直ちに治療受けられない
“大変申し訳ない”首相

国会は、衆議院予算委員会で、今年度の第3次補正予算案について2日目の質疑が行われ、菅総理大臣は、新型コロナウイルスの感染者が直ちに病院で治療を受けられないケースがあることについて「責任者として大変申し訳なく思う」と陳謝するとともに、医療提供体制の整備を急ぐ考えを重ねて示しました。

立憲民主党の辻元副代表は「病院に入りたくても入れない。自宅で1人で孤独死する。救急搬送中に亡くなる。『公助』によって救えなかった命があるという責任を感じているのか」とただしました。

これに対し菅総理大臣は「再び搬送の途中で亡くなるようなことがないように、体制を整えるのが私たちの仕事だ。例えば、必要な検査を必要なときに受ける体制ができないことは、責任者として大変申し訳なく思う。医療を提供できる体制ができていないことに、国民が不安を感じていると思う」と述べました。

また辻元氏は、入院勧告を拒否した感染者への懲役刑を盛り込んだ感染症法の改正案について「保健所の職員からは『感染者に寄り添って対応してきたのに、告発する立場に立たされるのは耐えられない』という声がある。刑罰を設けるのは、保健所の人たちを苦しい立場に追い込む可能性がある」と指摘しました。

これに対し菅総理大臣は「感染拡大を防止するためには入院措置は重要で、個人の人権に配慮しながら実効性を高めるための措置を講ずる必要がある。全国知事会から罰則の創設を求める緊急提言がなされていることも事実だ。運用に関しては、当然、人権に配慮した適切な対応が図られるべきだ」と述べました。

これに関連して、小此木国家公安委員長は、警察の対応について「病院から出て来てしまった人は、本来は逮捕や拘束をしなくてはならないが、体調を見ながら病院に戻すことは考えられる。何を優先するかは、医療従事者や保健所と情報交換をしながら決めていく」と述べました。

また、橋本オリンピック・パラリンピック担当大臣は、東京大会に必要な医療体制について「医師のほかに看護師などを合わせて、1人当たり5日間程度の勤務を前提に1万人程度に依頼し、必要な医療スタッフの確保を図っている。地域医療に支障が生じてはならないので、東京都や組織委員会などと連携しつつ、大会に協力する医療機関の負担軽減の検討も含め、準備を進めていく」と述べました。

一方、委員会に先立って開かれた理事会では、今年度の第3次補正予算案について、午後の委員会で締めくくりの質疑を行ったあと、討論と採決を行うことで与野党が合意しました。

立憲民主党など野党側は、今回の補正予算案は緊急事態宣言の前に編成されたものであり、今の感染状況が反映されていないなどとして、組み替えを求める動議を提出する方針ですが、与党側の反対多数で動議は否決される見込みです。

そして、補正予算案は、委員会で可決されたあと、今夜開かれる衆議院本会議で可決され、参議院に送られる見通しです。