「高齢者にワクチン届く6月
ごろまでが正念場」尾身会長

政府が「まん延防止等重点措置」の適用を決めたことを受けて「基本的対処方針分科会」の尾身茂会長は1日夜開いた記者会見で「高齢者にワクチンが届く6月ごろまでが正念場だ。大きなリバウンドを防ぐことがこれからの最優先課題になる」と述べ、国と自治体がこれまで以上に姿勢を示す形で対策を進め、一般の人々が感染対策に協力することが重要だと強調しました。

この中で尾身会長は、現在の感染状況について「飲食店が中心だったクラスターが多様化し、学生のコンパやオープニングセレモニーなどの人が集まる機会、工場、学校、外国人コミュニティ、カラオケ喫茶などで感染が広がってきている。行動変容への協力が得られにくくなってきているうえ、感染力の強い変異ウイルスによって拡大のスピードが加速する可能性がある」と分析し、「人々の行動変容に頼るだけでなく、多様な感染源に直接、介入する対策が必要になってきている」という認識を示しました。

そして、対策を進める上での考え方として「今まで以上に自治体と国がしっかりやっているという姿勢を一般の人に知ってもらわないと、みんなコロナ疲れの中で対策を頑張ろうとはならない。何でもダメと言うことではなくメリハリをつけることが重要だ」と述べました。

具体的には自治体や国は、飲食店の営業時間の短縮要請や行政の担当者が飲食店への見回りを行うことなどと合わせて、県を超えた移動制限や、カラオケ喫茶の利用自粛などを一連のパッケージとして対策をとる必要があるとしています。

また、一般の人たちが取る対策として、会食は感染対策を実施している店でできるだけ4人までで行い、混雑した場所や時間を避けるなど「感染リスクの低い行動」を取ってもらいたいとした一方で、食事中も含めたマスクのない会話や「3密」や大声を出す場面、大人数での飲酒を伴う懇親会などは「絶対に避けてほしい」と述べました。

さらに、今後の見通しについて尾身会長は「高齢者にワクチンが届く6月ごろまでが正念場だ。それまでに大きなリバウンドを防ぐことがこれからの最優先課題になる。今後、重点措置がほかの地域で必要になってくることは当然あると思うが、その際には客観的な評価をもとに、機動的に判断すべきで、専門家として指標を示したい」と述べました。