組織的な隠蔽ではない」
防衛相 日報調査結果を公表

自衛隊のイラク派遣の日報をめぐり、去年3月に日報が見つかったにもかかわらず防衛大臣らに報告されていなかった問題で、防衛省は、現場の職員が報告が必要とは認識していなかったことが原因だなどとする調査結果を公表し、小野寺防衛大臣は「組織的な隠蔽ではなかった」と説明しました。

イラク派遣の日報をめぐっては、去年3月27日に陸上自衛隊の研究本部で見つかったにもかかわらず、当時の稲田防衛大臣らに報告されていなかったことが明らかになっていて、防衛省は23日午前、調査結果を公表しました。

それによりますと、日報を見つけた教訓課の職員も課長も、南スーダンのPKO部隊の日報を探索する中でイラク派遣の日報を見つけていて、報告が必要とは認識していなかったということです。

また、当時行われた情報公開請求に関連して、研究本部が日報が見つかった3日後に陸上幕僚監部に「イラク日報は存在しない」と回答した経緯については、担当した職員が十分な確認を行わないまま、無いと回答したとしています。

さらに、去年2月に当時の稲田防衛大臣が「イラクの日報は本当にないのか」と発言したことを受けて、統合幕僚監部がメールで探索を指示したとしていることについて、指示を受けた側はメールに「指示」や「命令」などの記載が無かったことから指示とは認識しなかったなどとして、「適切な対応とは言い難い」と指摘しています。

一方、統合幕僚監部がイラク派遣の日報の存在をことし3月に把握してから小野寺防衛大臣に報告するまで1か月近くかかったことについては「時間をかけずに直ちに一報すべきで、適切とは言い難い対応だった」と指摘しています。

防衛省は23日、調査結果を国会に提出するとともに、情報公開請求を受けて十分な確認を行わなかった教訓課の職員について、給与の30分の1を1か月、減給する懲戒処分とするなど、17人を処分しました。

小野寺防衛大臣は記者団に対し、「十分な探索が行われず、適切とは言えない事務処理が行われていた。綿密に疑いの目を持って聴き取りをしたが、組織的な隠蔽ではなかったと認識している」と述べました。

同じ名称のデータ複数見つかる

自衛隊のイラク派遣の日報問題に関連して、調査チームのトップを務める大野防衛政務官は記者会見で、調査の過程で、これまでに確認されたイラク派遣の日報と同じ名称の電子データが複数、見つかったことを明らかにしました。

見つかったのは22日だということで、大野政務官はイラク派遣の日報かどうか確認したうえで公表するとしています。