安倍前首相「事実に反するも
のあった」議運委で謝罪

「桜を見る会」の前日夜に開催された懇親会をめぐり、安倍前総理大臣は、衆議院の議院運営委員会に出席し、過去の国会答弁について「結果として、答弁の中には、事実に反するものがあった。すべての国会議員に深く心よりおわび申し上げる」と述べ、謝罪しました。

安倍前総理大臣は「桜を見る会」の前日夜に開催された懇親会をめぐり、当時の秘書が略式起訴されたことを受けて、午後1時から開かれた衆議院の議院運営委員会に出席しました。

冒頭、安倍総理大臣は「捜査の結果、懇親会の開催費用の一部を後援会として支出していたにもかかわらず、政治資金収支報告書に記載しなかった事実が判明した。会計処理は、私が知らない中で行われていたこととはいえ、道義的責任を痛感している。深く深く反省し、国民、すべての国会議員に心からおわび申し上げたい」と述べました。

そのうえで、過去の国会答弁について「結果として、答弁の中には、事実に反するものがあった。この議院運営委員会の場で、事実関係を説明し、答弁をただしたい。改めてすべての国会議員に深く心よりおわび申し上げる」と述べ、謝罪しました。

「参加者への利益あたらず」

懇親会の参加者1人当たりの経費がいくらなのか問われたのに対し、「毎年毎年人数も違うわけで、かかった費用も違う。別にごまかしているわけではなく、その時の参加者で割れば、その年1人当たりいくらだったか出てくる」と述べました。

また、経費よりも会費を安くしたことは、参加者への利益供与にあたるのではないかと指摘されたのに対し「経費の中には会場費が入っており、政治資金収支報告書に計上していなかったが、計上した場合も利益にはあたらないという総務省の見解がある」と述べました。

「元秘書を訴える考えない」

略式起訴された元公設第1秘書について、業務上横領の疑いで告訴する考えはないかと問われたのに対し「総理大臣の在任中は、私が口座から下ろしたお金で、秘書が支出を行っていた。結果としてこうなったことについて秘書も責任を痛感しており、きのう辞職した。長年、私に仕えてくれたのは事実であり、訴えるという考え方はない」と述べました。

「責任は私に 研さん重ねる」

「民間の常識やコンプライアンスの基準に照らして、議員辞職に値すると思わないか」と問われたのに対し「責任者に確認した中で私の認識のかぎり答弁してきたが、答弁が間違っていた責任はひとえに私自身にある。今回の出来事の反省の上に立って、国民の信頼を回復するためにあらゆる努力を重ねていきたい。身を一層引き締めながら研さんを重ねていきたい」と述べました。

「票集めとは露ほども考えていない」

「懇親会の会費を安くしたことは、有権者への利益供与ではないか」と問われたのに対し、「当時、私はすでに総理大臣になっており、利益を供与して選挙で当選しなければならないという立場では全くなかった。そもそも、自分の選挙を考えないような状況にならなければ、自民党の総裁にはなれない。利益を供与して票を集めようということは、露ほども考えていない」と述べました。

総理大臣経験者が証人喚問などで証言や弁明をしたケースは

衆参両院によりますと総理大臣経験者が、証人喚問などに出席し、証言や弁明をしたケースは記録が残る昭和51年以降、合わせて7回あるということです。

▽中曽根・元総理大臣は、リクルート事件を受けて、平成元年5月に衆議院予算委員会で証人喚問を受けました。

▽竹下・元総理大臣は、東京佐川急便事件や、いわゆる皇民党事件などをめぐり平成4年11月から平成5年2月までに、衆参両院の予算委員会で合わせて3回、証人喚問に応じています。

▽細川・元総理大臣は、佐川急便グループからの1億円の借入金問題などを受け平成6年6月に衆議院予算委員会で証人喚問を受けました。

また、
▽鈴木・元総理大臣は、平成4年2月に共和汚職事件に関連し、衆議院予算委員会に参考人として出席しました。

このほか、
▽橋本・元総理大臣は、平成16年11月、派閥をめぐる政治資金規正法違反事件に関連し衆議院の政治倫理審査会で弁明を行いました。

参議院の議院運営委員会でも謝罪

安倍前総理大臣は、衆議院の議院運営委員会に続き、参議院の議院運営委員会に出席し、過去の国会答弁について「結果として、答弁の中には、事実に反するものがあった。すべての国会議員におわび申し上げる」と述べ、謝罪しました。

委員会の冒頭、安倍総理大臣は「捜査の結果、懇親会の開催費用の一部を後援会として支出していたにもかかわらず、政治資金収支報告書に記載しなかった事実が判明した。会計処理は、私が知らない中で行われていたこととはいえ、道義的責任を痛感している。深く深く反省し、国民、すべての国会議員に心からおわび申し上げたい」と述べました。

そのうえで、過去の国会答弁について「当時、秘書に確認して、私が知りうるかぎりの認識のなかで答弁をさせていただいたが、結果として、答弁の中には、事実に反するものがあった。この議院運営委員会の場で、事実関係を説明し、答弁をただしたい。改めてすべての国会議員におわび申し上げる」と述べ、謝罪しました。

立民 辻元氏「真実説明する姿勢 感じられず」

立憲民主党の辻元副代表は、記者団に対し「やり取りを見た国民は、納得がいかない方が多いのではないか。真実を説明しようという姿勢はみじんも感じられなかった。議員辞職を求める声もあり、恥じない対応を期待している。ホテルの領収書や明細書を出してもらえれば1発で終わるが、それをしない状況が続いているので、証人喚問を求めていきたい」と述べました。