自民 日本学術会議の
会長経験者からヒアリング

「日本学術会議」の在り方を検討する自民党の作業チームは、3人の会長経験者からヒアリングを行い、「会議」が果たしている役割や、会員が国家公務員である必要性などについて意見を聞きました。

自民党の作業チームは、吉川弘之・東京大学名誉教授、黒川清・政策研究大学院大学名誉教授、大西隆・東京大学名誉教授の3人の会長経験者から「会議」が果たしている役割や、会員が国家公務員である必要性などについて意見を聞きました。

このうち「会議」の役割については、会長経験者の1人が「提言をきちんと出すなど役割を果たしている」と説明したのに対し、出席した議員からは「有効な提言が出ていないのではないか」という指摘が出されました。

また、「会議」の会員が特別職の国家公務員である必要性については、会長経験者の3人とも「必要性を感じたことはない」と答えたということです。

一方、平成29年に「会議」が、軍事的な安全保障の技術研究に慎重な対応を求める声明を出したことについて、当時、会長だった大西氏は「声明をめぐっては相当な議論があったが、内容は許容の範囲内だと思っている」と説明しました。

作業チームは今後、会員以外の学識経験者や経済界からも意見を聞き、年内をめどに「会議」の在り方の提言をまとめることにしています。

大西隆 名誉教授「理由なく任命しないのは許されず」

東京大学の大西隆・名誉教授は、記者団に対し「きょうの会合では会員の任命については議題にしないということだったが、理由なく推薦した候補を任命しないことはあり得ず、許されない。学術会議が提出した名簿は独立して選考した結果であり、政府が認めることが大事だと申し上げた」と述べました。

一方で、日本学術会議の在り方について、大西氏は「会員が、国家公務員でなければならないのかを突き詰めて考えると、わかりにくい点もある。今後、議論されるテーマになるかもしれない」と述べました。

黒川清 名誉教授「役割の議論が大事」

政策研究大学院大学の黒川清・名誉教授は、記者団に対し「会員の任命の在り方はあくまでも各論であり、日本学術会議が何をするところなのか、役割を議論することが大事だ。会議側も、提言のしかたを自分たちで考えなければならない。『政府から頼まれたから提言を出す』という姿勢ではなく、どんどん提言を出すべきだ」と述べました。

下村政調会長「10年前ほどから改革の対象」

自民党の下村政務調査会長は、記者会見で「『会議』の在り方を議論することが、活動の萎縮につながらないか」と問われたのに対し、「日本学術会議は、そもそも10年ほど前から行政改革の対象として議論すべき組織と位置づけられており、突然の話ではない。議論すること自体は、萎縮にはつながらない」と述べました。

岸田前政調会長「“ふかん的、総合的”だけでは乱暴」

自民党の岸田・前政務調査会長は、東京都内で講演し「人事の理由をどこまで説明すべきかは難しい問題だが、『ふかん的、総合的な判断だ』と言うだけで済ますのは乱暴だ。特に、今までと対応が違って任命しないということであればより丁寧な説明を行わなければならない」と述べました。