菅首相 “五輪観客上限数は
感染状況など踏まえ柔軟に”

東京オリンピックの観客をめぐって、全会場の上限を収容定員の50%以内で1万人を原則とすることが決まったことに関連し、菅総理大臣は、新型コロナウイルスの感染状況などを踏まえ、上限数については柔軟に対応する考えを示しました。

開幕が1か月後に迫る東京オリンピックをめぐり、焦点となっていた国内の観客は21日、大会組織委員会やIOC=国際オリンピック委員会など5者による会談で、全会場の上限を収容定員の50%以内で1万人を原則とすることが決まりました。

これについて菅総理大臣は、自民党の役員会で「東京大会の観客上限数については臨機応変に柔軟に対応していきたい」と述べ、新型コロナウイルスの感染状況などを踏まえ、柔軟に対応する考えを示しました。

一方、今週25日に告示される東京都議会議員選挙について、菅総理大臣は「衆議院選挙に直結する大事な選挙だ」と述べ、党を挙げて選挙戦に取り組むよう呼びかけました。

加藤官房長官「観客への酒類提供 組織委で適切に判断」

加藤官房長官は、閣議のあとの記者会見で「大会組織委員会の橋本会長が、観客への酒類の販売提供については、大声の抑止、安全な誘導の実現の観点や、現在の一般的ルールを鑑み、検討中だと発言されたと承知しており、組織委員会で適切に判断されていくと考えている」と述べました。

そのうえで、記者団が「酒類の提供に関して、自治体の要請に従うべきか」と質問したのに対し「開催自治体とよく連携を取っていくことは、当然求められると思うが、個々の話に関しては、まさに検討するということであり、それ以上の言及は控えたい」と述べました。

西村経済再生相「感染リスク減に全力」

西村経済再生担当大臣は、閣議後のあとの記者会見で「感染リスクをできるだけ下げることに全力を挙げていきたい。まず、ワクチン接種を加速し、円滑に進めるとともに、検査を拡充し、感染拡大を抑えていく努力をする。また、テレワークの推進や、お盆に集中しがちな休暇を分散することを、改めて経済界にお願いし、7月から8月の都内の人流を下げる取り組みを進めたい」と述べました。

自民 二階幹事長「臨機応変な措置も重要」

自民党の二階幹事長は、記者会見で「感染状況がどのように変化するかは予測のかぎりではないが、無観客など臨機応変な措置をとることも極めて重要だ。果敢にやっていかなければならない」と述べました。

立民 枝野代表「競技場で酒提供信じられない」

立憲民主党の枝野代表は、党の役員会で「多くの飲食店の皆さんに、血のにじむような努力の中で協力してもらっている。それにもかかわらず、1万人を集めたオリンピックの競技場で酒を出すというのは本当に信じられず、飲食店の皆さんから暴動が起こるのではないか。国民の命と健康などを全部犠牲にしようとしているのではないかと言わざるをえない」と述べました。

立民 福山幹事長「なぜ1万人か説明を」

立憲民主党の福山幹事長は、記者団に対し「政府の分科会の尾身会長をはじめとする専門家は、無観客が望ましく、観客を入れる場合であっても、ほかのイベントよりも厳しい措置を求めると提言している。こうした専門家の提言がありながら、なぜ1万人という枠なのかや、感染拡大に結び付かないのかなどについて、しっかり説明を求めたい」と述べました。

立民 安住国対委員長「専門家の意見無視」

立憲民主党の安住国会対策委員長は、記者団に対し「東京オリンピックを1か月後に控え、さまざまな面で、政府側の対応への疑念が生まれている。観客数の上限1万人も結局、結論ありきとなっていて、専門家の意見も事実上、無視されている」と批判しました。

また、大会組織委員会が、観客に対する会場での酒類の販売や提供を検討していることについて「国民の生活は規制して『我慢しろ』と言う一方で、オリンピックは特別だとでもいうような対応が許されるのか。次々と疑念が湧いてきて、感動どころか分断や不信感だけが増えるオリンピックになる」と述べました。

公明 山口代表「感染状況を見極め柔軟に対応を」

公明党の山口代表は、記者会見で「感染対策や医療体制の整備に向けて、基準ができたという意味で評価している。これまでの大規模なスポーツ行事や、テストイベントなどの教訓に基づいた判断なのだろう。ただ、感染のリバウンドが懸念される状況でもあるので、感染状況をよく見極めて、柔軟に対応していく必要がある」と述べました。

そのうえで、観客への酒類の販売については「飲食店では、2人までという制限のもとで認められている状況と、大規模な会場で大勢が集まる中で提供することの違いにも着目しながら、慎重に検討してもらいたい」と述べました。

共産 小池書記局長「政府は専門家の意見を無視」

共産党の小池書記局長は、記者会見で「なぜ無観客を選ばなかったのか、政府は理由も示さず、専門家の意見を無視した。政府は、抑えないといけない人流を東京五輪で意図的、積極的に作り出そうとしている」と述べました。

また、大会組織委員会が、会場での酒類の販売や提供を検討していることについて「言語道断と言うほかない。専門家の意見はまったく無視し、五輪という名がつけば何をやってもいいのかということになってきている」と述べました。