森友・加計「場を意識し
慎重に政権運営」安倍首相

安倍総理大臣は通常国会が事実上、閉会したことを受けて記者会見し、森友学園や加計学園をめぐる問題について、「総理大臣という立場を意識し、慎重な上にも慎重に政権運営にあたらなければならない」と述べ、信頼回復に努める決意を示しました。また安倍総理大臣は、幼児教育や高等教育の無償化に加え、社会保障制度の改革にも取り組む考えを示しました。

冒頭、安倍総理大臣は今回の豪雨災害に触れ、「仮設住宅への移転、なりわいの復興など、被災された皆さんが1日も早く安心して暮らせる生活を取り戻せるよう、自治体と連携しながら政府の総力を挙げて取り組んでいく」と述べました。

続いて、財務省の決裁文書の改ざん問題などについて、「国民の信頼を損なう結果となり、行政のトップとして改めて深くおわびする」と陳謝しました。

また、森友学園や加計学園をめぐる問題について、「総理大臣という立場が周囲に与えうる影響を常に意識し、慎重な上にも慎重に政権運営にあたらなければならない」と述べ、信頼回復に努める決意を示しました。

そして安倍総理大臣は、最重要法案と位置づけた働き方改革関連法が今の国会で成立したことを踏まえ、同一労働同一賃金や一億総活躍社会の実現を目指す考えを強調するとともに、深刻な人手不足を克服するため、外国人材の受け入れ拡大に向けた準備を進める考えを示しました。

そのうえで、「第2次安倍内閣の発足以来、5年間で名目GDPは56兆円増えた。デフレ脱却に向け、日本経済は確実に前進を続けている」と実績を強調しました。

また、TPP=環太平洋パートナーシップ協定が国会で承認され、日本とEUのEPA=経済連携協定が署名に至ったことに触れたうえで、「世界的に保護主義への懸念が広がる中、わが国は『自由貿易の旗手』として、自由で公正なルールに基づく新たな時代の経済秩序を世界に打ち立てていく」と述べました。

さらに、安倍総理大臣は「来年10月から、消費税率引き上げとあわせ、3歳から5歳まで幼児教育を一気に無償化する。再来年4月から真に必要な子どもたちの高等教育の無償化も行う。来たる『人生100年時代』をしっかり見据えながら、誰もが安心できる社会保障制度をつくりあげていく決意だ」と述べ、今後、社会保障制度の改革にも取り組む考えを示しました。

そのうえで、「長い景気の低迷、不安定な政治は過去のものとなり、もはや小手先の対応は不要だ。未来を見据えた改革を進める準備は整った。『平成』のその先の時代のため、わが国の経済社会システムをもう一度つくりあげていく」と述べました。