自民総裁選 与野党から発言
“菅氏支持”“コップ中の嵐”

自民党総裁選挙をめぐって、党内では、複数の候補者による政策論争を期待する声が強まっている中、党幹部は菅総理大臣の再選支持を相次いで表明しました。菅総理大臣は25日、二階幹事長と会談し、総裁選挙の日程のほか、衆議院選挙に向けた情勢などをめぐっても意見を交わすものとみられます。

来月末の任期満了に伴う自民党総裁選挙をめぐり、党の総裁選挙管理委員会は来月17日告示、29日投開票の日程を軸に検討していて、26日の会合で具体的な日程を決める予定です。

今回は、去年の選挙で見送られた党員投票が実施され、国会議員1人1票の「国会議員票」383票と、全国の党員らによる投票で配分が決まる「党員票」383票の、合わせて766票で争われる見通しです。

自民党内では、24日、青年局や各派閥の事務総長らの会合がそれぞれ開かれ、党の規程通り、来月、選挙を実施するよう求める意見が相次ぎ、複数の候補者による政策論争を期待する声が強まっています。

立候補に意欲をにじませている岸田前政務調査会長は、24日も派閥の所属議員と意見を交わすなど、党内の情勢を見極めていて、近く態度を明らかにすることにしています。

党内では、新型コロナ対策などを審議するため、臨時国会を開く必要があるとして、総裁選挙を先送りすべきだという意見や、総裁選挙の前に衆議院を解散することも選択肢として残すべきだという意見もあります。

こうした中、菅総理大臣は25日、二階幹事長と会談することにしていて、総裁選挙の日程のほか、衆議院選挙に向けた情勢などをめぐっても意見を交わすものとみられます。

二階幹事長 菅首相の再選を支持する考え

来月末の任期満了に伴う自民党総裁選挙について自民党の二階幹事長は「菅政権は政府一体となって国民の命を守るという原点に立ってしっかり対応している」として、菅総理大臣の再選を支持する考えを重ねて示しました。

自民党の二階幹事長は24日の記者会見で、22日に行われた横浜市長選挙で菅総理大臣が支援した小此木元国家公安委員長が敗れたことについて「結果は謙虚に受け止めたい。敗因をよく分析し、きたるべき衆議院選挙に向けて、しっかりと経験を生かして戦えるようにしたい」と述べました。

そのうえで、政府の新型コロナ対策への批判が敗因の1つだという認識を示し「持って行き場のない政権への不満が集中したことは当然だ」と指摘しました。

一方、来月末の任期満了に伴う自民党総裁選挙について二階氏は「予定どおり、たんたんとやるべきだということを当初から考えている」と述べました。

そして「菅政権は政府一体となって国民の命を守るという原点に立ってしっかり対応している」と述べ、みずからが率いる二階派の議員とともに菅総理大臣の再選を支持する考えを重ねて示しました。

また、記者団が「党内では菅総理大臣では衆議院選挙を戦えないという声が出ているが、どう考えるか」と質問したのに対し「党内にはいろんな意見がある。『誰々では選挙を戦えない』というのは失礼な話だ」と強調しました。

さらに二階氏は衆議院の解散時期について「その時の状況と菅総理大臣の判断次第だ」と述べ、25日に菅総理大臣と会談し今後の政治日程などをめぐり意見を交わすことを明らかにしました。

自民 森山国対委員長「今までの実績を顧みて菅首相を支持」

自民党の森山国会対策委員長は記者団に対し、二階幹事長が菅総理大臣の再選を支持する考えを重ねて示したことについて「私もよく理解できる。菅総理大臣は総裁選挙に立候補すると言っているので、今までの実績を顧みて支持させていただきたい」と述べました。

自民 世耕参院幹事長「現政権の取り組みをサポート」

自民党の世耕参議院幹事長は記者会見で「意思を持って20人の推薦人を集めることができた人が立候補し、論戦を通じて選挙を行うことがルールとして決まっている。粛々と行われるべきだ」と述べました。

一方、党三役の1人である下村政務調査会長が立候補に意欲を示していることについて「一般論としては、政権・与党の中で特に新型コロナ対応に責任を持っている人は立候補すべきではないと考えている」と指摘しました。

また、記者団から菅総理大臣の再選を支持するか問われたのに対し「まだ候補者が出そろっていない中、私の支持を申し上げることは避けたいが、原則としては現政権の取り組みをしっかりサポートしていきたい」と述べました。

立民 枝野代表「コップの中の嵐」

立憲民主党の枝野代表は党の常任幹事会で「自民党内でどんなコップの中の嵐をやろうと、それは与党の中の話だ。今はコップの中の話を越えて国民の命と暮らしを守るために最善を尽くすことが責任だ。まずは速やかに臨時国会を召集し、緊急で求められていることに対応すべきだ」と述べました。

立民 福山幹事長「政治空白をつくっていいのか疑問」

立憲民主党の福山幹事長は記者会見で「自民党の総裁選挙は1つの政党の総裁選びであり、感染が広がる中、本当にそのようなことで政治空白をつくっていいのか、いささか疑問が残る。わずか1年で『総裁選だ』などと騒ぐのは自分たちが選んだ総裁がだめだったと認めることにもなる。政治空白をつくる前に早く国会を開き、補正予算の編成や必要な法改正などをやるべきだ」と述べました。