バイデン新大統領が就任
各界の反応は

アメリカのバイデン新大統領の就任を受けて、菅総理大臣は21日朝、総理大臣官邸で記者団に対し、バイデン氏と緊密に連携して、自由で開かれたインド太平洋の実現などに取り組み、日米同盟をさらに強固なものにしたいという考えを示しました。

この中で、菅総理大臣は「バイデン大統領、ハリス副大統領のご就任を心からお喜び申し上げる。国民に結束を訴えた、大変力強い演説だったと思う」と述べました。

そのうえで「新大統領と緊密に連携しながら、自由で開かれたインド太平洋の実現、新型コロナや気候変動など、国際的な課題についても取り組んでいきたい。新大統領との関係を緊密にし、日米同盟をさらに強固なものにしていきたい」と述べました。

また、菅総理大臣は「電話会談などはしかるべき時期に調整している」と述べ、バイデン新大統領との電話会談に向けて調整を行っていることを明らかにしました。

「幅広い分野で緊密に連携 同盟強化」

菅総理大臣は参議院の代表質問で「新型コロナウイルス対策を含む保健医療分野のみならず、自由で開かれたインド太平洋の実現、安全保障分野、通商関係を含む経済分野、気候変動問題など幅広い分野において、G7=主要7か国の場なども活用しつつ、バイデン新政権と緊密に連携して、同盟関係をより一層強化させていく覚悟だ」と述べました。

官房副長官「パリ協定復帰・WHO脱退撤回 歓迎」

坂井官房副長官は記者会見で、バイデン新大統領が「パリ協定」に復帰するための文書に署名したことについて「日本政府として歓迎する。気候変動問題は、国際社会全体が取り組むべきグローバルな課題であり、『パリ協定』が目指す脱炭素社会の実現のため、アメリカとも協力しつつ、引き続き、国際社会をリードしていきたい」と述べました。

また、WHO=世界保健機関からの脱退の撤回を命じる大統領令に署名したことについて「歓迎する。新型コロナウイルス対策を含む国際保健課題の解決のためにはWHOが中心的な役割を果たすことが重要で、アメリカが国際保健分野においても主導的役割を継続することを期待している」と述べました。

一方、坂井官房副長官は、菅総理大臣のアメリカ訪問について、「今後、コロナの感染状況も見つつ、早期の訪米実現を念頭に、しかるべきタイミングで調整していく」と述べました。

日本被団協「長崎訪問を」核軍縮に期待

バイデン新大統領の就任について、日本被団協の代表委員で被災協=長崎原爆被災者協議会の田中重光会長は「オバマ元大統領がプラハ演説で打ち出した『核なき世界』をバイデン氏は引き継いでほしい。ロシアとの新START条約を延長させ、もっと核兵器を減らすよう世界に提案してほしい」と述べ期待を示しました。

また、22日発効する核兵器禁止条約について「アメリカは国際社会と信頼関係を築きながら、核兵器抜きの安全保障の構築について議論をしてほしい。バイデン氏には長崎に来てもらい、プラハ演説のような核兵器廃絶へのメッセージを世界に向けて発信してほしい。それが長崎を最後の被爆地にすることにつながると思う」と述べました。

広島県被団協「広島訪れ核兵器廃絶を」

バイデン新大統領の就任を受けて広島県被団協=広島県原爆被害者団体協議会の箕牧智之理事長代行は21日、広島市役所で記者会見し「オバマ元大統領が唱えていた『核なき世界』という目標に取り組んでくれることを期待している。そのためにも核兵器廃絶に向けた国際的な会合を被爆地の広島や長崎で開いてほしい」と述べました。

そのうえで「来日する機会があれば広島や長崎の被爆地に来て、原爆ドームや原爆資料館を見て、被爆者たちの声に耳を傾けてほしい。広島に来て話す機会があれば『核実験をやめてほしい』と伝えたい」と話していました。

拉致被害者家族「解決へ日程表提示を」

バイデン新大統領の就任を受けて、北朝鮮による拉致被害者の家族会の代表の飯塚繁雄さん(82)は「これまで日米両政府が緊密に連携して拉致問題に取り組むと言ってきたことを、きちんと守ってもらいたい。新型コロナウイルスへの対応などほかにも大きな問題があるが、最重要課題である拉致問題にはすぐに取り組んでほしい。解決に向けた日程表をきちんと示し、実行に移してもらいたいというのがわれわれの願いで、菅総理大臣に対しても、バイデン大統領と面会する際には『日程表を念頭において進めてほしい』と伝えてもらうよう要望したい」と話しています。

拉致被害者 地村さん夫妻「問題解決に向け協力を」

北朝鮮による拉致被害者の地村保志さん、富貴恵さん夫妻は「拉致問題については最終的には日朝間の直接交渉で解決すべき問題ですが、解決には日米の緊密な連携が必要不可欠であると考えています。バイデン新大統領には日本人拉致問題を国際社会において取り上げていただくなど、拉致問題の解決に向けご協力頂けるものと期待しています」とするコメントを出しました。

ことば交わした被災者「心の痛みが分かる優しい人」

ジョー・バイデン氏は、東日本大震災が発生した平成23年に副大統領を務めていて、アメリカ軍が「トモダチ作戦」の一環で仙台空港の復旧に携わったことをきっかけに、空港がある名取市を訪れました。

バイデン氏は、仮設住宅を訪問し、津波で50人以上が犠牲になった地区の区長を務めていた櫻井久一郎さん(80)から震災の状況や暮らしぶりについて話を聞いたということです。

櫻井さんによりますとバイデン氏は、交通事故で最初の妻を失ったことや、出身地のペンシルベニア州では竜巻で住宅がたびたび被害を受けていることなどに触れたうえで「必ず復興できるので、頑張ってほしい」と被災者を励ましてくれたということです。

そして、仮設住宅の住民一人一人とハグをしたり握手をしたりしたということです。

櫻井さんは「被災者に歩み寄る姿が印象的だった。バイデン氏自身も家族を失うつらさを体験していて、心の痛みが分かる優しい人だと感じた。いろいろな人に耳を傾けて、深刻化するアメリカや世界の分断を解消することを期待します。落ち着いたら復興が進む東北にも足を運んでほしい」と話していました。

「きつ音の大統領」誕生で認識変わるきっかけに

ジョー・バイデン氏は、幼少期から、きつ音に悩み、きつ音の当事者たちと交流を続けていることで知られています。みずからも、きつ音を乗り越えてきた名古屋市の言語聴覚士の男性は「きつ音の大統領」の誕生が、きつ音に対する社会の認識を変えるきっかけになってほしいと話しています。

名古屋市の横井秀明さん(37)は幼少期から、きつ音に悩み乗り越えてきた、みずからの経験を生かして言語聴覚士として、きつ音に悩む子どもたちのカウンセリングや訓練を行っています。

横井さんは、きつ音を乗り越えてきたバイデン新大統領の印象について「すごくチャレンジ精神が旺盛な人だと思います。きつ音があってもそれに負けずにトレーニングし、自分の目標に向かって果敢にチャレンジした結果、楽にしゃべれるようになったのではないかと思います」と話しました。

横井さんは今回の選挙戦でもバイデン氏がたびたび、ことばに詰まる場面があったことに触れたうえで、大統領就任がきつ音の人たちに与える影響について「バイデン氏がきつ音を克服したというのは、きつ音が出なくなった、完全にコントロールできるようになった、ということではなく、きつ音を持ったままで大統領になったのだということが伝わっていくと、きつ音の当事者たちは非常に勇気づけられるのではないかと思います」と話しました。

そして「発話がスムーズでないことを、そもそも否定的に捉えずに、そのままでもいいのではないかという認識が広まっていくといいなと思います」と述べ、バイデン新大統領の就任が、きつ音に対する社会の認識が変わるきっかけになってほしいと話しました。

日米高官が協議 同盟の重要性確認

バイデン政権の発足を受けて北村国家安全保障局長と安全保障を担当するサリバン大統領補佐官は21日夜、およそ30分間、電話で会談しました。

この中で北村局長は補佐官への就任に祝意を述べるとともに、日米同盟の強化や「自由で開かれたインド太平洋」の実現、それに新型コロナウイルス対策を含む地球規模の課題などで緊密に協力していきたいという考えを伝えました。

これに対しサリバン補佐官はアメリカによる防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条が沖縄県の尖閣諸島に適用されることを確認し、尖閣諸島に対する日本の施政を損なおうとするいかなる一方的な行動にも反対すると表明し、両氏は日米同盟の重要性を確認しました。

また会談では、中国や北朝鮮などの地域情勢や拉致問題についても意見を交わしたほか、地域や国際社会が直面する諸課題に対しインドやオーストラリアをはじめとする「同志国」で緊密に連携していくことで一致しました。

国家安全保障局によりますと、バイデン政権の発足後、日米の高官が協議したのは初めてとみられるということです。

茂木外相「さまざまな国際課題も協力を深めたい」

茂木外務大臣は派閥の会合で「演説では世界をリードする決意が示され、同盟国である日本としても歓迎したい。日米関係をさらに強固にし『自由で開かれたインド太平洋』の実現や、新型コロナウイルス対策、気候変動など、さまざまな国際課題についても協力を深めたい」と述べました。

自民 二階氏「話し合う場面を作っていくこと大事」

二階幹事長は派閥の会合で「アジアや世界を見渡して考えれば、日米同盟が強固であることは大変大事なことだ。われわれの派閥としても、みんなで出かけていって話し合うという場面を作っていくことが大事だ」と述べました。

自民 岸田氏「協力できる信頼関係を1日も早く」

岸田前政務調査会長は、記者団に対し「『パリ協定』への復帰は国際協調を重視する思いの表れだ。国際協調や同盟国との関係を大事にしながら、世界的な課題に取り組んでもらいたい。菅政権には、2国間関係のみならず、世界的な課題の解決に向けても協力できる信頼関係を1日も早く築いてもらいたい」と述べました。

公明 山口氏「信頼関係の構築を」

公明党の山口代表は、党の参議院議員総会で「新しい政権の誕生に心からお祝い申し上げたい。演説では、国際協調や多国間主義を慎重に打ち出していく姿勢が表れており、日本の方向性と一致するところもある。菅総理大臣には、一刻も早く電話会談を行って信頼関係をつくり、早期にアメリカを訪問して、日米関係を一層強固にする基盤をつくってもらいたい」と述べました。

大阪の梅田“ばいでん”からは期待の声

アメリカのバイデン新大統領の就任を受けて、音読みにすると、名前と同じ「ばいでん」とも読める大阪・梅田では街の人たちから期待する声が聞かれました。

大阪・北区の繁華街、梅田は、音読みにすると「ばいでん」とも読むことができます。

街の人たちからはバイデン新大統領に期待する声が聞かれ、このうち、アメリカ在住で大阪に出張中だという40代の会社員の男性は「名前のつながりはおもしろいと思いますが、この地域だけではなくて世界中の平和のために活動してほしいと思います」と話していました。

また大阪・吹田市の70代の女性は「音読みには初めて気付きましたが、特に関係はないと思います」と笑いながら話したうえで「安倍さんとトランプさんのように菅さんとバイデンさんで親しい関係を築いてほしいです」と話していました。

神戸市の20代の女子大学生は「新型コロナウイルスの世界での流行を抑えるために力を発揮してほしいですし、日本にとっても引き続き友好国であってほしいと思います」と期待を寄せていました。