脱炭素「原発の新増設は
現時点では想定せず」首相

国会では衆議院予算委員会で質疑が行われ、菅総理大臣は、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすることを目指すうえで、原子力発電所の新設や増設は、現時点で想定していないという考えを示しました。

「脱炭素と原発」

立憲民主党の枝野代表は、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすることを目指す政府の方針について、「東京電力福島第一原発の事故があって、今もなおふるさとに帰れない人たちがたくさんいる。一日も早く、原発依存から脱却しなければならず、新しい原子力発電所を作るのは考えられない」とただしました。

これに対し、菅総理大臣は「党内にもいろいろな意見があったが、『日本として、2050年までにカーボンニュートラルにすべきだ。やり遂げる』という思いの中で、宣言した。原発の新増設については、現時点では想定していない。これが政府としての明確な考えだ」と述べました。

これに関連して、梶山経済産業大臣は「原子力が、2050年においても選択肢として活用できるよう、『新型革新炉』を含めた技術開発等、不断の安全性向上に向けた取り組みは進めていく」と述べました。

「日本学術会議 任命見送り」

また、枝野氏は「日本学術会議」が推薦した会員候補6人が任命されなかったことをめぐり、「憲法第15条1項に基づいて、『公務員の選定は国民固有の権利』と規定していることを、総理大臣に実質的な判断権のあることの根拠としているが、『総理大臣の権限』とか、『国会の権限』とかは、何にも書いていない」とただしました。

これに対し、菅総理大臣は「憲法15条1項との関係で、『推薦した人を、必ず任命しなければならないということではない』という点は内閣法制局の了解を得た政府の考え方だ。それに基づいて、その時点で任命権者として適切に判断した」と述べました。

また、加藤官房長官は「総理大臣が、全く白紙で、自由にやれるということではないことは法文上明らかだ。一方で、必ずしも推薦どおりに任命しなければならないわけではなく、日本学術会議法に基づき、会議の目的および職務などを踏まえて、適切に任命を行うことは当然のことだ」と述べました。

「ミサイル阻止新方針」

また、菅総理大臣は、ミサイル阻止に関する新たな方針に関して、ことし9月に発表した当時の安倍総理大臣の談話について、「迎撃能力以外に、抑止力を強化する方策を検討している。談話は、閣議決定を経ていない。原則として、効力が後の内閣に及ぶものではないと考えているが、私の内閣においても、談話を踏まえて議論は進め、あるべき方策は考えていく」と述べました。