「沖縄のは次世代にも」
稲嶺元知事 翁長氏葬儀で

今月8日に亡くなった、沖縄県の翁長知事の葬儀と告別式が那覇市内で営まれ、大勢の人が最後の別れを惜しみました。

沖縄のアメリカ軍普天間基地の名護市辺野古への移設阻止を訴え、国と激しく対立してきた沖縄県の翁長知事は、今月8日、すい臓がんのため、67歳で亡くなりました。

13日午後から、那覇市の大典寺で葬儀が行われ、稲嶺恵一元知事が弔辞を読み上げました。
この中で稲嶺元知事は、「沖縄県知事の最大の課題は基地問題です。あなたが命をかけて取り組んできた行動は日本全体にインパクトを与えたと確信しています。あなたが大事にしてきた平和を希求する沖縄のこころは次の世代にもしっかり引き継がれていくことでしょう」と述べ、功績をたたえました。

このあと行われた告別式では、緑のかりゆしを着て笑顔を見せる翁長知事の遺影が祭壇に飾られる中、生前、親交のあった人たちおよそ4500人が訪れ、知事の突然の死を悼みました。

告別式が終わり、翁長知事の位はいや遺影を抱えた親族が知事の公用車に乗って葬儀場を後にすると、参列した人たちは手を合わせて最後の別れを惜しんでいました。

沖縄県副知事「根っからのウチナーンチュ」

告別式に訪れた沖縄県の富川副知事は「『大変、ご苦労さまでした』という言葉をかけた。知事はいちばん、沖縄のことを考える根っからのウチナーンチュだった。ウチナーンチュの進むべき道を指し示し、命を賭して政治に関わってきた。これだけ慕われた政治家も少なくはないのではないか」と話していました。

県議会議長「思いを実現していくことが弔いに」

告別式に訪れた沖縄県議会の新里米吉議長は、「沖縄の置かれている厳しい政治状況の中で、翁長知事こそ県民の声を政治の中にいかしていける人物だと思っていた。きょう、たくさんの人が訪れたことは、知事が言っていた沖縄のアイデンティティを象徴する人物としてのあらわれだった。志し半ばにして亡くなった翁長知事の思いを残された県民がしっかりと実現していくことが、弔いになると思う」と涙ながらに話していました。

自民党沖縄県連会長「命を削って体現した」

告別式に訪れた自民党沖縄県連の國場幸之助会長は「沖縄の課題は国民全体で考えないといけない重要なテーマなんだ、ということを命を削って体現した方だと思う。『知事が目指していた志を継承できるように頑張っていきたいです』とお祈りしました」と話していました。

告別式を前に県庁などで最後の別れ

告別式が行われるのを前に翁長知事の親族が、県庁と10年以上市長を務めた那覇市役所を訪れました。県庁のロータリーでは、副知事などの県の幹部や県議会議員、それに多くの県民などが並んで出迎え、親族が位はいと遺影を持って車から出てくると、1分ほど頭を下げて黙とうをささげました。

翁長知事の妻の樹子さんが2人の副知事に「ありがとうございました」と感謝の念を伝えると、富川副知事が「ご苦労様でした」と弔いのことばをかけていました。
このあと、親族を乗せた車は告別式の会場に向けて出発し、集まった人たちからは「翁長知事ありがとう」などと声が上がっていました。