所信表明演説への代表質問
再生可能エネルギーなど論戦

衆議院本会議では、28日に続いて菅総理大臣の所信表明演説に対する代表質問が行われ公明党、共産党、日本維新の会が質問しました。

「再生可能エネルギー」「外交方針」

公明党の石井幹事長は、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすることを目指す政府の方針について、
「再生可能エネルギーの主力電源化を進める大胆な投資などを強力に進めていくべきだ」とただしました。

これに対し、菅総理大臣は、
「2050年の『カーボンニュートラル』を実現するため、研究開発などへの支援を通じて国民負担を抑制し、再生可能エネルギーの導入を最大限進める。また、エネルギーの地産地消については、非常時のエネルギー供給の確保や、地域活性化に資するべく、再生可能エネルギーを含めた分散電源の導入を支援していく」と述べました。

また石井氏は、菅政権の外交について、
「ポストコロナ時代の国際社会は、自国中心主義や、米中間の緊張の高まりなどとも相まって、これまで以上に制御しにくくなっていく」と指摘し、方針を示すよう求めました。

これに対し、菅総理大臣は、
「日米同盟を基軸として、基本的価値を共有する国々とも協力し、『自由で開かれたインド太平洋』の実現に向けた取り組みを戦略的に推進するとともに、近隣諸国との安定的な関係を築いていく。新型コロナウイルスによって人間の安全保障が脅かされ、国際連携の強化がいっそう求められる中で、日本は多国間主義を推進していく」と述べました。

「日本学術会議」

共産党の志位委員長は「日本学術会議」の会員候補6人が任命されなかったことについて、
「任命拒否は、憲法23条が保障した学問の自由を侵害するものだ。科学者集団の独立性・自主性の保障なくして、個々の科学者の自由な研究もありえない」とただしました。

これに対し、菅総理大臣は、
「憲法に定められた学問の自由は、広くすべての国民に保護されたもので、特に大学における学問・研究およびその成果の発表を教授が自由に行えることを保障したものだ。任命権の行使が、会員等が個人として有している学問の自由に影響を与え侵害することや、『会議』の職務の独立性を侵害することになるとは考えていない。今回の任命について、変更することは考えていない」と述べました。

「大阪都構想 住民投票の意義」「解散・総選挙」

日本維新の会の馬場幹事長は、いわゆる「大阪都構想」の賛否を問う住民投票について、
「『都構想』の目的は、むだの極みたる二重行政を解消することだ」と指摘したうえで、投票の意義を問いました。

これに対し、菅総理大臣は、
「この構想は、大阪市を廃止して、特別区を設置することにより、二重行政の解消と、住民自治の拡充を図ろうとする、大都市制度の大きな改革だと認識している。法律上、地域の判断に委ねられているもので、大阪市民の皆さんが、構想の趣旨と内容を十分に理解していただいたうえで、判断されるべきものだ」と述べました。

一方、菅総理大臣は、衆議院の解散・総選挙について、
「まずは新型コロナ対策と経済の再生が最優先だ。国民の政権への期待もそこそこにあると思うので、これらに全力で取り組みたい。ただ、いずれにせよ、1年以内には衆議院選挙を行う必要があり、そうした時間の制約も前提にしながら、よく考えていきたい」と述べました。

公明 石井氏「丁寧で前向きな答弁」

公明党の石井幹事長は、国会内で記者団に対し、「菅総理大臣からは、丁寧で前向きな答弁をいただいた。特に経済対策については、『必要な対策はちゅうちょなくやっていく』という答弁だったので、今後期待できる。自民・公明両党の政権合意に盛り込んだ政策を具体化することが今後の課題だ」と述べました。

共産 志位氏「答弁の体なしておらず」

共産党の志位委員長は、記者会見で、「日本学術会議の問題では、答弁の体をなしておらず、ことごとく答弁不能になっていた。予算委員会で引き続き徹底的に追及する。新型コロナウイルスの問題も切実な実態を突きつけて対応を求めたが、具体的なものは何一つなく、国民の苦しみに寄り添い、打開していこうというものでは全くなかった」と述べました。

維新 馬場氏「初の国会で安全運転で滑り出しの印象」

日本維新の会の馬場幹事長は、記者会見で、「安倍政権の方向性を継承した答弁がほとんどで、初めての国会でもあり安全運転で滑り出している印象だ。精神的に余裕を持って答弁に臨んでいるように感じた」と述べました。