「危機感 共有なければ医療
ひっ迫深刻に」尾身会長

新型コロナウイルス対応で政府の分科会の尾身会長は、参議院内閣委員会で、現状では、感染を減少させる要素がほとんどないとして、社会全体で危機感が共有されなければ、早晩医療のひっ迫が深刻になると強い危機感を示しました。

この中で、尾身会長は、感染状況について「今、この感染を下げる要素があまりないが、上げる要素はたくさんある。一般の市民が『コロナ慣れ』していること、デルタ株の感染力が強くなっていること、夏休みやお盆、さらにオリンピックだ」と指摘しました。

そのうえで「最大の危機は社会で危機感が共有されてないことだ。このまま共有されなければ、感染はさらに拡大し、早晩、医療のひっ迫がさらに深刻になる」と強い危機感を示しました。

そして「この1年半で最も厳しい状況にある。東京の感染者数が3000人を超えたこの時期を逃さないで、今まで以上に強いメッセージを出してほしい」と政府に求めました。

また、尾身会長は「接触の機会は徐々に下がっているが、期待されるほどのスピードではない。このまま続くと、先般の大阪のように、自宅療養をしている人が重症化し、亡くなることも想定して、今から対策を打つ必要がある」と述べました。

さらに、東京オリンピック・パラリンピックをめぐり「さまざまな意見があった中で、政府や組織委員会は『やる』と決定したわけだから、感染拡大や医療ひっ迫を防ぐために、やるべきことはすべて全力でやることが当然の責任だ」と述べました。

一方、ワクチン接種に関連して、尾身会長は「国民の70%が接種しても、残念ながら残りの30%の人は守られない。デルタ株の感染力が強いし、30%の中で感染の伝ぱが継続すると思う。2度接種した人でも感染することがあるので、70%ぐらいでは無理で、もう少し接種率を上げる必要がある」と指摘しました。