森友 交渉記録廃棄指示
麻生財務相は無言で…

森友学園への国有地売却をめぐり、財務省は、「廃棄した」と説明してきた学園側との交渉記録が見つかったとして、23日、国会に提出しました。財務省は、理財局の一部の職員が保管していた交渉記録を廃棄するよう指示していたことを明らかにし、指示の経緯などを調査したうえで速やかに結果を報告すると説明しました。

森友学園への国有地売却をめぐって、財務省は、佐川前理財局長が「廃棄した」と説明してきた学園側との交渉記録について、職員の「手控え」として個人のパソコンなどに残されていたとして、衆・参両院の予算委員会の理事懇談会などに提出しました。

そして、「国会答弁で説明していたことが事実と異なっていたことを、深くおわび申し上げる」と謝罪しました。

そのうえで、財務省は、去年2月に問題が明るみになった後、決裁文書の改ざんと同様に、理財局の一部の職員が、保管していた交渉記録を廃棄するよう指示していたことを明らかにし、誰が指示していたのかなどを調査し、速やかに結果を報告すると説明しました。

提出された交渉記録は、学園側と財務省の理財局や近畿財務局が土地の貸付や売却をめぐって交渉していた平成25年から28年にかけてのもので、ページ数は900ページを超えています。

この中には、安倍総理大臣の妻の昭恵氏付きだった谷査恵子氏が理財局に問い合わせた際の記録が含まれています。

記録では、森友学園が昭恵氏を通じて国有地の貸付料の減額を要望し、平成27年11月10日に、谷氏が「安倍総理夫人の知り合いから優遇を受けられないかと総理夫人に照会があり、当方からお問い合わせさせていただいた」などと、財務省の担当者に問い合わせたことが記されています。

今回、財務省が「廃棄した」と説明してきた交渉記録の存在が明らかになり、詳細な記録が国会に提出されたことで、これまで財務省が事実と異なる説明を行っていたことが厳しく問われることになります。

23日、国会には、交渉記録のほか決裁文書を改ざんする前の3000ページに及ぶ文書やすでに公表ずみの決裁文書の一部に書かれていた「本省相談メモ」という文書なども、提出されました。

これを受けて、衆・参両院の予算委員会は来週28日に安倍総理大臣にも出席を求めて集中審議を行うことで与野党が合意しました。

麻生財務相 問いかけに答えず

麻生副総理兼財務大臣は23日正午前、財務省に入りました。その際、記者団からの「文書提出の受け止めは」とか「謝罪はないのか」といった問いかけにはなにも答えず、大臣室に向かいました。

財務省の太田理財局長は財務省で記者団に対して、「提出するのは改ざん前の決裁文書が3000ページ、交渉記録が900ページ。詳しくは国会でご説明します」と述べました。

野上官房副長官「極めて重く受け止める」

野上官房副長官は午前の記者会見で、「一連の公文書をめぐる問題を受け、公文書への信頼、そして行政全体への信頼が損なわれたことについて極めて重く受け止めている」と述べました。

そのうえで、「4月に改正された行政文書の管理に関するガイドラインによる厳正なルールを全職員に徹底し確実に運用するとともに、文書の更新などが厳格に管理できる電子決裁システムへの移行を加速する取り組みを行っているところだ。現在行われている捜査や事実関係の解明を踏まえ、さらに問題点を洗い出したうえで、公文書管理の在り方について政府をあげて見直しを行っていきたい」と述べました。

自民 菅原氏「非常に憤り」

衆議院予算委員会の与党側の筆頭理事を務める自民党の菅原一秀氏は、記者団に対し、「与野党問わず、1年以上にわたって、改ざんされた文書をもとに審議してきており、非常に憤りを持っているとともに、遅きに失するという思いだ。財務省には、二度とこのようなことがないよう厳しく求め、政治や行政に対する信頼を失墜するような状況を脱却すべく、追及していきたい」と述べました。

そのうえで、「理財局の職員が公文書の廃棄を指示していたという話が事実だとすれば、言語同断で、財務省の調査を徹底的に分析していきたい」と述べました。

立民 逢坂氏「民主的な国家なのか」

衆議院予算委員会の野党側の筆頭理事を務める立憲民主党の逢坂誠二氏は記者会見で、「これだけのものが1年間、改ざん、隠蔽され、『廃棄された』と言われてきた。国民をだまし続け、だまされた中で国会議員が質疑をせざるをえなかった。これでどこが民主的な国家なのか。

麻生副総理兼財務大臣や安倍総理大臣から積極的な反省の弁がないのは驚きだし、強い憤りを感じている。内容を見て、何が出てくるのかはこれからだが、政府のうそに満ちた答弁を精査して問題点を追及したい」と述べました。

国民 玉木共同代表「麻生財務相の辞任免れない」

国民民主党の玉木共同代表は記者団に対し、「もし、国会答弁に合わせて廃棄していたとしたら、歴史を抹消しようとする決して許されない行為で、財務省は万死に値し、麻生副総理兼財務大臣の辞任は免れない。

佐川元理財局長にもう一度、証人喚問で真実をすべて話してほしいが、資料が膨大なので、国会に特別調査委員会を設けて、真相を明らかにすることが必要だ」と述べました。

公明 石田政調会長「集中審議で説明を」

公明党の石田政務調査会長は記者会見で、「交渉記録の廃棄は、『残っていたらまずいから』ということだろうが、当然、残しておくべきだった。来週の予算委員会の集中審議で、しっかり説明してもらわなければならない。行政に対する信頼を、どうリカバリーしていくか、しっかり考えていかないといけない」と述べました。

また、麻生副総理兼財務大臣の責任について「省のトップなので、すべてにおいて責任はある。まず説明責任を果たしてもらい、そして、財務省の立て直しをしっかりやってもらうことが第一だ」と述べました。

共産 穀田国対委員長「徹頭徹尾うそ」

共産党の穀田国会対策委員長は記者会見で、「『交渉記録のようなものはない』と言っていたが、徹頭徹尾うそをついていることがはっきりした。決裁文書の改ざんと同時に証拠隠滅のために不必要なものを廃棄していたとなると、これほどの犯罪行為があるのか。

徹底した真相究明が必要で、安倍総理大臣夫人の昭恵氏や佐川 前国税庁長官らの証人喚問は、どうしても必要だ」と述べました。

維新 馬場幹事長「値引きの根拠追及する」

日本維新の会の馬場幹事長は記者会見で、「全部で3000ページ以上あるので、まだ詳しく目を通しているわけではないが、中身を吟味したうえで、『なぜ、国有地の売却で、8億円のディスカウントがされたのか』という根拠を変わらず追及していきたい」と述べました。