い雨」訴訟 被告の
広島市と県 控訴方針決める

広島に原爆が投下された直後に放射性物質を含むいわゆる「黒い雨」を浴びた住民が健康被害を訴えた裁判で、被告の広島市と県は、国と協議した結果、全員を被爆者と認めた広島地方裁判所の判決に対し、控訴する方針を決めました。

原爆が投下された直後に降ったいわゆる「黒い雨」をめぐり、国による援護を受けられる区域の外にいた住民や遺族合わせて84人が健康被害を訴えた裁判で、広島地方裁判所は、先月29日、全員を被爆者と認め、広島市と広島県に対し、被爆者健康手帳を交付するよう命じました。

判決について、広島市と県は従来から援護を受けられる区域の拡大を国に求めてきたことから控訴には消極的な意向で、国に対し、控訴しないよう要請してきました。

一方、裁判に補助的な立場で参加した国は、「判決は科学的な知見が十分とは言えない」などとして控訴するよう要請し、広島市と県が協議した結果、要請を受け入れ、控訴期限の12日、広島高等裁判所に控訴する方針を決めました。

これで、75年前の「黒い雨」をめぐって原告全員の訴えを認めた広島地裁の判決は確定せず、引き続き、法廷で争われることになりました。