと不安に思っています。私たちも適切に説明をして、本当に必要な方に行き渡るようにしたいです」と話しています。

診療所でも底をつく状況が

千葉市の診療所でも、キットが底をつく状況が起きています。

千葉市稲毛区にある診療所の発熱外来では抗原検査を行って、患者の治療方針などを決めています。

この診療所では、先週はじめの時点で400人分の抗原検査キットを用意していましたが、先週半ばから患者が急増し、23日は100人余りの患者が訪れたため、患者が70人を超えたところで検査キットがなくなったということです。

残りの30人余りについては採取した検体を民間のPCR検査に回し、1日から2日の間、結果を待ってもらっています。

24日朝、以前から注文していた200人分の抗原検査キットが届きましたが、今後の供給のめどは立っておらず、このままのペースだと2日で足りなくなる見込みだということです。
24日も午前中だけで59人に検査し、20人が陽性だったということで、診療所の河内文雄医師は「PCR検査では結果が出るのに時間がかかり、その間に感染を拡散させるおそれがあるし、治療が難しくなることもある。正直とても不安ですが多くの患者が来るので対応せざるをえない」と話していました。

自治体の検査にも影響が

名古屋市は新型コロナウイルスへの対応について24日午後、緊急の記者会見を開き、PCR検査の試薬や抗原検査キットが不足し始めているとして、学校や事業所などで感染者が出た場合に行っていた濃厚接触者のスクリーニング検査を当面見合わせると発表しました。

このなかで名古屋市健康福祉局の浅井清文医監は「検査試薬がしっかりあれば濃厚接触者で無症状の人も検査するのが理想だが、現実はそうはいかない。無症状の人はなるべく自宅で待機し、資源を症状がある人に振り向けてほしい」と述べ、濃厚接触者と疑われる場合でも症状が出ていなければ検査を控えるよう協力を求めました。

そのうえで、そうした人に対し感染者と最後に接触した日から10日間は自宅に待機して外出を自粛し、症状が出た場合には医療機関に連絡して受診するよう呼びかけました。

市ではこうした措置により、重症化のリスクが高い基礎疾患のある人や高齢者などへの検査態勢を確保したいとしています。

メーカーは生産体制を強化

検査キットのメーカーは、国からの増産の要請を受けて、夜間も操業するなど生産体制を強化しています。

感染の急拡大を受けて厚生労働省は今月、抗原検査キットのメーカーなどに増産を要請しました。

大分県宇佐市の医療用の抗原検査キットのメーカーも、注文が急増していたということで、国の要請も踏まえて先週から増産体制に入りました。

これまで午後5時までだった工場の稼働時間を午後11時まで延長するとともに、休日も操業することで、1日最大で2万回分だった検査キットの製造量を2万5000回分に増やすことを目標としているということです。

さらに今後は、工場で働く人数を現在の1.5倍の75人に増やし、24時間体制とすることも計画しているということです。

アドテック株式会社製造部の幡手真二部長は、「毎日すごい量の出荷があり備蓄が底をつきつつある状況です。従業員には負担がかかりますが、できるだけ増産しようと着手したところです。安心安全のために1日に1つでも多くのキットを作って届けたいという使命感を持って生産しています」と話していました。

岸田首相「メーカーに供給量の引き上げを要請」

検査キットが不足している状況に対して、岸田総理大臣は記者団に対し「感染が拡大している地域では診療所の外来が混み合って不便をおかけし、検査キットが手に入りづらくなっているとの声も聞いている」と述べました。

そのうえで外来受診について、現場の声や科学的知見を踏まえ、遠隔診療の活用や症状のある人にあらかじめ検査キットを渡すなど、円滑な受診が進むよう改善していく考えを示しました。

また検査体制の確保について「検査キットは460万回分を確保しており、さらにメーカーに対し国が買い取り保証をして、当面、1日80万回分まで供給量の引き上げを要請している」と述べました。

松野官房長官「自治体 メーカー 卸売業者と連携 体制確保を」

また、松野官房長官は記者会見で「感染の急拡大で検査需要の増加スピードが速く、地域によって一時的に検査能力の不足が生じている。政府としては、不足の懸念がある地域は自治体と連携して抗原検査キットの供給量を増やすなどの調整を行うほか、メーカーに最大限の増産を要請し、必要量の確保に努めている。また、卸売業者にPCR検査の試薬や抗原検査キットの安定供給を依頼している。自治体やメーカー、卸売業者とも連携して、検査体制の確保に努めたい」と述べました。