東京 京都 沖縄でも
「まん延防止」 各地の反応

東京、京都、それに沖縄の3都府県での「まん延防止等重点措置」の適用が12日から新たに始まりました。これで適用される地域は大阪、兵庫、宮城の3府県から6都府県に拡大されました。各地の動きや反応です。

東京都. 飲食店の見回り開始

12日から「まん延防止等重点措置」が適用されたのを受けて、東京都は飲食店などを見回り感染対策を点検する取り組みを始めました。

初日の12日は職員20人の出発にあたって小池知事が「飲食店へのきめ細かい支援を心がけ、都民の命と健康を守る高い意識と危機感を持ちながら進めてほしい」と述べました。

職員は2人1組になって見回りを行い、このうち都庁近くの居酒屋と和食店では消毒や換気など5つのテーマの20のチェックポイントの対策が十分にとられているか店長から話を聴きながら確認していました。

また、二酸化炭素の濃度をはかる測定器やアクリル板などの購入には都の補助制度があることなども紹介していました。

都によりますと、見回りの対象となる飲食店などはおよそ12万店あり、今後、民間にも委託して100組200人の体制を編成する方針です。

ことし6月末までは集中的に行って数万店を見回りたいとしていますが、対象の12万店すべてを回り終えるにはどれくらいかかるか見通せないということです。

東京都総務局の齋藤健 課長は「ただ点検するだけではなくその店にあった取り組みができるよう後押ししていきたい」と話していました。

東京都. 見回りチェックポイント

都が始めた飲食店の見回りで主にチェックしているポイントです。テーマは手や指の消毒やマスク着用の徹底をはじめ、間隔の確保や換気の徹底など合わせて5つ。各項目ごとに複数のチェックポイントがあります。

●テーマ1. 手指消毒の徹底
手や指の消毒では
▽客の目に付きやすい場所に消毒液を置いているか
▽ボトルが空にならないよう定期的に補充しているかなどがポイントです。

●テーマ2. マスク着用の徹底
マスクの着用では従業員はもちろんのこと
▽利用者、客に対して食事中以外の着用の徹底を周知しているかどうかなどがポイントです。

●テーマ3. 間隔の確保・アクリル板などの設置
▽対面が想定されている場所では遮蔽物を設けるほか
▽複数のテーブルが隣接する時は同一グループと他のグループのテーブルの間を1メートル以上あけたり、アクリル板や透明なカーテンで遮ったりすることもポイントです。

●テーマ4. 換気の徹底
換気では
▽二酸化炭素の濃度の測定器を使い1000ppm以下になるようにすることや
▽窓を開けて換気を行う場合は30分に1回、5分程度、2方向の窓を全開にすること
▽窓が一つしかない場合はドアを開けて扇風機などを活用し、十分な換気を行うことなどがポイントです。
▽従業員の休憩室などもできるだけ換気を行うよう求めています。

●テーマ5. コロナ対策リーダーを中心とした取り組み
また
▽コロナ対策リーダーや店長などが中心となり、利用客に対策を取るよう声かけを行うことも呼びかけています。

小池知事「皆様の協力が欠かせない」

小池知事は記者団に対し「重要な時期だ。変異株の拡大で感染者数が増えてきている。ここで皆さんとともに抑え込まないと病床の確保や手術を待っている方が変更を余儀なくされる。この重点措置の期間、感染しないさせないを徹底してほしい」と述べました。

そのうえで「ワクチンの接種はまだほんの一部だ。ワクチンがない中でどう感染を防止するか。素手でたたかっていると何度も申し上げている。皆様の協力が欠かせない」と述べました。

京都. 飲食店「1日でも早く終わって」

京都市にも「まん延防止等重点措置」が適用され、営業時間を夜8時までに短縮するよう要請された飲食店からは「補助も活用してできるかぎりの感染対策を実施しながら営業を続けていきたい」といった声が聞かれました。

このうち、京都市中京区にある和食店では透明のシートや仕切り板を設置してきたほか、利用客には飲食の時以外はマスクを着用するよう呼びかけてきました。

重点措置が京都市にも適用され営業時間を夜8時までに短縮するよう求める要請が出たことを受けて、この店でも夜間の営業時間をこれまでより1時間短縮して午後5時から8時までとし、変更を知らせる案内を店頭に張り出していました。

和食店の野中慎一店長は「来客数が減っている中で再び時短要請が出ることになり1日でも早くこの状況が終わってほしいです。今後は補助も活用し、できるかぎりの感染対策を実施しながら営業を続けていきたいと思っています」と話していました。

沖縄. 飲食店「今は辛抱…」

那覇市の飲食店では営業時間を短縮するなど対応に追われました。

那覇市久茂地の居酒屋には営業時間を短縮する期間を5月5日までと記した新たな看板が設置されました。

店長の比嘉真幸さんは「どこの店舗も苦しいと思うが今は辛抱です。ただ、過料が追加されたこと以外、これまでと何が違うのかよくわかりません」と話していました。

また先週、開業したばかりの店を含め那覇市内で居酒屋4店舗を展開するチェーン店の代表、城間康史さんは「スタッフの生活がある中、複雑な心境です。ただコロナが収束することがいちばんだと思うので重点措置に従って頑張っていきたいです」と話していました。

菅首相 感染対策の徹底呼びかけ

菅総理大臣は衆議院決算行政監視委員会で、感染拡大の動きは全国的な大きなものにはなっていないという認識を重ねて示したうえで「まん延防止等重点措置」を機動的に講じることで、拡大の防止に万全を期す考えを示しました。

自民党の田中英之氏は「緊急事態宣言ではなく『まん延防止等重点措置』になったのは国民の努力の形だが緩く捉えられてしまいがちだ。そうならないようメッセージをしっかり伝えてもらいたい」と求めました。

これに対し菅総理大臣は「世界規模の感染の波は私たちが想像したものを超えて厳しいものだ。引き続き、緊張感をもって対応していただくことが極めて重要だ。営業短縮に協力をいただくとともに、大人数の会食を控えてもらうなど感染拡大の防止に協力をいただきたい」と述べました。

立憲民主党の山内康一氏は「すでに第4波に入っているのではないかと多くの国民が感じている。『まん延防止等重点措置』では十分ではないという声が大きい」とただしました。

これに対し菅総理大臣は「全国的には大きなうねりとまではなっていない。緊急事態宣言を発することのないよう『重点措置』を機動的に行使をして取り組んでいきたい。強制力もあるので見回りのチームを作って注意を徹底すると同時に、変異株の警戒などをしっかり行い抑えていきたい」と述べました。

また菅首相は記者団に対し「きょうから東京都をはじめとする3都府県で『まん延防止等重点措置』を行うが、国民の皆さんには飲食店の時間短縮をはじめ、感染対策の基本であるマスクはする、大声で話さない、さらに『3密』は回避する、手洗いは励行する、そうした基本を行っていただいて感染拡大を防いでいきたい」と述べ、感染対策の徹底を呼びかけました。

どのような対策が?

「まん延防止等重点措置」の期間は
▽東京は4月12日から5月11日までの30日間
▽京都府と沖縄県は4月12日から5月5日までの24日間です。

政府は新型コロナウイルス対策の基本的対処方針を変更し、それによりますと、すでに重点措置の対象地域となっている大阪府などと同様に
▽飲食店に対して営業時間を午後8時までに短縮し
▽お酒の提供は午前11時から午後7時までとするよう要請するとしています。

また
▽「昼カラオケ」によるクラスターの発生を防ぐため飲食店でのカラオケ設備の利用自粛を求めるほか
▽感染防止対策を行わない人の入場禁止などを知事の判断で飲食店に要請するなどとしています。

さらに
▽ほかの地域への感染拡大を防止するため不要不急の都道府県間の移動は極力控えるよう促すことを新たに求めています。

東京 京都 沖縄 きょうの感染者数は?

東京、京都、それに沖縄の12日の感染者数です。
▽東京都では新たに306人の感染確認が発表されました。1週間前の月曜日から57人増え、前の週の同じ曜日を上回るのはこれで12日連続です。
▽京都府内では新たに42人▽沖縄県では新たに37人の感染が確認されました。

西村経済再生相「大阪の状況 極めて強い危機感」

西村経済再生担当大臣は記者会見で、大阪の状況について「極めて強い危機感を持っている。国民の命を守るために必要とあれば、緊急事態宣言も、ちゅうちょすべきではないと考えているが、今の『まん延防止等重点措置』の取り組みが進んできているので状況を見極めたい」と述べました。

一方「重点措置」が適用された東京に隣接する埼玉、千葉、神奈川については「それぞれの知事が県民や事業者に協力してもらいなんとか踏ん張っている状況だ。東京に近い地域の数字について分析を進めながら、大きく増えてくる予兆があれば『重点措置』の活用を含め、機動的に対応したい」と述べました。