大学教授らが声明
“6人速やかに任命を”

日本学術会議の会員の任命をめぐり、任命されなかった6人全員が呼びかけ人や賛同者になっている「安全保障関連法に反対する学者の会」は14日、「明らかな違法行為で、思想表現の自由の抑圧につながりかねない」などとして任命しなかった経過や理由を明らかにするとともに、6人を任命するよう求める声明を発表しました。

声明は「安全保障関連法に反対する学者の会」の呼びかけ人のうち、大学教授ら8人が記者会見で発表しました。

この会は、任命されなかった6人全員が呼びかけ人、または賛同者になっています。

声明では、日本学術会議法は、戦前、戦中の国家による学問や思想の統制に対する反省に立ち、政府からの独立性をうたい、総理大臣の会員の任命権を制約しているとしています。

そのうえで「学術会議が選考・推薦した者を首相が任命しないことは明らかな違法行為だ。学問の自由を侵害し、思想表現の自由の抑圧につながりかねない」として、任命しなかった経過や理由を明らかにするとともに、6人を速やかに任命するよう求めています。

また、14日は会の呼びかけ人の1人で、ノーベル物理学賞の受賞者の益川敏英さんが「こんな乱暴なことをしたということは、歴史上長く糾弾されるだろう。戦争の反省の上に作られた日本学術会議に汚点を残すものだ」というコメントを寄せました。

歴史社会学者で、慶應義塾大学の小熊英二教授は記者会見で「たとえ選挙で選ばれた権力者であっても、ルールにのっとり、法に定められた手順を踏まなければならない。また、任命を拒否した理由を明らかにしないのは不透明な差別の温床になる懸念もある」と話しました。

また、哲学者で神戸女学院大学の内田樹名誉教授は「アカデミーに政権が関与するのは、学術的な発信力を損なう問題の大きい行為で、長期的には日本全体の国益を損なう」と述べました。