G20閣僚宣言を採択
茂木外相 各国首脳と会談

G20=主要20か国は、外相と開発大臣の合同会合を開き世界の食料不安に深い懸念を表明し、持続可能な供給システムへの投資拡大を目指すことなどを盛り込んだ閣僚宣言を採択しました。

G20=主要20か国はイタリア南部のマテーラで、各国の外相と開発大臣の合同会合を開き、新型コロナウイルスの影響を踏まえた食料確保の在り方をめぐって意見を交わしました。

この中で茂木外務大臣は「世界で飢えに苦しむ人の数が増加する一方、その人たちを養えるだけの量の食料が廃棄されており、食料をめぐる格差を埋める必要がある」と指摘しました。

そのうえで、技術革新の促進による農業生産性の向上や、迅速かつ円滑な食料流通網の整備の必要性を指摘したほか、ロシアなどで食料の輸出規制の動きがみられたことも念頭に、市場の透明性を向上させるルールの重要性を強調しました。

そして合同会合では、世界の食料不安に深い懸念を表明し、持続可能な食料の供給システムへの投資拡大や、透明性のある国際貿易の維持を目指すことなどを盛り込んだ閣僚宣言を採択しました。

中国念頭にアフリカのインフラ設備支援の考え

また、これに先立った外相会合で、茂木外務大臣は、アフリカでの影響力を強める中国を念頭に、航行の自由や法の支配を重視する「自由で開かれたインド太平洋」構想に基づき、アフリカの港湾施設などのインフラ整備を支援していく考えを示しました。

この中で茂木外務大臣は、ワクチンの提供を含め、アフリカの保健・医療体制の構築を後押ししていくことや、産業関係の人材育成や技術移転を通じて、ビジネス環境の整備を促進していく考えを示しました。

また茂木大臣は、アフリカでの影響力を強める中国を念頭に、航行の自由や法の支配を重視する「自由で開かれたインド太平洋」構想に基づき、港湾施設などのインフラ整備を支援していく考えを強調しました。

このほか茂木大臣は、来年、チュニジアで開かれる予定のTICAD(ティカッド)=アフリカ開発会議に向けて、G20の各国と連携しながらアフリカの発展に貢献していく意向を示しました。

茂木外相「『自由で開かれたインド太平洋』を説明」

G20=主要20か国の外相会合などを終えたあと、茂木外務大臣は、オンラインで記者団に対し「G20の場で『自由で開かれたインド太平洋』という考え方や、そのもとで進んでいるさまざまな協力について説明したことは、有意義だと考えている」と述べました。

また、途上国の開発の在り方をめぐって意見を交わしたことに関連し「途上国の開発がルールに基づいて行われ、透明性が向上していくことが重要であり、G20の間で基本的に考えは一致している。これをどう進めるか、さらに議論を深めていく必要がある」と述べました。

日伊外相会談 インド太平洋地域での連携強化で一致

茂木外務大臣は日本時間の29日夜、議長国イタリアのディマイオ外相とおよそ30分間会談しました。

この中で茂木大臣は、日本が提唱する「自由で開かれたインド太平洋」の実現に協力を求めたうえで、EU=ヨーロッパ連合によるインド太平洋戦略の策定作業にイタリアがリーダーシップを発揮するよう期待を示しました。

そして両外相は、インド太平洋地域での両国の連携をいっそう強化していくことで一致しました。

日英外相会談 安全保障分野の連携強化で一致

茂木外務大臣は日本時間の29日夜、イギリスのラーブ外相とおよそ30分間会談しました。

この中で茂木大臣は、イギリスが最新鋭の空母「クイーン・エリザベス」を中心とする空母打撃群をインド太平洋地域に派遣し、日本などに寄港する方針を示していることを歓迎する意向を伝えました。

そのうえで両外相は、両国の安全保障分野での連携を強化していくことで一致したほか、イギリスも加盟するNATO=北大西洋条約機構と日本との連携強化の必要性も確認しました。

また茂木大臣は、東京電力福島第一原子力発電所の事故のあと継続されている日本産食品の輸入規制を撤廃するよう要請し、ラーブ外相は「真剣に検討する」と述べました。

これに先立って茂木大臣は、アメリカのブリンケン国務長官ともおよそ20分間会談し、中国や北朝鮮などの地域情勢について意見を交わしたうえで、G20の中で両国の協力を一層推進していくことを確認しました。

オランダ外相とインド太平洋地域の連携強化で一致

茂木外務大臣は、日本時間の29日未明、オランダのカーグ外相と初めて会談しました。

会談で茂木大臣は、オランダが去年、インド太平洋に関する独自のガイドラインを公表するとともに、EU=ヨーロッパ連合によるインド太平洋戦略の策定作業に積極的に関与していることを「心強く思う」と述べました。

そのうえで「基本的価値を共有する戦略的パートナーであるオランダとの関係を一層強化していきたい」と述べました。

これに対しカーグ外相は「日本との間で政治、安全保障、経済、多国間協力など広範な関係を発展させていきたい」と応じ、両外相は、インド太平洋地域での両国の連携を強化していくことで一致しました。

また覇権主義的な行動を強める中国をめぐり、両外相は、東シナ海や南シナ海での力による一方的な現状変更の試みや、香港や新疆ウイグル自治区の情勢に対する深刻な懸念を共有しました。

インドネシアに約100万回分ワクチン提供方針表明

茂木外務大臣は、日本時間の29日未明、インドネシアのルトノ外相と会談しました。

会談ではミャンマー情勢をめぐってルトノ外相が、軍と民主派勢力との対話を仲介する特使を派遣するなど事態打開に向けたASEANの取り組みを説明し、日本の協力を求めました。

これに対し茂木大臣は「今後任命される特使を支援していく」と述べたうえで、対話の実現や拘束者の解放に向けて、日本としてもミャンマー軍に強く働きかけていく考えを示しました。

そして、ミャンマー情勢への対応で今後も緊密に連携していくことで一致しました。

一方、茂木大臣は、来月1日以降インドネシアにおよそ100万回分の新型コロナウイルスワクチンを提供する方針を伝え、ルトノ外相は謝意を示しました。