抗体カクテル療法 往診使用
“一部医療機関先行で“厚労相

新型コロナウイルスの感染者への治療法で、入院や外来などに限られている「抗体カクテル療法」について、田村厚生労働大臣は自宅への往診でも使用できるよう、近く、一部の医療機関で先行して行ったうえで、全国展開したいという考えを示しました。

「抗体カクテル療法」は、入院や外来診療のほか、宿泊療養でも認められていますが、菅総理大臣は15日、往診でも可能とするよう、田村厚生労働大臣に検討を指示したことを明らかにしました。

田村大臣は、参議院厚生労働委員会の閉会中審査で「宿泊療養施設には24時間誰かがいるので、副作用があっても対応できるが、自宅となると、健康が悪化する可能性があるので、すぐに対応できる体制を組まなければならない」と指摘しました。

そのうえで「まずは早急に、モデル的にいくつかの医療機関で対応し、課題点や問題点を抽出したうえで、全国展開していきたい。近いうちにスタートしたい」と述べました。

一方、政府の分科会の尾身会長は、新型コロナへの対応をめぐり「日本の地域医療計画は、感染症に対してどうするかという発想がなかった。日本の医療体系そのものをもう一度見直す機会であり、この経験を生かして、根本的な見直しが必要だ」と述べました。

分科会 尾身会長「行動制限緩和は感染が落ち着いた後に」

まあ、尾身会長は、行動制限の緩和について「11月ごろになると、多くの希望者にワクチンが届くので、どういうことが可能になるか目安を示すことは国の役割だ。しかし、そのことと緊急事態宣言を発令している中で、実際に行動制限を緩めることは全く別だ。ヨーロッパの状況を見ると、ワクチン接種がかなり進んでも、行動制限を緩めると感染拡大することが分かっている」と述べました。

そのうえで「ワクチンには感染予防効果がかなりあるが、完璧ではなく、ワクチンが普及しても感染予防対策をしっかり続けないと、必ずリバウンドが起こる。行動制限を緩和するのは、感染が落ち着いた後に、じっくり徐々にすると、政府が、国民にメッセージを伝えてほしい」と述べました。

酸素投与と抗体カクテル療法 同時に可能な施設を全国に 菅首相

新型コロナウイルス対策で、菅総理大臣は、東京都が新たに設ける「酸素ステーション」を視察したあと記者団に対し、酸素の投与と「抗体カクテル療法」を同時に行える施設は画期的だとして、全国に設置できるよう支援していく考えを示しました。

菅総理大臣は、16日午前、東京都の小池知事とともに、都が中央区の築地市場の跡地に新たに設ける、自宅で療養している人を一時的に受け入れて酸素投与を行う「酸素ステーション」を視察しました。

このあと菅総理大臣は記者団に対し「この施設は酸素の投与と、重症化の防止に極めて高い効果のある『抗体カクテル療法』の2つのことができる。患者の皆さんにとって、これほど心強いものはなく画期的な施設だ」と述べました。

そのうえで「こうした施設を全国に増やしていきたい。政府は、しっかりと応援をさせていただいて、1人でも多くの命を救いたい」と述べ、全国に設置できるよう支援していく考えを示しました。

そして、菅総理大臣は、施設の廊下の壁に「皆様のご尽力に感謝」ということばと、みずからの名前をペンでしたため、施設をあとにしました。

小池知事「国と連携し難局を乗り越えていきたい」

東京都の小池知事は、築地市場の跡地に設ける酸素投与と抗体カクテル療法を行う施設を菅総理大臣と視察したあと、記者団に対して「新規の陽性者は若干、抑えられてはいるが、それでも1000人近い新規陽性者の数字が上がっている。このあいだまでオリンピック・パラリンピックの車両基地があったこの場で抗体カクテル療法を早めに受けることによって重症化が防げる。国と都が連携することで、コロナ対策をしっかり進めていき、この難局をともに乗り越えていきたい」と述べました。