衆院選 公示直前の週末
9党首は何してた?主張は?

【17日(日)】

衆議院選挙の公示を2日後に控えた17日、各党の党首らは各地を視察したり、街頭で演説を行ったりするなど、活発に活動し、事実上の選挙戦が本格化しています。

【リンク】NHK日曜討論の議論はこちらから

岸田首相 被災地を視察「福島の再生と復興に取り組む」

東日本大震災の被災地を視察するため、16日から東北を訪れている岸田総理大臣は17日、東京電力福島第一原発を視察し、廃炉作業の状況などについて説明を受けました。

このあと福島県富岡町を訪れ住民と意見を交わし、移住の支援にあたる団体の代表を務める藤沢烈さんは「移住した人が、ほかの地域の人と仕事をするうえでもデジタルの強化が必須だ」と要望し、岸田総理大臣は「困難に直面した地域の未来を考える上で、デジタルをどう生かせるか考えてみたい」と答えていました。

このあと岸田総理大臣は記者団に福島第一原発の視察について「大きな課題がたくさん残っており、2度とこのような事故は起こしてはならないという強い思いを持って取り組みを進めていかなければならない」と述べました。

また、処理水を国の基準を下回る濃度に薄めて海に放出する政府の方針について「先送りできない大変重要な課題だと痛感した。科学的見地から安全性についてできるだけ透明性を持って説明していくことが大事で、さまざまな懸念の払拭に全力で取り組まなければいけない」と述べました。

そして「被災地の皆さんの心に寄り添って、現場の声を聴きながら、福島の再生と復興に取り組みたい」と述べました。

立民 枝野代表「適正な再分配で日本経済の再生を」

立憲民主党の枝野代表は、福岡県太宰府市で街頭演説し「保育士、介護職員、看護師などは命にかかわる重労働なのに低賃金で非正規の人が多い。賃金を上げて、希望すれば正社員にすべきだ。上がった分は確実に地域の消費拡大につながる。地味なようだが、こうした適正な再分配で社会を下支えして安心を高めることで、日本経済の再生は始まる」と訴えました。

また、新型コロナ対策をめぐり「『野党は反対や審議拒否ばかりだ』とよく報道されるが冗談じゃない。われわれは、持続化給付金や生活困窮者の支援金の法案をことし3月に国会に出しているが、半年間審議を拒否してきたのは自民党だ」と主張しました。

公明 山口代表「社会や経済の立て直し 実行するのは連立政権」

公明党の山口代表は、埼玉県川口市で街頭演説し「今回の選挙では、新型コロナの感染をどうやってしっかり収めるかと社会や経済をどう立て直していくかが問われる。合意をつくり政策を実行する経験と知恵があるのは、公明党と自民党の連立政権だ」と訴えました。

そのうえで「公明党は、すべての国民への一律10万円の給付や、消費税の軽減税率の導入を粘り強く訴えて、実現させてきた。公明党の存在が、連立政権を安定させ、皆さんの声をもとにした政策を実現できる」と強調しました。

このあと山口氏は、記者団に、18歳までを対象にした一律10万円相当の支援などについて「昨年度の決算剰余金などがまだ残っており、ここから財源を生み出す。安易に赤字国債に頼らないやり方をしっかり訴えたい」と述べました。

共産 志位委員長「若いみなさんが未来に希望が持てるように」

共産党の志位委員長は、東京・新宿区の街頭で行われた学生らとの対話集会に参加し「新型コロナでアルバイトのシフトが切られ、高すぎる学費が払えず、食うや食わずの困窮状態に陥っている人がたくさんいる。共産党は、大学などの学費を半分にし、給付型の奨学金を充実させる。そして入学金制度は、とても非合理なので廃止を提案している。若いみなさんが未来に希望が持てるようにしたい」と訴えました。

維新 松井代表「規制改革で成長産業創出 経費削減で財源を」

日本維新の会の代表を務める松井・大阪市長は、京都市で街頭演説し「どこの政党も分配、分配、岸田総理大臣も分配と言うが、総理のポケットマネーで分配してくれるのであればありがたいし、やってもらいたいが、そうではない。財源を見つけようと思えば、まずは税収を上げていかなければならない。規制改革で新しい成長産業を創出するとともに、役所の中の経費を抑えていって財源を生み出す必要がある」と訴えました。

国民 玉木代表「政治の信頼 回復する」

国民民主党の玉木代表は、高松市の集会で「政治の信頼が著しく傷ついた。政府に資料を要求したら黒塗りで出てくる。あげくの果てに公文書は改ざんされる。しかし、政治家は誰も罰せられることもなければ政界から去ることもなく、ただただ、末端の財務局の人間がみずからの命を絶った。こんなことをこれ以上許してはならない。もう1度、政治の信頼を回復する」と訴えました。

れ新 山本代表「野党共闘で消費税率を5%に下げる」

れいわ新選組の山本代表は「20年以上続く不景気は、自公政権による経済政策の誤りや、労働環境の破壊によるものだ。消費税をやめることで日本の景気が持ち直し、中小企業も息を吹き返す。その第一歩として、まずは野党共闘で消費税率を5%に下げることを勝ち取りたい」と述べました。

社民 福島党首「非正規雇用に歯止めをかけるべき」

社民党の福島党首は、千葉県市川市で記者団に「コロナ禍の中、多くの人が雇用や生活に不安を抱えている。岸田総理大臣は『新自由主義の弊害』と言うのであれば、規制緩和した労働法制こそ問題だ。正社員への道をつくり、非正規雇用に歯止めをかけるべきだ」と述べました。

N党 立花党首「少なくとも娯楽番組はスクランブル化を」

「NHKと裁判してる党弁護士法72条違反で」の立花党首は「報道や教育、福祉の分野までスクランブル化して見られないようにするのは、ちょっと違うと思うが、少なくとも娯楽番組は、受信料を払わない人には見せない形にして、公共放送・NHKの役割を果たしてもらいたい」と述べました。

「ニコニコ動画」の討論会で議論

与野党9党の党首は、17日夜、動画配信サイト「ニコニコ動画」の討論会に出席し、選挙の争点となる経済政策をめぐって意見を交わしました。

▽自民党総裁の岸田総理大臣は「大型の経済対策を用意し、全体像を示して進めていく。1人1人の賃金を引き上げ、成長と分配の好循環を実現することで、豊かな社会経済対策を進めたい。『令和版所得倍増』は放棄しておらず、消費を幅広く拡大することで次の成長につなげる好循環が完成すれば、所得倍増は実現できると確信している」と述べました。

▽立憲民主党の枝野代表は「景気がずっと悪いのは消費が低迷しているからだ。『アベノミクス』で恩恵を受けた株を持つ人や一部の大企業に、法人税や所得税などの相応の負担をお願いし、そのお金を所得の低い人などに向けることで消費を増やし、日本の経済を元気にする」と述べました。

▽公明党の山口代表は「新たな『GoToキャンペーン』を展開し、デジタル化やグリーン化を進めるための経済対策も実行する。さらに18歳までの子どもたちに10万円相当の給付を実施することなどで、物価高に対抗し、消費を盛り上げて経済を回復させたい」と述べました。

▽共産党の志位委員長は「規制緩和が進められたことで非正規雇用が増えたため、その矛盾がふき出した。人間らしく働けるルールをつくって最低賃金を時給1500円に引き上げ、消費税を5%に減税することで暮らしを応援し経済をよくしていく」と述べました。

▽日本維新の会の松井代表は「日本はこの30年間、経済成長していない。わが党は新しい産業を生み出すために規制緩和を徹底して実行していく。分配には財源が必要で、そのためには改革により成長する社会を作るというのが我々の思いだ」と述べました。

▽国民民主党の玉木代表は「最大の問題は賃金が上がらない『賃金デフレ』だ。大胆に積極財政に転換し、給料が上がる経済を実現する。消費税の減税や一律の現金給付デジタル化など、合計150兆円を投じ、日本を元気にしていく」と述べました。

▽れいわ新選組の山本代表は「25年以上不景気が続いている中に、新型コロナの影響が生じたからさらに困っている。貯蓄ゼロ世帯などは、もうボロボロで、徹底した財政出動が必要だ」と述べました。

▽社民党の福島党首は「生活支援のために消費税を3年間ゼロにし、大企業の内部留保に課税する。非正規雇用に歯止めをかけて正社員化への道をつくり、雇用の安定を図る」と述べました。

▽「NHKと裁判してる党弁護士法72条違反で」の立花党首は「経済をいち早く立て直すために全ての国民に10万円以上を配るべきで、期限付きの電子マネーが最適と考えている」と述べました。

【16日(土)】

衆議院選挙の公示を3日後に控えた16日、各党の党首らは各地を視察したり、街頭で演説を行ったりするなど、活発に活動し、事実上の選挙戦が本格化しています。

自民 岸田首相 被災地視察で「対話重ね復興取り組む」

岸田総理大臣は、津波で甚大な被害を受けた岩手県陸前高田市を訪れ、犠牲者の追悼祈念施設で、献花台に花を手向けて黙とうをささげ、亡くなった人たちを悼みました。

このあと、大船渡市の魚市場で漁業関係者などと車座で意見交換を行い、新たに策定する経済対策に漁業への支援策を盛り込む考えを示しました。

午後からは、宮城県に移り、松島町ではホテルや土産物の販売など、観光関係者らと意見を交わしました。

このあと、岸田総理大臣は、記者団に対し「コロナを乗り越えた先に観光業をどう再生していくのかについて貴重な意見をいただいた。宿泊施設の改修などに対する支援や『事業再構築補助金』は従来から大変人気があるので、経済対策の中でもしっかり取り上げたい」と述べました。

その上で「今後とも被災地の方々と丁寧な対話を積み重ねながら『東北の復興なくして日本の再生なし』の方針のもとで努力を続けたい」と述べました。

公明 山口代表「地域の実情合った支援策で党の力発揮」

公明党の山口代表は、東京 神楽坂の商店街で経営者と意見を交わしました。

せんべいを売る店では、新型コロナウイルスの影響で売り上げが減少したことからパンの販売を始めたと説明を受け、販路の拡大に向けた支援策を要望されました。

このあと山口氏は記者団に対し「ようやく感染が収まる気配が出てきたので、今度は商売ができるよう支援してもらいたいという声を伺った。地域の実情に合った支援策を考える意味で、市区町村や都道府県、そして国会議員のネットワークを生かしていくことが重要でありまさに公明党の力の発揮のしどころだ」と述べました。

立民 枝野代表「安心と分配で経済を循環させる」

立憲民主党の枝野代表は、東京 江東区で街頭演説し「日本の豊かさや富を一部に偏らせたのがアベノミクスで、その延長線上にいるのが岸田総理大臣だ。消費が伸びない理由は、老後、子育て、失業などへの不安が大きい上に、政府が『自己責任だ』と言うからで、私たちは安心と分配で経済を循環させる。成長の果実を分配させるなどと言っていたら、富が偏るだけで経済は成長しない。これまでの政治を続けるか、変えるかが問われる総選挙だ」と訴えました。

共産 田村政策委員長「医療や保健所の予算2倍に」

共産党の田村政策委員長は、新潟県柏崎市で街頭演説し「社会保障予算を抑えに抑え、医療や保健所の体制を壊してきたのが自民党の政治で、切り替えがどうしても必要だ。感染症のベッドも保健所もいちばん多かったときの半分に減りとてもではないが、いざというときに命を救うことはできない。体制を元に戻せるよう国の予算を2倍に増やしていくのが当たり前だ」と訴えました。

維新 馬場幹事長「改革で機能する政治を」

日本維新の会の馬場幹事長は、富山市で党の支持者らを前にあいさつし「岸田総理大臣が言う分配からではなく、改革から始めるべきだ。改革で生まれた果実を分配し、それをベースに経済成長させていくしかない。自民党の政治は昭和に戻りつつあり、立憲民主党は国会審議を妨害する。全く改革マインドのない永田町をぶっ潰し、国家国民のために機能する政治を作っていく」と訴えました。

国民 玉木代表「給料上がる経済を取り戻す」

国民民主党の玉木代表は、茨城県日立市で街頭演説し「『岸田カラー』は、漂白剤で漂白するようにどんどん薄れ、透明になった。選挙で経済政策を問いたいと言うが、問うべき政策も見えない。私たちは給料が上がる経済を取り戻すという明確な政策目標を掲げている。日本はこの25年間、実質賃金が下がり続けた唯一の先進国だ。政策がおかしかったからで、われわれが解決に導いていく」と訴えました。

れ新 山本代表「野党政権とれば生活底上げされる」

れいわ新選組の山本代表は、東京 池袋で街頭演説し「大きなかたまりである自民党に日本は壊された。私たちは、大きな力を持つ与党を倒していくために野党共闘に参加することにした。野党が政権をとれば徹底した新型コロナ対策を行う。また、消費税は5%に減税になる。皆さんの生活が底上げされ、これまでよりましな状況になっていく」と訴えました。

社民 福島党首「税制変え分配実行」

社民党の福島党首は、大阪府池田市で街頭演説し「自民党は、新自由主義の政策で一部の大企業や富裕層を優遇し格差と貧困を拡大させた。岸田総理大臣は分配と言うが、大企業や富裕層に課税することもせず、消費税の減税もしない。私たちは口先だけの分配ではなく、税金のとり方と使いみちを変え医療、介護、年金、福祉、教育にきちんと振り向けていく」と訴えました。

N党 立花党首「NHKのスクランブル化を」

「NHKと裁判してる党弁護士法72条違反で」の立花党首は、東京 葛飾区で街頭演説し「NHKに受信料を払わなければ、スクランブル放送をしたらいい。水道料金を払わなければ水を止めたらいいのと一緒だ。もう1つ大事なことは防衛と外交だ。敵基地攻撃能力は必要な自衛権によるもので、私どもも、おおいに賛成だ」と訴えました。

【リンク】9党の候補者擁立状況は 協力と対決構図鮮明に