岸田首相「大きなこと」
立民 福山氏「執行部に責任」

31日行われた衆議院選挙の結果について、与野党の反応です。

自民 岸田首相「与党で過半数 大変大きなこと」

岸田総理大臣は、1日午前、自民党本部に入る際、記者団に対し「政権選択選挙で与党で過半数を獲得できた。この選挙において、大変大きなことだと思う。これからの政権運営や国会運営にしっかりと生かしていきたい」と述べました。

また、記者団が、甘利幹事長の処遇について質問したのに対し「よく話をする。最後は私が決める」と述べました。
31日の衆議院選挙を受けて、自民党は1日午前、臨時役員会を開きました。

この中で岸田総理大臣は、今回の選挙結果について「新政権発足直後の窮屈な日程の中、党役員や職員に力を尽くしてもらい、与党、そして自民党に大変大きな結果を与えてもらった」と述べました。

そのうえで「選挙で明確な民意を受けたので、訴えた政策や公約をしっかり実現し、来年の参議院選挙を戦い抜いて行きたい」と述べ、公約の実現を通じて、来年の参議院選挙の勝利を目指す考えを強調しました。

自民 甘利幹事長 辞任の意向「昨夜 岸田総裁に直接表明」

自民党の甘利幹事長は1日午後、党本部で記者団に対し、衆議院選挙の小選挙区で敗れたことを受けて、幹事長を辞任する意向を直接、岸田総理大臣に伝えたことを明らかにしました。

この中で、自民党の甘利幹事長は「昨夜、私の小選挙区で落選が決まった時点で、岸田総裁に対して、直接、辞意を表明をさせていただいた。総裁からは『一両日考えさせてくれ』という話であった」と述べました。

そのうえで「本日再び、総裁にお目にかかって辞意表明を改めてさせていただいた。総裁は受け止められたと思うが、いずれにしても一両日中に対応がなされるのではないかと思っている」と述べました。

自民 松野官房長官「民意受けとめ政権運営」

松野官房長官は午前の記者会見で「衆議院選挙は政権選択選挙であり、自民党・公明党の連立与党で過半数の議席をいただいた中で今般の選挙で国民の皆さまからいただいた声や民意をしっかりと受けとめ今後の政策に生かしていくべく、政権運営に努めていきたい」と述べました。

自民 遠藤選対委員長「絶対安定多数 うれしい」

自民党の遠藤選挙対策委員長は、1日朝、党本部で記者団に対し「正直、絶対安定多数の議席まで単独で取れるとは思っていなかったのでうれしい。岸田総理大臣の誠実さや安定感に加え、総裁選挙での議論を通じて、自民党には多様な意見があると多くの国民に知ってもらえたことが勝因だ。当初、野党共闘は与党にとっては厳しいと思っていたが、予想以上に伸びなかった要因を分析したい」と述べました。

一方、甘利幹事長ら、ベテラン議員が小選挙区で敗北したことについて「それぞれの選挙区の事情があり最大の努力をした上での結果なので残念だ」と述べました。

立民 枝野代表 今後の対応「あすの役員会までに示したい」

立憲民主党は定数の過半数を超える240人の候補者を擁立して臨み、政権交代を目指しましたが、結果は選挙前の109議席を下回る96議席にとどまりました。

一夜明けた1日、立憲民主党の枝野代表と福山幹事長は、連合の芳野会長らと会談し、選挙結果を報告しました。

このあと枝野氏は記者団に対し「かなり頑張って僅差まで迫ってくれた選挙区が多かった一方、競り勝てずに結果的に議席を減らしてしまい残念で、申し訳なく思っている」と述べました。

そして、みずからの進退を記者団から問われたのに対し「結果が出たばかりなので、何人かと相談し、あすの党の役員会までには何らかの考え方を示したい」と述べました。

立民 福山幹事長「執行部に結果責任」

立憲民主党の福山幹事長は、記者団に対し「議席を減らすことになり、期待にそうことができなかったことについて、心からおわびを申し上げたい。私も議席が減るということは、ほとんど考えていなかったので非常に残念に思うし、何が足りなかったのか分析しなければならない」と述べました。

そして「党の執行部として、選挙結果については責任があると考えている。私自身の対応については腹を決めているが、ここで申し上げることではない。枝野代表など、いろいろな意見を聞いて、どうしていくのか考えていきたい」と述べました。

公明 山口代表「民意受け しっかり期待に応える」

公明党の山口代表は、国会内で記者団に対し「自民・公明両党の選挙協力が、いっそう前進して結果に結びついた。民意を受けて、しっかり期待に応えていきたい」と述べました。

また日本維新の会が、第三党に躍進したことについて「一定の発言力が出てくると思うが、野党という立場を明確にしているので、与党の結束と真摯(しんし)な政権運営で誠実に対応していきたい」と述べました。

維新 吉村副代表「自民党とガチンコで渡り合う」

日本維新の会の副代表を務める大阪府の吉村知事は記者団に対し「小さな改革も含めて、改革を積み重ねたことが評価されていると思う。議席をいただいた以上、今後も改革政党として、約束したことを実行していくことが重要だ」と述べました。

そのうえで、今後の自民党との関係について「ガチンコで渡り合っていくことが必要だ。政策論で、まともにぶつかり合う野党が日本には足りない。これを党の国会議員団にしっかりやってもらいたい」と述べ、自民党との間で、より活発な政策論争を展開したいという考えを示しました。

国民 玉木代表 「躍進できた 路線貫く」

国民民主党の玉木代表は、1日、東京都内で記者団に対し「躍進できた。新型コロナで混迷する政治の中で、具体的な解決策を有権者の多くが求め、それに応える公約を提示して選挙戦を展開できたことが、今回の結果を導く要因になった。こうした路線をしっかりと貫いてぶれずに筋を通して戦っていきたい」と述べました。

一方、立憲民主党と共産党のいずれも議席を減らしたことについて「『自民党は嫌だ、でも立憲民主党と共産党も嫌だ』と、有権者が違う受け皿を求めていて、それを提供できたところが増えて、そうではないところが減らしている。選挙目的の振る舞いをやめるべきだという国民からのある種の厳しい見方だったと思う」と指摘しました。

また、今後、立憲民主党と合流する可能性を問われたのに対し「今は、まだ全く考えていない」と述べました。

共産 志位委員長「野党共闘に一定の効果も力不足」

共産党の志位委員長は、党本部で記者会見し「『自公政権』の継続を許したことは残念だが、最初のチャレンジとしては大きな歴史的意義を確信するもので、野党共闘が一定の効果があったことは間違いない。
一方で、結果に結びつけられなかったのは、わが党の力不足によるものだと考えており、共闘の大義などを十分に伝えきれなかった」と述べました。

一方で、選挙前から党の議席を減らした責任について「残念ながらこういう結果になったが、共闘や政策の方針そのものは正確だったと確信を持っている。そういう点で、私は責任というのは、ないと考えている」と述べました。

れ新 山本代表「スタートラインに立てた」

れいわ新選組の山本代表は、記者会見で「これで党所属の国会議員は、衆参あわせて5人となり、一人前の国政政党としてスタートラインに立てた。私たちがやるべきことは積極的な財政以外に考えられず徹底的な公助でこの国の人々の生活を支えたい。消費税率の0%も、他党と連携していきながら1ミリでも現実になるようやっていくだけだ」と述べました。

社民 福島党首 「参院選に向けた一歩に」

社民党の福島党首は、記者会見で「前回の衆院選よりも党の得票数を増やすことができ、次の参院選に向けた一歩を踏み出すことができた。一方、日本維新の会の躍進で、新自由主義や憲法改正の動きが強まるという危機感を持っている。平和や社会民主主義という観点からもっと心に届くような動きを社民党としてやっていきたい」と述べました。

衆院選 経済団体と労働組合の反応は

衆議院選挙の結果について、経済団体と労働組合の反応です。

経団連 十倉会長「内外に課題山積 歓迎したい」

衆議院選挙の結果を受けて経団連の十倉会長は記者団の取材に応じ、「自民党が単独で絶対安定多数となる議席を確保し、強力で安定的な政治体制が維持された。内外に課題が山積しているので歓迎したい」と述べました。

そのうえで社会経済活動の正常化に向けては「日本はグローバル経済の中で生きているので、水際を閉ざすべきではない。安全を確保しながら徐々に段階を踏んで改善してほしい」と述べ、政府に対して海外とのビジネス往来の緩和など必要な対応を取るよう、改めて提言を示す考えを示しました。

また、岸田内閣が「新しい資本主義」を実現するため経済界に対して賃上げを求めていることについては、「非常に苦しい産業もあれば、海外の立ち上がりに助けられて前年以上に利益を出しているところもある。一律での賃上げは時代に合わない」と述べました。

日商 三村会頭「コロナ後を見据えた国家戦略の策定を」

日本商工会議所の三村会頭は「自民党が単独で絶対安定多数を獲得できたことは、さまざまな課題はありながらもコロナ禍という未曽有の難局で果たしてきた安定的な国政運営のかじ取りに対する有権者の評価と新たな成長に向けた期待の表れだと受け止めている」としています。

そのうえで「今後の政策運営においては、まずは喫緊の課題である足元のコロナ対策と社会経済活動をより高い次元で両立できる出口戦略のプロセスを、手段と時間軸を明確にしつつ迅速かつ果断に進めてほしい。また、経済活動が正常化に向けて徐々に動き始めながらも依然厳しい状況にある今こそ、コロナ後を見据えた国家戦略の策定が必要だ。とりわけ中小企業の成長力強化と地域経済との好循環には、これまで以上に強い意志で臨んでほしい」などとするコメントを発表しました。

連合 芳野会長「政権批判票の受け皿にならず非常に残念」

一方、連合の芳野会長は記者会見で「政権批判票の受け皿にならなかったのは非常に残念だ。立憲民主党が共産党などと共闘したことで、連合の組合員の票が行き場を失ってしまったのではないかと考えており、総括の中で検証していきたい」と述べました。

また、1日の枝野代表との会談内容について「枝野氏からは、協力に対するお礼があったのに対し、こちらからは共産党との連携をめぐり地域で混乱した部分があったことを指摘した。党として議席を減らしているので、しっかりと総括をしてほしいとお願いした」と述べました。