「第4波までなっていないが
警戒感持ち対応」首相

国会では参議院決算委員会が開かれ、菅総理大臣は新型コロナウイルスの感染状況について、第4波といった全国的な拡大のうねりには至っていないものの、強い警戒感を持って対応することが必要だという認識を示しました。

参議院決算委員会では5日、菅総理大臣とすべての閣僚が出席して、令和元年度の国の決算について審議が行われています。

コロナの影響受けた事業者への支援

この中で自民党の古賀友一郎氏は、新型コロナウイルスの影響を受けた事業者への支援について「新しい提案をしたい。とりあえず希望額を融資し、感染収束後に事業者の収益力などを審査して、何割返してもらうかを決める。そして、返済を免除した分は公費で補填(ほてん)する制度だ」と検討を求めました。

これに対し菅総理大臣は「新型コロナによる影響や今後の収益を個々の企業ごとに評価することは、公平性の観点から難しいのではないか。他方、事業や雇用を守る考え方は十分に共有している。これまで雇用調整助成金や一時金による支援などを行っている。今後も事業者の声に耳を傾け、事業と雇用を支えていきたい」と述べました。

“第4波”の可能性について

立憲民主党の古賀之士氏は、新型コロナウイルスの感染状況について「いわゆる第4波の可能性についてどのように考えているのか。特に大阪と兵庫について、緊急事態宣言を解除したのは、早すぎたのではないか」とただしました。

これに対し菅総理大臣は「大阪、兵庫では、感染の再拡大が起こっており、首都圏の1都3県では人流が急増していて、今後、感染の再拡大の懸念もある。現時点で第4波といった、全国的な大きなうねりとまではなっていないが、強い警戒感を持って対応することが必要だ。大阪や兵庫は、2月下旬の段階では、解除の基準を十分に満たしていた」と述べました。

また、菅総理大臣は今年度の補正予算案の必要性について「昨年度の第3次補正予算と今回の本予算で、必要なものには機動的に対応できると思っている」と述べました。

一方、政府の分科会の尾身会長は「行動変容に対する人々の協力が今まで以上にえにくくなっていて、人流=人の流れがかなり増えている。また、変異株の割合が、東京も含めて少しずつ増加していて、感染対策が1つ上の困難さに突き当たっている」と指摘しました。
そのうえで「緊急事態宣言解除後の人流の影響が、これから1、2週間で出てくる。東京も大阪のような状況になる可能性があり、どんな効果的な対策を打てるのか、真剣に検討すべき時期に入りつつある」と述べました。

国家公務員法改正案について

このほか、菅総理大臣は去年の通常国会で廃案となった、国家公務員の定年を段階的に65歳に引き上げる国家公務員法改正案について「豊富な知識や経験を持つ高齢期の職員に最大限活躍してもらい、複雑高度化する行政課題に的確に対応していくためには、定年の引き上げが必要だ。改正案の早期提出に向けて、政府として準備を進めている」と述べました。