バッハ会長 ワクチン
選手に来日前に接種を

IOC=国際オリンピック委員会のバッハ会長は東京都の小池知事と会談し、来年の東京大会までに新型コロナウイルスのワクチンが開発された場合、多くの海外の選手に日本に来る前に接種してもらう考えを示しました。

東京大会の延期が決まってから初めて、15日から日本を訪れているIOCのバッハ会長は、16日午後、東京都庁で小池知事と会談しました。

この中で小池知事は、「新型コロナウイルスに打ち勝った東京大会としたい。東京都、また日本として最大限の努力を重ねていて、安心安全の大会として世界中からアスリートをお迎えできるよう努めている」と述べ、開催に向けて連携する考えを示しました。

そして、テニスの全米オープンのほか、今月都内で開かれた体操の国際大会に言及したうえで、「スポーツは人々の心を熱くさせ、スポーツのすばらしさを感じさせてくれる。東京大会が『未来への希望をともす祭典として成功する』という強いメッセージをすべての方々に発信したい」と述べました。

これに対してバッハ会長は「一緒に、安心できる大会を成功裏に開催したい。全ての関係者が一致団結してあらゆる努力を集中させ、新型コロナウイルス対策を練っていくことが必要だ」と述べました。

そのうえで、「IOCとして、もしワクチンが開発され、提供されるようになったら、なるべく多くの外国人選手たちが予防接種を受けた上で日本に渡航するために、最大限の努力をすることを約束する。そうすれば日本国民も安心してもらえると思う」と述べ、ワクチンが開発された場合、多くの海外の選手に日本に来る前に接種してもらう考えを示しました。

そして「参加者のためにも日本国民のためにも、われわれは日本当局と安心安全な環境を整備すべく最大限の努力をする。一丸となって努力を続ければ、必ずやトンネルの出口を聖火が照らしてくれるであろうと確信している」と述べ、大会開催に向けた意欲を示しました。

菅首相とバッハ会長が会談

菅総理大臣は16日午前、総理大臣官邸で、東京オリンピック・パラリンピックの延期が決まってから初めて日本を訪れている、IOC=国際オリンピック委員会のバッハ会長と、およそ30分間会談しました。

冒頭、菅総理大臣は「来年の夏、人類がウイルスに打ち勝った証しとして、また東日本大震災から復興しつつある姿を世界に発信する、復興オリンピック・パラリンピックとして、東京大会の開催を実現する決意だ。安全安心な大会を実現するために緊密に連携して全力で取り組んでいきたい」と述べました。
これに対し、バッハ会長は「東京大会を来年実現するという強いコミットメントを示していただいたことに心よりお礼を申し上げる。そのような決意を十分に共有する。東京大会は世界全体に資するものであり、必ず実現し、成功させる」と述べました。

そのうえで「今回の大会はコロナ後の世界において、人類の連帯と結束力を表すシンボルにすることができる。われわれは日本の側に立つ。今、人類はトンネルの中に入っているかもしれないが、オリンピックの聖火がトンネルの先に見える明かりになるだろうということをともに信じたい」と述べました。

そして、東京大会に向けた新型コロナウイルス対策について、菅総理大臣は、日本でのスポーツ大会に参加する外国人選手などが入国後14日間の待機期間中も参加できる仕組みの運用を開始したほか、プロ野球の試合に制限を超える観客を入れて感染対策などを検証する取り組みを行っていることなどを紹介しました。

また菅総理大臣は、東京大会では観客の参加を想定し、規制の上限や防疫措置の在り方などについて検討を進めていると説明し、両氏は、東京大会の開催を必ず実現し、安全安心な大会に向けて今後とも緊密に協力していくことで一致しました。

菅首相「安全安心な大会実現へ緊密連携」

菅総理大臣は、バッハ会長と会談したあと記者団に対し、来年の東京大会について、観客の参加を想定したさまざまな検討を進めていることを説明し、安全安心な大会の実現に向けて今後とも緊密に連携していくことで一致したことを明らかにしました。

この中で、菅総理大臣は「バッハ会長からは、東京大会は世界全体に資するものであり、必ず実現し、成功させる旨の発言があった。さらに東京大会に向けた新型コロナ対策について意見交換を行った」と述べました。

そのうえで「私からは、東京大会では観客の参加を想定したさまざまな検討を進めていることを説明し、バッハ会長との間で安全安心な大会の実現に向け、今後とも緊密に連携していくことで一致した。極めて有意義なやり取りができた」と述べました。

バッハ会長「大会成功に向け決意と自信を共有」

バッハ会長は、会談を終えたあと取材に応じ、「会談では東京大会の成功に向けて強く決意と自信を共有できました。世界は新型コロナウイルスの危機でトンネルに入っているが、日本とともに、この大会と聖火をトンネルの出口に掲げたい」と述べ、日本政府と強く連携しての来年の東京オリンピック・パラリンピックの開催に自信を示しました。

そのうえで「スタジアムに観客がいることを確信している、安全な大会を楽しむことができる。日本だけでなくIOCも貢献するべく努力する」と述べて、観客を入れての大会の開催で準備を進めていくことを強調しました。

橋本五輪相「コロナ対策 前向きに準備」

菅総理大臣とバッハ会長との会談に同席した、橋本オリンピック・パラリンピック担当大臣は、記者団に対し「検討を急ぐべき課題はやはり新型コロナウイルス対策に尽きる。どれだけの観客を入れることができるのか、前向きに準備をしていく」と述べました。

そのうえで「バッハ会長は『菅総理大臣の話を聞いて、さらに強く、来年の東京大会を開催できるという確信を得た』と話していた。本当にうれしく、身が引き締まる思いだ」と述べました。