出入国管理法の改正案
大学教授ら廃案求め反対声明

国会で審議されている出入国管理法の改正案について、移民政策に詳しい大学教授などが反対する声明をまとめ「移民や難民を一層追い込む『改悪』だ」などとして廃案にするよう求めました。

声明は、移民や難民に関する政策に詳しい大学教授や難民の支援者などおよそ500人が賛同していて、14日、呼びかけ人などが都内で記者会見を開いて発表しました。

国外退去処分を受けた外国人の収容の在り方などを見直す出入国管理法の改正案では、難民申請をめぐり、3回目以降の申請などについては手続き中でも強制送還できるようにすることが盛り込まれています。

声明では、こうした例外を設けることは難民条約の精神に反するなどと指摘したうえで「改正案は現行の問題点を解決することなく、移民、難民、無国籍者を一層追い込む『改悪』以外の何者でもない」として、廃案にするよう求めています。

呼びかけ人の1人で、移民政策が専門の国士舘大学の鈴木江理子教授は「労働力を確保するため多くの外国人を受け入れる一方、どうやって共に生きるかという議論が不十分だったことが、母国に帰れない事情を抱えた外国人の存在につながっている。適切な移民政策を議論せず、彼らを追い出そうとするような社会でいいのかというのが私たちの思いだ」と話していました。

国会前では反対の集会 座り込みも

国会前では、移民や難民の支援活動を行うNPOの呼びかけで出入国管理法の改正案に反対する集会が開かれ、14日午後にはおよそ100人が集まりました。

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、参加者は間隔をあけて座り込みを行い、抗議の意思を示していました。

参加した大学4年生の女性は「私は父親がイギリス人で、今の改正案の議論を見ていると、自分のアイデンティティーを否定されているように感じます。あらゆる国籍やルーツを持つ人に開かれた日本であってほしい」と話していました。

また、50代の女性は、難民認定の申請中であっても強制送還できる例外規定が改正案に盛り込まれていることについて「弾圧や迫害を受けるおそれがある人に帰国を強制するのは『命を落とせ』というようなもので、私には耐え難いです。外国人とともに生きていける社会になってほしい」と話していました。