「佐川氏は材適所だった」
麻生財務相 自らは続投の考え

森友学園をめぐる決裁文書の改ざんを、事実上指示したと認定した佐川前理財局長を国税庁長官に任命したことについて、麻生副総理兼財務大臣は、5日の国会の質疑で「適材適所だった」と述べました。

5日の衆議院の財務金融委員会では改ざん問題に質疑が集中し、麻生財務相は改ざんを事実上指示していた佐川氏を国税庁長官に任命した人事について認識を問われ、「経歴などを考えたうえで、職務に関してはきちんと対応していたので適材適所だったと思う」と述べました。

責任の取り方「それなりのつもり」

一方、麻生財務相が改ざんに問題に対するみずからの責任を示すため、閣僚給与1年分、170万円を自主的に返納することについて、野党の議員から「責任の取り方が不十分だ」などという批判が相次ぎました。

麻生財務相は「十分か十分でないかに関して私が判断するところではないが、1年間の自主返納というのは私としてはそれなりのつもりだ」と述べ、一定の責任を示したという認識を示しました。

そのうえで、「不徳の致すところだと反省している。引き続き信頼回復のために努力してまいりたい」と述べ、大臣を続け信頼回復に当たる考えを改めて示しました。

返納した170万円とは

決裁文書の改ざん問題の責任を示すため、麻生副総理兼財務大臣が自主的に返納することにした閣僚給与1年分は、金額にすると170万円です。

国会議員には、月給にあたる「歳費」と、ボーナスにあたる「期末手当」として、年間でおよそ2170万円が支払われています。閣僚には、750万円余りが上乗せされ、およそ2930万円が支払われることになっています。ただ、財政状況が厳しい中、閣僚どうしの申し合わせで、平成26年4月から給与の20%を返納しています。このため、麻生副総理に実際に支払われている給与は、いまは年間およそ2340万円です。

麻生副総理が自主的に返納するのは、この2340万円から国会議員としての給与2170万円の差額のおよそ170万円だということです。

「これで一件落着ではない」 立民 枝野氏

立憲民主党の枝野代表は、党の常任幹事会で、「『これで一件落着』ではない。疑惑ではなく、組織的な改ざんであり、財務大臣が責任を取らなければ、どう考えても許されない問題だ。1年にわたる意図的、組織的な改ざんにより、国会の審議権を侵害してきたことに対し、けじめもつけられないというのでは、民主主義の危機だ」と述べました。

「甘々の処分」国民 榛葉氏

国民民主党の榛葉参議院幹事長は記者会見で、「麻生副総理兼財務大臣は、『動機がわかれば苦労しない』と開き直りとも言える発言をして、とても当事者とは思えず、『170万円の給与返納』は『甘々の処分』と言わざるをえない。安倍総理大臣が再発防止策の取りまとめを指示したが、漫画のようで、そういうのを『マッチポンプ』と言う」と述べました。

「麻生大臣も責任は免れない」自由 小沢氏

自由党の小沢代表は、記者会見で、「安倍総理大臣本人か、夫人の昭恵氏かは知らないが、総理大臣官邸サイドの意向が強く反映された結果だということは、国民はわかりきっている。財務省が、もっともらしく報告書を出しても、肝心なところはなにも触れていない。真実を隠し、国民の目をごまかそうというたぐいの一連の行為ではないか。麻生副総理兼財務大臣も責任は免れない」と述べました。