大阪 吉村知事「宣言」
国に発出要請する考え示す

大阪府の吉村知事は、府内で新型コロナウイルスの感染の急拡大が続いていることを受けて、さらなる感染拡大を食い止めるため、国に対し近く緊急事態宣言の発出を要請する考えを示しました。

宣言が発出されれば飲食店や百貨店、それにテーマパークなどに休業要請を行う方向で調整する考えです。

大阪府では18日、1日としては過去最多の1220人が新型コロナに新たに感染していることが確認されるなど、感染の急拡大に歯止めがかかっていません。

これについて吉村知事は記者団に対し「きょうで『まん延防止等重点措置』が適用されてから2週間が経過したが、感染者数がきのう過去最多になるなど厳しい状況が続いている。また、医療の提供体制も極めて厳しい状況だ」と述べました。

そのうえで吉村知事は「こうした危機的な状況を踏まえ、緊急事態宣言の発出を国に要請すべきだと判断した。20日に対策本部会議を開いて正式に決定する」と述べ、国に対し近く緊急事態宣言の発出を要請する考えを示しました。

そして「現状の認識としては人の動きをとめるより強い内容の措置が必要だと考えている。変異ウイルスに対応するためにも、街全体の人の動きをいったん大きく停止することが必要だ」と述べ、緊急事態宣言が発出されれば、人と人との接触機会を減らすため飲食店や百貨店、それにテーマパークなどに、休業要請を行う方向で調整する考えを示しました。

さらに「宣言の発出要請について、兵庫県の井戸知事、京都府の西脇知事と話をさせてもらおうと思っている。共同で要請もありうる」と述べ、国への要請に向けて兵庫県や京都府と協議を行う考えを示しました。

官房長官「要請出されれば速やかに検討」

加藤官房長官は午前の記者会見で「大阪府の吉村知事も東京都の小池知事も記者会見で、感染状況を見極めて緊急事態宣言の要請について検討を行っている旨を述べられていることは承知している。基本的対処方針にのっとり、もし要請が出されれば改正特別措置法に関する付帯決議にあるように、速やかな検討を行っていく必要があると考えている」と述べました。

専門家「ロックダウンに近い制限を」

吉村知事が緊急事態宣言の発出を国に要請する考えを示したことについて、感染症に詳しい大阪医科薬科大学附属病院の浮村聡教授は「遅すぎる。まん延防止等重点措置では人の動きが減っていない。救急医療の現場ではもうすでに破綻が起きていて救急車の中で新型コロナの患者が10時間待機するということが現実に起こっている。変異ウイルスが広がる中で感染者を減らすには人の動きを7割から9割減らさないといけない。例えば、社会や暮らしを支える『エッセンシャルワーカー』以外は仕事に行かないでくださいというくらいのロックダウンに近い制限をしないと、救急医療が延々と破綻し救える命が救えない状態が続く」と警鐘を鳴らしています。

そのうえで「今はもうすでに非常事態、有事の状態だ。第1波、第2波、第3波とあった中で、いつが1番危機的な状況かと言えば、きょうだ。きょうよりきっとあしたのほうが危ない状況だ。あしたより1週間後のほうが危ない。強い行動抑制をかけても、2週間くらいはきょうよりも危なくなる状態が続く。それを理解したうえで行動すべきだ」と強く呼びかけています。