75歳以上窓口負担引き上げ
年収200万円以上で合意

75歳以上の医療費の窓口負担を2割に引き上げる方針をめぐり、田村厚生労働大臣と自民・公明両党の政務調査会長らが会談し、年収200万円以上を対象とし、引き上げの時期を、2022年10月から翌2023年3月までの、年度後半とすることで合意しました。

公明 山口氏“200万は総理が提案”

政府・自民党と公明党の調整が難航していたため、9日夜、菅総理大臣と山口代表が会談し、双方の主張のほぼ中間にあたる年収200万円以上を対象とすることで合意しました。

山口代表は、党の中央幹事会で、「会談の冒頭、菅総理大臣から『年収200万円以上の人に負担を頂くことでお願いしたい』という決断が示され、私も了解した」と明らかにしました。

そのうえで、「いつから引き上げをスタートするかや、個々の負担があまり高額にならないような配慮措置を設ける課題もあり、両党の政務調査会長で早急に話を進めてもらうことにした」と述べました。

政府・与党は、10日午後、田村厚生労働大臣、自民・公明両党の政務調査会長らが会談して、引き上げの時期なども含め、最終的な合意に向けた協議を行うことにしています。

菅首相「高齢者と若者が支え合っていくこと大事」

菅総理大臣は、視察先の岩手県宮古市で、記者団に対し「昨夜、山口氏と会談した。後期高齢者の2割負担について年収200万円をめどに大枠で合意し、きょう、自民・公明両党の政務調査会長厚生労働大臣で、詳細について、詰めの作業を行うことにしている」と述べました。

その上で「再来年には、団塊の世代が後期高齢者になる。社会保障とわが国の将来を考えた時に、高齢者と若者が互いに支え合っていくことが、極めて大事だということで意見が一致した」と述べました。

加藤官房長官「施行時期など政府・与党間で調整を行っていく」

加藤官房長官は、午前の記者会見で、「少子高齢化が急速に進む中で、現役世代の負担上昇を抑えながら、すべての世代の方々が安心できる社会保障制度を構築し、次の世代に引き継いでいくことは、私たちの責任だ。少しでも多くの方に支える側として活躍し、能力に応じた負担をいただくことが必要だ」と述べました。

そのうえで「きのうの菅総理大臣と公明党の山口代表との意見交換などを踏まえながら、施行時期や激変緩和措置の具体的な内容について、政府・与党間で調整を行っていくことにしている」と述べました。

自民 佐藤氏「これを機に両党のやりとり もっと緊密に」

自民党の佐藤総務会長は、記者会見で「菅総理大臣もかなり妥協したが公明党の言うことを全部を聞くわけではないという意思表示でもあったと思う」と指摘しました。

そのうえで、調整が難航したことについて「公明党も新たな執行部になってから時間がたっておらず、菅内閣も発足からまだ数か月でその辺が少しあったのではないか。これを機に両党のやりとりは事前にもっと緊密にやってもらえるのではないか」と述べました。

共産 志位氏「血も涙もない冷酷な政治」

共産党の志位委員長は、記者会見で「断固として反対する。高齢者は、今の1割負担でも受診を控えている深刻な実態があり、コロナの問題でさらに拍車がかかっている。社会全体で、高齢者の命と健康を守るために取り組んでいるさなかに、『受診控え』に追い打ちをかけるような対策を決めるのは、血も涙もない冷酷な政治だ」と述べました。