国連でBTSがスピーチ楽曲
“ウエルカムジェネレーション”

国連総会の首脳演説が日本時間の21日夜から始まるのを前に、新型コロナウイルス対策や地球温暖化への対応などの課題について話し合う、各国の首脳級の会合が相次いで開かれ、活発な国連外交が展開されています。

ことしの国連総会の各国の首脳などによる一般討論演説は、現地時間の21日午前、日本時間の21日夜から始まります。

それを前に、一部の首脳らが国連本部のあるニューヨークに到着し、20日には対面とオンライン形式を併用して首脳級の会合が相次いで開かれました。

BTS「ウエルカムジェネレーションと呼ばれるべき」

国連が掲げる持続可能な開発目標=SDGsの2030年までの達成に向けた会合で、韓国のムン・ジェイン大統領から「未来の世代と文化のための大統領特使」に任命された、韓国の男性アイドルグループBTSがスピーチと楽曲を披露しました。

黒いスーツ姿で登場したメンバーたちは、新型コロナウイルスの感染拡大で学校の入学式や卒業式などが中止されたことについて触れ「人生の中で祝福したい瞬間を失い、動揺したに違いないでしょう。私たちも企画していたコンサートが中止になったときは胸が張り裂けそうでした」と呼びかけるとともに「当たり前のように過ごしていた一瞬一瞬が、いかに大切なものであったかに、気づく時間でもありました」と述べ、コロナ禍が日々の生活に感謝の気持ちを持つきっかけになったことも指摘しました。

そして、若い世代はコロナ禍でさまざまな経験をする機会を失った「ロストジェネレーション」と呼ばれているけれど、オンライン上で交流を続けたり、新しいことを学んだり挑戦を続けているとして「変化を恐れず、それを受け入れ、前に進み続けているのだから、ロストジェネレーションではなく、ウエルカムジェネレーションと呼ばれるべきだ」と訴えました。

また、メンバー全員が新型コロナウイルスのワクチンを接種したことを明らかにし「ワクチン接種は、私たちを待っていてくれたファンの皆さんと直接会い、今日こうして皆さんの前に立つためのチケットのようなものでした。私たちも、この新しい現実を前に進めるために、今できることをやり続けます」と締めくくり、このあと楽曲を披露しました。

グテーレス事務総長 コロナ「対応は遅く不平等だった」

国連が掲げる持続可能な開発目標=SDGsの2030年までの達成に向けた会合では、グテーレス事務総長が新型コロナウイルスのパンデミックからの回復の必要性を訴え「国際社会のこれまでの対応はあまりに遅く、あまりに不平等だった」と述べ、ワクチンの公平な分配に向けて各国が協力するよう呼びかけました。

会合では、韓国のムン・ジェイン(文在寅)大統領やガーナのアクフォアド大統領らが議場で演説したほか、菅総理大臣もビデオ演説で参加し、SDGsの達成に向けて意見を交わしました。

また、10月からイギリスで気候変動対策の国連の会議、COP26が開催されるのを前に、議長国イギリスのジョンソン首相が主催する会合も開かれ、脱炭素社会を実現するための課題について協議しました。

国連総会の首脳演説は来週27日まで行われ、これと平行して、さまざまな首脳級の会合が開かれることになっています。

菅首相 SDGs達成に向けビデオメッセージ

2030年までに貧困の撲滅などを目指す持続可能な開発目標=「SDGs」の達成に向けて、国連のグテーレス事務総長が主催するオンライン会合が開かれ、菅総理大臣がビデオメッセージを寄せました。

この中で、菅総理大臣は「新型コロナウイルスの感染拡大は、持続可能な開発目標のさまざまな分野に深刻な影響を与えている」と述べ、目標の達成には、各国が創造的な戦略を立て、団結して取り組みを加速する必要があると強調しました。

そして「この感染症との闘いには、ワクチンなどへの公平なアクセスの実現が不可欠で、将来の危機に備え、より強じんな国際保健システムの構築も重要だ」と指摘しました。

そのうえで、菅総理大臣は「持続可能な開発目標は、直面する未曽有の危機を乗り越え、世界をよりよい未来に導くための重要な羅針盤となるものだ」と述べ、2030年までの目標の達成に向けて、全力で取り組む考えを示しました。