自民党総裁選 立会演説会
本格論戦スタート

自民党総裁選挙は、立会演説会が行われ本格的な論戦が始まりました。河野規制改革担当大臣は、新型コロナウイルス対策での実行力の発揮に自信を示し、岸田前政務調査会長は多様な意見に寛容な政治の実現を目指す考えを強調しました。また、高市前総務大臣は経済が軌道に乗るまでの戦略的な財政出動の必要性について言及し、野田幹事長代行は、子どもへの積極的な投資で人口減少を食い止めたいと主張しました。

17日告示された自民党総裁選挙は、午後1時から党本部で立会演説会が行われ、河野規制改革担当大臣、岸田前政務調査会長、高市前総務大臣、野田幹事長代行の4人が立候補の決意を述べるなど、支持を訴えました。

▽河野氏は「初当選から25年間、新しい価値を生み出すことを邪魔している仕組みと徹底的に戦ってきた。新型コロナウイルスのワクチン接種は、1日に100万回どころか、最多の日は164万回行われた。日本のコロナ対応を、河野太郎の実行力に任せていただきたい」と述べました。

その上で「コロナの前に戻るのではなく、新しい未来につながる投資をしなければならない。『子育てができて幸せだ、一緒に見ている社会も幸せだ』と言えるような子育ての支援にまずお金を使わなければならない」と述べました。

▽岸田氏は「去年の総裁選挙に敗れ、『岸田はもう終わりだ』という声もあったが、私は人の声を聴く力を持っている。今こそ丁寧で謙虚で、多様な意見に寛容な政治が求められていて、そのリーダーは私だと強い確信を持っている」と述べました。

その上で「新型コロナとの戦いには、国民の協力と政府方針に対する納得感が不可欠だ。病床や医療人材の確保、徹底した人流抑制と数十兆円規模の経済対策などの全体像を示し実行する。将来の感染症危機にも備えた法改正や『健康危機管理庁』の設置に取り組む」と述べました。

▽高市氏は「国の究極の使命は、国民の生命と財産、領土・領海・領空、資源などを守り抜くことだ。私たちには、祖先から受け継いだ精神文化と優れた価値を守りつつ、新たな挑戦を続け『美しく、強く、成長する国、日本』をつくり、次世代に確かな未来を送る責任がある」と述べました。

その上で「金融緩和や、緊急時の機動的な財政出動などの政策を総動員し物価安定目標2%の達成を目指す。日本経済が軌道に乗るまでは時限的にプライマリーバランスの改善は凍結し、戦略的な財政出動を優先させる」と述べました。

▽野田氏は「かねてから総裁選挙に挑戦したいと公言してきたが立候補できず、4回目の今回はスタートラインに立つことができた。立候補しようと考えた大きな理由は、自民党の多様性を示す必要があり、日本の未来を担う子ども、女性、さらには高齢者や障害者への政策が十分でないからだ」と述べました。

その上で「まずは人口減少を、経済や安全保障の問題として扱いこれを止める。司令塔として『こども庁』を設立し、貧困問題の解消など子どもへの投資を積極的に行う」と述べました。

立会演説会は、新型コロナウイルスの感染防止のため、去年に続いて、各陣営の入場を20人までに制限し、その模様は、インターネットで中継されました。

平衆議院議員「河野氏 熱のこもった演説」

河野規制改革担当大臣を支持する石破派の平将明衆議院議員は記者団に対し「河野氏は、非常に熱のこもったいい演説だった。ほとんど原稿を見ることもなく日頃の問題意識をベースに自分の思いを語っていた。党員投票に向けて、コロナの問題など、これからの社会がどうなっていくかを皆さんに共感してもらえるよう訴えていきたい」と述べました。

甘利税制調査会長「岸田氏 明日から総理できる」

岸田前政務調査会長の陣営で、麻生派の甘利税制調査会長は、記者団に対し「四者四様の演説で、自民党は人材豊富だと思いながら聞いていたが、岸田氏はあすから総理大臣ができるような様子で、幅広い政策について漏れなく説明しようという思いが感じられた。党改革を最初に行動に移したのが岸田氏であり、評価されるべきだ。決選投票に生き残られるよう最初の投票でしっかり数を確保することが一番大事だ」と述べました。

高鳥衆議院議員「高市氏 非常に力強く具体的」

高市前総務大臣の陣営で、細田派の高鳥修一衆議院議員は記者団に対し「高市氏は非常に力強く、話が具体的で良かった。何よりも、演説の前に国旗に一礼をしたことは好印象だった。論戦をすればするほど良さを分かってもらえて、国会議員への支持が広がっていくと思うので、地方議員や党員にも積極的にアピールして支持拡大を図りたい」と述べました。

渡辺参議院議員「野田氏 多様性を信条」

野田幹事長代行を支持する竹下派の渡辺猛之参議院議員は記者団に対し「野田氏がまさに悲願だった総裁選挙の舞台に立てたことを心からうれしく思うし、誇りに思う。コロナ禍での選挙戦なので、リモートが中心になると思うが野田氏は多様性を信条としているので、いろいろな方の意見を聞き、政策を訴えていきたい」と述べました。

オンラインで演説を聴いた議員は

新型コロナウイルスの感染防止のため、今回の総裁選挙では、去年と同様に演説会場への入場が各陣営20人までに制限されました。

このため、牧原秀樹衆議院議員は、ユーチューブで配信された演説会の様子を事務所で見て、各候補者の演説の内容を比較していました。

牧原氏は「会場で聞いた時は、じかに伝わる迫力や熱気がいかにも総裁選挙だと感じたが オンラインで視聴すると候補者の主張を冷静に聴くことができ、内容も良く理解できる。インターネットは極めて公平性が高く、われわれのように国会にいる者も地域で党を支えてくれている皆さんも同じ立場で同じように見ることができる。オンラインの定着は凄く重要だと思う」と話していました。

立民 枝野代表「国会議員の本来の仕事を」

立憲民主党の枝野代表は、記者団に対し「国会議員の仕事は国会で審議を行うことであり、政府は自民党のためではなく、国民のためにあるはずだ。
総裁選挙をやるのは結構だが、午前9時から午後5時までは国会議員の本来の仕事をして、選挙は午後5時以降にやってほしい」と述べました。
また「どなたが自民党の新総裁になっても、われわれは自分たちができることをやるだけだ。
決勝戦である衆議院選挙に向けてしっかり準備を進めていく」と述べました。

共産 田村政策委員長「党内勢力争い優先はあり得ない」

共産党の田村政策委員長は、記者会見で「新型コロナ対策の与野党の議論が必要なときに自民党内の勢力争いを優先させることは本来はあり得ないことだ。
総裁選挙に名乗りをあげている人たちはみな『いまは党内議論をしていればいい』と言っているのと同じで、誰が新総裁になっても国民の命や暮らしの危機には正面からこたえられず、野党で連携して政権交代をするしかない」と述べました。