防災デジタル化 推進を
有識者が提言

自然災害が相次ぐ中、防災の分野で今後取り組みを加速させるべき施策について、デジタル化や防災などの有識者が提言を取りまとめました。災害に関する情報を迅速に共有するためのルール作りや災害ボランティア人材の研修制度などが必要だとしています。

相次ぐ災害や政府のデジタル化推進の方針を受け、内閣府は去年10月、有識者からなる5つの作業部会を設置し、議論を進めてきました。

このうち、デジタル技術を防災に生かすための作業部会では情報の収集や活用が現状では不十分だとして、救助が必要な人の数や位置情報、インフラの被害状況などを国や自治体などが迅速に収集・分析・共有できる仕組み作りが急務だとしています。

その前提として、災害時の個人情報を取り扱う上での全国共通ルールを作ることが不可欠だとしています。

将来的には、仮想空間上に都市や人々を精密に再現し、巨大災害が起きた際の被災や避難などにおける課題を詳細にシミュレーションすることが重要だとしています。

デジタル・防災技術ワーキンググループの座長を務めた慶應義塾大学環境情報学部の安宅和人教授は「温暖化の進展もあり、これから100年で災害は増える一方だと思うが、今、デジタル技術の基盤ができていることはラッキーだ。防災デジタルのポテンシャルは極めて強大で、私たちの子孫に残すに値する未来を作ることができる」と話しています。

また、災害ボランティアに関する作業部会は避難者の健康悪化を防ぎ「災害関連死」を減らすためボランティアに対する専門的な研修制度を新たに国がつくることを提言したほか、防災教育の作業部会は、全国の小中学校で地域の災害リスクを知る防災教育や、形式的でなく、実践的な避難訓練の必要性を提言しました。

小此木防災担当大臣は「防災減災、国土強じん化に関する画期的な提言だ。関係者が一丸となって災害による直接死、関連死をなくす取り組みにつなげていきたい」と話していました。