「1日でも早く接種できる
よう全力尽くす」河野大臣

新型コロナウイルスのワクチン接種を担当する河野規制改革担当大臣は、閣議のあとの記者会見で「1日でも早く接種できるよう全力を尽くしたい」と述べ、まずは関係省庁や自治体などからヒアリングを行い、具体的なスケジュールなどの策定に当たる考えを示しました。

菅総理大臣は、18日夜、新型コロナウイルスのワクチン接種に向けた体制を強化するため、河野規制改革担当大臣に全体の調整に当たるよう指示しました。

これについて、河野大臣は、閣議のあとの記者会見で「輸送や保管、会場の設定といった、接種に関するロジを担当する。安全で有効なワクチンを、国民が1人でも多く、1日でも早く接種できるよう全力を尽くしたい」と述べました。

そして「関係する方との連携は、非常に強くしていかなければいけない」と述べ、まずは関係省庁や自治体、業界団体などからヒアリングを行い、現状を把握したうえで、具体的なスケジュールなどの策定に当たる考えを示しました。

また、河野大臣は、みずからを補佐する副大臣として、内閣府の藤井副大臣と、厚生労働省の山本副大臣をあげ、今後、役割分担を検討すると説明しました。

加藤官房長官「課題解決の手腕に期待」

加藤官房長官は、閣議のあとの記者会見で「地方自治体の体制構築をはじめ超低温の保存や輸送手段の確保など、各省庁にまたがるさまざまな課題がある中で、規制改革担当大臣として課題を解決してきた手腕に期待し、全体の調整について菅総理大臣から河野大臣に指示があった。国民に安全で有効なワクチンを届けられるよう政府一丸となって全力で取り組みたい」と述べました。

また、記者団が河野大臣の発信力にも期待しているのかと質問したのに対し「広くワクチンの接種を円滑に推進する事務には、広報、発信も当然含まれる」と述べました。

首相と会談 自公幹部に協力要請

河野大臣は、自民党の二階幹事長や公明党の山口代表ら与党の幹部のもとを訪れ、協力を要請しました。
そのあと、河野大臣は記者団に対し「ワクチンの接種は、諸外国を見ると、なかなか進んでいないところも多くあり、相当難しいことだと思う。マイナス70度という低温下で輸送や保管をしなければいけないなど制約があるので『オールジャパン』でやれるよう関係者の協力を頂いてやっていきたい」と述べました。

また、総理大臣官邸で菅総理大臣と2時間近くにわたって会談しました。
そのあと記者団に対し「現状把握や認識の共有をし、菅総理大臣からは『しっかりやれ』という指示を受けた。1億2000万人分のワクチンを接種するロジは、想像を絶すると言ってもいい。1つずつ分解して、やりきれるように調整していく」と述べました。

ワクチン接種 国の計画は

新型コロナウイルスのワクチンについて、日本政府はアメリカとイギリスの製薬会社3社との間で合わせて1億4500万人分の供給を受けることで、契約や基本合意を交わしています。

このうち、国内で唯一、承認の申請を行っているアメリカの製薬大手ファイザーからは6000万人分の供給を受けることになっています。

厚生労働省が現在、安全性や有効性の審査を進めていて、承認されれば、来月下旬をめどにおよそ1万人の医療従事者に先行して接種を開始する計画です。

続いて、3月中旬をめどに医療従事者などおよそ300万人に、3月下旬をめどに65歳以上の高齢者およそ3600万人に接種できる体制を確保し、4月以降、基礎疾患のある人や高齢者施設の従事者などを優先しながら順次接種を進めることにしています。

厚生労働省は、ファイザーのワクチンを保管するため、マイナス75度前後で冷凍できる「超低温冷凍庫」およそ1万台をことし6月にかけて順次、自治体に配備する方針です。

一方、接種を行う自治体にとっては、医師や看護師などの人手や、多くの人に効率的に接種するための施設をどう確保するかが課題となっています。

すでに接種が始まっているアメリカやフランスなどの一部の地域では、ワクチンがあっても人手や会場を確保できず、思うように接種が進んでいないという指摘も出ています。

さらに、接種に必要なクーポンの送付なども感染対策と平行して短期間で進めなければならず、自治体の負担になるおそれがあります。

また、NHKが今月9日から3日間18歳以上を対象に行った世論調査では、ワクチンについて「接種したい」という回答が50%だった一方、「接種したくない」という回答が38%に上りました。

背景に、ワクチンの安全性に対する不安などがあるとみられ、副反応などに関する正確な情報を政府がどれだけ国民に発信できるかも重要な課題となっています。

接種の準備進む

都内の自治体では、体制づくりなどの準備が進められています。
接種は、住民票を登録している市区町村から郵送でクーポンが届いたあと、電話などで予約すれば、医療機関などで無料で受けられるということです。

東京・墨田区では保健所の業務がひっ迫する中、「新型コロナウイルス予防接種調整担当課」という専門の部署を新たに設置し、19日は、クーポンの発送の準備などを行っていました。

田区では、ワクチンをマイナス75度で保管できる専用の冷凍庫2台を独自に確保し、医療機関が少ない地区の住民にも足を運んでもらえるように、公共施設をワクチンの接種会場にすることも検討しています。

墨田区の岩瀬均参事は「原則、区民全員が限られた期間の間にワクチンを2回接種する必要があるので、しっかり周知していくことが必要だと思います。そのための準備をきちんと行いたい」と話しています。

仙台市長 速やかなワクチン接種へ準備進める

仙台市の郡市長は、19日の定例の記者会見で「1日も早く安心安全な生活をしていただくためにはワクチンの接種は大きな意味を持つ」と述べ、早急に取り組む考えを示しました。

そのうえで、速やかに市民がワクチンを接種できるよう各地に接種会場を設けるなど、効率的な体制づくりを進める方針を示し、そのためにすべての市民センターの予約をことし4月から停止するなど準備を進めるということです。

また、仙台市は国との調整を行う専任のチームを設け、医師会などとも意見交換を行い、接種のための医師の確保などを急ぐことにしています。

郡市長は「仙台市は人口も多いので集団接種は避けられない。接種を行う医師など人的な量も相当なものになる。専任の体制づくりも考え、鋭意準備を進める」と述べました。

名古屋市 予算案を専決処分の方針

関係者によりますと、名古屋市は、ワクチン接種に向けた体制を速やかに整え接種を円滑に進める必要があるとして、すべての市民への接種を行うための費用を盛り込んだ補正予算案を、近く、市議会の事前承認を経ない専決処分で決定する方向で最終調整しています。

補正予算案の総額は、230万人を超えるすべての市民に1人2回のワクチン接種を行う費用や、コールセンターの設置や必要なシステム改修の費用などとして、およそ130億円程度となる見通しだということです。

名古屋市は、政府が定める優先順位に従って市民へのワクチン接種に向けた準備を急ぐことにしています。

接種に向けた課題も

接種を行う自治体にとっては、医師や看護師などの人手や、多くの人に効率的に接種するための施設をどう確保するかが課題となっています。

すでに接種が始まっているアメリカやフランスなどの一部の地域では、ワクチンがあっても人手や会場を確保できず、思うように接種が進んでいないという指摘も出ています。

さらに、接種に必要なクーポンの送付なども感染対策と平行して短期間で進めなければならず、自治体の負担になるおそれがあります。

また、NHKが今月9日から3日間18歳以上を対象に行った世論調査では、ワクチンについて
▽「接種したい」という回答が50%だった一方、
▽「接種したくない」という回答が38%にのぼりました。

背景に、ワクチンの安全性に対する不安などがあるとみられ、副反応などに関する正確な情報を政府がどれだけ国民に発信できるかも重要な課題となっています。

世界の接種状況は?

イギリス・オックスフォード大学の研究者などが運営するウェブサイトによりますと、これまでに世界で接種された新型コロナウイルスのワクチンはおよそ4000万回分で、人数ではおよそ3700万人にのぼります。

人数ではアメリカがおよそ1千万人と最も多くなる一方、人口に対する接種を受けた人の割合ではイスラエルがおよそ25%と最も高くなっています。
世界各国の政府などが公表したデータをまとめているイギリス・オックスフォード大学の研究者などが運営するウェブサイト「アワ・ワールド・イン・データ」によりますと、今月18日の時点で全世界で接種された新型コロナウイルスのワクチンは合わせておよそ4000万回分で、少なくとも1回は接種を受けた人の数は、およそ3700万人にのぼります。

これを国別に見ますと、最も人数が多いのは、
▽アメリカでおよそ1060万人、
▽中国の1000万人、
▽イギリスの400万人余り、
▽イスラエルの210万人余りなどとなっています。

一方、少なくとも1回、ワクチンの接種を受けた人が人口に占める割合は、
▽イスラエルが最も多く24.91%、
▽UAE=アラブ首長国連邦が17.41%、
▽バーレーンが8.32%、
▽イギリスが5.98%、
▽アメリカが3.2%などとなっています。