首相 バイデン氏と電話会談
尖閣の安保5条適用を確認
菅総理大臣は、アメリカ大統領選挙で勝利宣言した民主党のバイデン前副大統領と初めての電話会談を行い、日米同盟の強化で一致し、沖縄県の尖閣諸島がアメリカによる防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条の適用範囲であることを確認しました。
菅総理大臣は12日午前8時半前から、およそ15分間、アメリカ大統領選挙で勝利宣言した民主党のバイデン前副大統領と初めての電話会談を行いました。
冒頭、菅総理大臣は、バイデン氏と副大統領候補のハリス上院議員に祝意を伝えたうえで、「日米同盟は、厳しさを増す、わが国周辺地域と、国際社会の平和と繁栄にとって不可欠であり、一層の強化が必要だ。自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて、連携していきたい」と述べました。
これに対し、バイデン氏は、「日米安保条約5条の尖閣諸島への適用について、コミットする。日米同盟を強化し、インド太平洋地域の平和と安定に向けて協力していきたい」と応じ、両氏は、日米同盟の強化で一致するとともに、沖縄県の尖閣諸島が、アメリカによる防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条の適用範囲であることを確認しました。
また、会談では、新型コロナウイルス対策や気候変動問題など、国際社会共通の課題について、日米が緊密に連携していくことで一致したほか、菅総理大臣は、北朝鮮による拉致問題の解決に向けて協力を求めました。
そして、両氏は、新型コロナウイルスの感染状況を見ながら、できるだけ早い時期に対面で会談することを確認しました。
会談のあと、菅総理大臣は記者団に対し、「バイデン次期大統領とともに日米同盟の強化に向けた取り組みを進めていくうえで、大変、意義のある電話会談だった。アメリカ訪問については、今後、しかるべきタイミングで調整することになる」と述べました。
加藤官房長官「日米同盟の抑止力強化する意志表明で意義」
加藤官房長官は、午前の記者会見で、「日米安保条約第5条の沖縄県の尖閣諸島への適用については、インド太平洋地域の厳しい安全保障環境の中、日米同盟の抑止力を次期政権でも、引き続き強化する意志が表明されたということで非常に意義がある」と述べました。
また、北朝鮮による拉致問題について、「菅総理大臣から『政権の最重要課題』だと述べ、理解と協力のお願いをした。米国をはじめとする関係国と緊密に連携しながら、すべての拉致被害者の1日も早い帰国の実現に向けて全力を尽くしていく」と述べました。
そのうえで、加藤官房長官は「非常に短い時間だったが、ポイントについては、いい意見交換ができた。『しかるべき早いタイミングで会いましょう』という話も合意され、信頼関係をより強固なものにしていく流れができたと思う」と述べました。
一方、中国については、「インド太平洋に関する意見の中で、中国についても言及はあったが、これ以上は差し控える」と述べました。
茂木外相「早期に日米首脳会談を」
茂木外務大臣は、自民党の派閥の会合で、「大統領の就任式は1月20日だが、できるだけ早いタイミングで対面で日米首脳会談を行い、日米や国際社会の問題についてしっかりとさまざまな合意や確認をとっていきたい」と述べ、来年1月20日の大統領就任式後、早期に日米首脳会談を行いたいという意向を示しました。
公明 山口氏「信頼深め 連携していくことが重要」
公明党の山口代表は、党の中央幹事会で「自由で開かれたインド太平洋についての認識を共有するとともに、新型コロナウイルスや気候変動への対策でも連携を確認したとのことだ。日米の信頼関係を一層深め、さまざまな課題で連携していくことが重要だ」と述べました。