過去最大の新年度予算成立
与野党の反応は?

一般会計の総額が過去最大の106兆円余りとなる新年度予算は、参議院本会議で採決が行われ、自民・公明両党などの賛成多数で可決・成立しました。

新年度予算案は26日、参議院予算委員会で、締めくくりの質疑のあと、採決が行われ、自民・公明両党の賛成多数で可決され、参議院本会議に緊急上程されました。

本会議では、討論が行われ、自民党の青木一彦氏は「新規感染者数が増加している地域もあり、気を緩めることなくリバウンドを何としても回避していく必要がある。予算案を直ちに成立させ、感染拡大防止策を講ずると同時に、未来を左右する重要な課題に対応した施策を実行して国民に安心と希望を届けることが何より大切だ」と述べました。

一方、立憲民主党の宮沢由佳氏は「新型コロナウイルス感染症対策に関しての予算が、あまりにも弱く、小さい。自殺対策など国民の命と健康を守るために、すぐにでも着手すべき予算は本当に手薄だ。時勢を読まない予算案には賛成できない。国民と向かい合おうとしない菅内閣の姿勢は、内閣総辞職に値する」と述べました。

そして、採決が行われた結果、新年度予算は、自民・公明両党などの賛成多数で可決・成立しました。

新年度予算は新型コロナ対策のほかデジタル改革や脱炭素社会の実現に向けた事業、それに不妊治療についての予算などが盛り込まれていて、一般会計の総額は、過去最大の106兆6097億円となりました。

菅首相「迅速に、着実に執行」

菅総理大臣は、今夜、総理大臣官邸で記者団に対し「医療や年金、子育て、新型コロナウイルス対策など、 国民の皆さんにとって、極めて重要な予算であり、与党の結束の成果だ。今年度の第3次補正予算とあわせて、迅速に、着実に執行し、感染のリバウンドを防ぎ、グリーン、デジタル、経済の再生、地方の活性化にも しっかり対応していきたい。これからもデジタルや医療改革など重要な法案があるので、緊張感をもって、国会に対応していきたい」と述べました。

麻生副総理・財務相「感染拡大防止に万全を期す」

一般会計の総額が過去最大となる新年度予算が成立したことを受けて、記者会見した麻生副総理兼財務大臣は「成立した予算は執行しないと意味がないので、まずは新型コロナウイルスの感染拡大防止に万全を期したい。ただ、中長期的な話としてグリーン化やデジタル化などの課題にも対応していく必要がある。経済を成長させられるよう財政支援していく」と述べ、着実な予算の執行によって新型コロナで落ち込んだ日本経済の再建を果たしていく考えを強調しました。

坂井官房副長官「コロナ対策に万全」

坂井官房副長官は記者会見で「予算を早期に成立させていただくことは、引き続き、新型コロナ対策に万全を期していくためにも重要だ。保健所体制の整備や診療報酬の特例的な加算など新型コロナにしっかりと対応するとともに、長年の課題である待機児童の解消のための保育の受け皿整備や次の成長の原動力となるグリーン化やデジタル化に着実に対応していく予算としている。5兆円の新型コロナ予備費を措置するなど、感染収束と経済再生に向けた重要な予算だと考えている」と述べました。

自民 世耕参院幹事長「政府は国民の暮らしと安全守って」

自民党の世耕参議院幹事長は、記者会見で「『熟議の参議院』らしい充実した議論を積み重ねることができたのではないか。政府には、この予算をベースに、リバウンドや変異ウイルス対応を含む新型コロナウイルス対策と社会経済活動の両立を図り、国民の暮らしと安全を守ってもらいたい」と述べました。

そのうえで、予算成立後の後半国会については「デジタル改革関連法案など非常に重要な法案が審議されることになる。引き続き、緊張感を持って国会運営にあたっていかなければならない」と述べました。

公明 山口代表「速やかに執行されるよう万全を期す」

公明党の山口代表は、党の参議院議員総会で「新型コロナウイルスの感染拡大防止策や、経済支援策、そしてポストコロナ時代を見据えて推進力となるような、デジタル化やカーボンニュートラルなどの重要な内容が含まれている。今年度の第3次補正予算とあわせた『15か月予算』の位置づけで、連続性や総合性をもって組み立てられているので、速やかに執行されるよう万全を期していきたい」と述べました。

公明 石井幹事長「迅速かつ円滑な執行を期待したい」

公明党の石井幹事長は、記者会見で「新型コロナ対策をはじめ、デジタル化や脱炭素といった、ポストコロナ社会の経済成長の原動力となる取り組みが盛り込まれている。政府には、先に成立している今年度の第3次補正予算とあわせて迅速かつ円滑な執行を期待したい」と述べました。

立民 福山幹事長「予備費以外に感染対策ほとんど入っていない」

立憲民主党の福山幹事長は、記者団に対し「感染のリバウンドや変異種の広がりが懸念され、国民生活や事業者の苦しみが増す中で、予備費以外に感染症対策がほとんど入っていない、考えられない予算で、非常に遺憾だ」と述べました。

立民 泉政調会長「コロナ対策が非常に不十分 より強い対策を」

立憲民主党の泉政務調査会長は、NHKの取材に対し「コロナ対策が非常に不十分だ。感染者が再び増加傾向にあり、変異ウイルスの検査も進まない中、公共事業や防衛費もほぼ見直されず、従来型で省庁縦割りの予算になってしまった。われわれは、持続化給付金や困窮者向けの定額給付金の再給付法案を出しているが、より強い対策を打つよう政府に求めたい」と述べました。

維新 片山共同代表「コロナ対策が不十分 大変不満」

日本維新の会の片山共同代表は、記者会見で「『ポストコロナ』に向けて意欲があるとは言えない内容だ。新型コロナウイルスの変異種も確認され、国民に新しい不安が広がっているにもかかわらず、対策が不十分だ。身を切る改革や徹底した行財政改革も行われておらず、大変不満だ」と述べました。

共産 小池書記局長「必要な対策 盛り込まれていない」

共産党の小池書記局長は、NHKの取材に対し「いま必要なのは、検査の強化や、事業者に対する補償の充実などだが、予算にはほとんど盛り込まれておらず、引き続き抜本的な財政措置を求めていきたい。また、総務省の接待問題などで政府・与党は資料を出さず、参考人招致にも応じず『記憶にない』という答弁を繰り返した。腐敗、堕落、劣化が深刻だ」と批判しました。

国民 玉木代表「不十分 来月にも補正の編成 検討すべき」

国民民主党の玉木代表は、記者団に対し「今回の予算は、昨年末に編成され、その後の緊急事態宣言や変異株の拡大が織り込まれていないものであり今後の感染拡大に対応できるかという意味でも不十分だ。万全の感染症対策と経済対策を講じる観点から、できれば来月にも新年度予算の第1次補正予算案の編成を検討すべきだ」と述べました。

国民 榛葉幹事長「野党の提案にも耳を傾けて」

国民民主党の榛葉幹事長は、記者会見で「これまでの飲食店に対する一律の協力金だけでは格差が拡大するだけで、メリハリをつけた支援をするべきだ。また、私たちが主張してきた学生や生活困窮者への給付など暮らしに寄り添った支援が必要だ。コロナを収束させながら経済を止めないようにするため野党の提案にも耳を傾けてもらいたい」と述べました。