国交省統計データ書き換え
実態に近づけたかった

国土交通省は建設業関連の統計のデータを二重に計上していた問題について、立憲民主党の部会で「調査票の提出が間に合わない事業者が多かったため、実態に近づけたかった」などと説明したうえで、GDP=国内総生産の計算への影響は軽微だという認識を示しました。

国土交通省は15日、建設業の毎月の受注動向などを示す統計で、事業者から集める調査票の書き換えを都道府県に指示したり、データを二重に計上したりしていたことを明らかにしました。

これを受けて16日に開かれた立憲民主党の国土交通部会で、国土交通省の担当者は書き換えを行った理由について、「調査票の提出が締め切りに間に合わない事業者が多かったため、実態に近づけたかった」などと説明したということです。

そのうえで、GDP=国内総生産の計算への影響について、「今回の統計の数字を加工した別の統計を用いており、数字的には影響は軽微だと考えている」と述べたということです。

小宮山部会長は「政府側は今後の国会審議で説明責任を果たすことが極めて重要だ。新年度予算案の審議が始まるまでに経緯や責任を明らかにするよう求めていく」と述べました。

首相“第三者委設置 1か月以内報告を”

国会は16日から参議院予算委員会で今年度の補正予算案の審議が始まりました。

斉藤国土交通大臣は「令和2年1月分から令和3年3月分までは、同じ基準で対前年の比較ができるよう、改善した方法と従前の方法による集計の両方を行うこととした。令和2年1月の時点で、都道府県に対しては書き換えなどの依頼は撤回していたため、一時的に必要な作業は国土交通省において行わざるを得なかった。現在は行っていない」と述べました。

岸田総理大臣は「こうした事態が起こったことは大変遺憾なことであり、しっかりと検証して再発防止を行い、信頼回復につなげなければならない。内部の人間だけではなく、検事OBや弁護士をはじめとする第三者委員会でしっかりと経緯や原因を検証し、1か月以内にしっかりまとめるように指示を出した」と述べました。

一方、山際経済再生担当大臣は、GDP=国内総生産に与える影響について「今回、問題のあった統計は直接的に使用していない。間接的に影響が及ぶ可能性はあるが、影響の程度はあったとしても現時点では軽微と考えている。今後の国土交通省の対応を注視していきたい」と述べました。

松野官房長官「早急に準備し しっかりと対応していく」

松野官房長官は午前の記者会見で「徹底的に経緯や原因の検証を行い、再発防止に取り組んで、統計への信頼性を取り戻すことが必要だ。きのう岸田総理大臣から法律の専門家も加えた第三者委員会を斉藤国土交通大臣のもとに立ち上げ、経緯や原因の検証を行い、1か月以内に取りまとめるよう指示があり、国土交通省で早急に準備し、しっかりと対応していく」と述べました。

そのうえで「第三者委員会での具体的な調査対象などは国土交通省で検討を急いでいる。また、統計法を所管する総務省も、統計の専門家である第三者で構成される統計委員会で本件について精査をしていく」と述べました。